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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
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閑話・ベータ版5


「凄いな」


「だろだろ?」


 作り込まれたそのゲームの世界観はこの建物の中も遺憾なく発揮している。

 カガリは周りを見渡していると、ハラに肩を叩かれた。


「カガリ、あれがクエストボード」


「……へえ」


 壁一面に広がるコルクボードに所狭しと貼られた紙に思わず声が出た。

 近づきみると、お手伝い的なものから素材採取、討伐依頼など分別されて貼ってある。


「凄い量」


「うん、でも1番簡単そうなやつでもバランスよく人を集めないと難しそうなんだ」


「結構死に戻りして帰ってきてる人いるんだよなー。無理ゲーって」


「まぁ、身を持ってわかってる」


 3人とも死に戻りしてるのだ、今更だろう。

 ハハ……と乾いた笑いが出て。

 だからこそのパーティ募集なのだから。


「あっち、特設でパーティ募集中の所だよ」


 クエストボードのすぐ近くに人が集まり声をはりあげている。


「火力いないかー!」


「回復2人ぼしゅー!!」


 どんどんとパーティが出来てクエストを受ける人、そのまま出ていく人などバラバラだが確実に人数が減っている。


「いなくなるぜ! 早く行こう!!」


 グイグイと引っ張る明けの月影にカガリははいはい、と着いていく。

 それが目的だから異論は無い。


「火力、補助、回復皆足りねーから誰か入らないかー!?」


 口元に手を当てて叫ぶ明けの月影にハラは「ちょっと声大きい……睨まれてるよ」と慌てて言う。

 それもそのはず、無理やり入って勧誘するから周りからはいい迷惑だ。

 カガリが謝りに回ってから帰ってきたら2人人が増えていて、お? と声が出る。


「あ、カガリさん!」


 ハラが笑顔でカガリを呼ぶ。よほど嬉しいのだろう、手をぶんぶんと振っている。


「人が来たのか?」


「はい!」


 2人を指してニコニコ。ハラの嬉しさが爆発してるのが分かる。


「やぁ、俺はシュウ。エルフの弓使いだよ。よろしく」


 エルフ特有の尖った耳に緑の長髪を革紐で結んでいる美しい男性だった。

 初期装備がかなり浮いている。

 その隣には赤い髪の女性。


「私はミリターネ。神官よ」


 回復を専門にする神官は競争率が高い。

 良く神官仲間に出来たな、と言葉に出さなくても態度に出てたのかミリターネはニヤッと笑った。


「回復バンバンするから守ってよね、貴方盾役なんでしょ? よろしくね」


 うふふ、と笑うミリターネは生来の性格なのか言い方が嫌味っぽかった。

 しかし、ゲームだしなと割り切ったカガリは簡単によろしく。と挨拶するだけで留めた。





「へぇ、パーティね」


「そう、これで全員戦闘に参加ってなって経験値が貰えるみたい」


「なるほどなぁ」


 外に出て5人顔を突合せてステータスを見る。

 そこにあるパーティを押すと、周りにいるメンバーの名前が表示されて参加しますか? と選択肢が出た。

 全員で参加を押してパーティ結成。


「じゃあ行こうぜ!!」


 明けの月影が片手を突き上げて言うと、皆は頷き初心者の森へと向かった。



「…………くそぉ。あの時の事思い出して震える……ちょっとだけな!」


 先頭を歩く明けの月影はちょっと手が震えている。

 ハラはキョロキョロと周りを見ながら武器である楽器の笛を握りしめていた。

 短く音色の響きが1番小さい初心者用の武器だ。


「…………敵、そろそろかしら」


 ロッドを握りしめて言うミリターネの顔色はちょっと青い。

 火力が無いため実は森に入ってなく今が初めての戦闘だという。


「……いた」


 初期スキルで索敵をもっているのか、かなり遠くにいる敵を見つけるシュウ。目標の跳びうさぎだ。


「……良し、いくぞ!!」


「ちょっ……待て!」


 走り出した明けの月影に全員驚き足音をたてながら追いかける。

 耳のいい跳びうさぎは勿論すぐにこちらに気付き草を食べるのをやめた。

 可愛いまん丸の目で音の方をギョロリと見ると丁度明けの月影が飛び出してきた。

 跳びうさぎからしたら明けの月影がエモノみたいなものだろう。

 

「おわぁ!!」


 飛びかかってきた可愛いうさぎは相変わらずえげつない蹴りを喰らわせようと飛び込んできて、走る明けの月影は急停止する。


「バリア!」


 蹴りが当たる瞬間にミリターネの声が響き持っているロッドが光った。

 初期で使える技はバリアとキュアだけである。

 初めての戦闘でベストなタイミングで使った魔法、ファインプレーだ。


「1人で走るんじゃないわよ!」


「ご、ごめん……」


 腰が抜けた様に座り込んでいる明けの月影をカガリが首根っこを掴み後ろに下げて次に来た蹴りを防いだ。

 後ろで微かに音がするのだが前線にいるカガリにはあまり聞こえずステータスも2上がっていたら良い方だ。


 後ろから追撃の弓がうさぎを狙う。

 しかし大幅に外してすぐに2射目が飛んできた。

 今度はうさぎに当たりクリティカルヒットの文字が現れうさぎは倒れたのだった。


「……………………」


「……倒した?」


「……倒した、な」


 しかし作ったばかりのパーティの戦いは散々で皆がため息を吐く結果になった。


「作戦会議しないか?」


「さーんせー」


 カガリの言葉にミリターネが手を挙げた。

 拒否する人は居なく、1匹倒しただけで街に帰ることに。

 とりあえず、倒す事は可能である。それだけは確認できた。

新連載が開始しました。

異世界の貴族、婚約破棄、ざまぁ、聖女様、溺愛、世界再生、等設定盛りだくさんです。

こちらも宜しければ見てくださると嬉しいです(*゜▽゜)ノ


ラナ星再生物語~知識を付ける勉強が好きなラヴィニアと仲間たちの頭脳と魔法の物語


です!

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― 新着の感想 ―
[一言] 素速く動いて蹴りを入れてくるって時点で警戒するものですけど、想定を上回る動きなら仕方が無い(´ー`*)ウンウン 私は時々ビルダーズ2プレイしてるんですけどね?初プレイ時、第2ステージみたい…
感想一覧
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