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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
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閑話・ベータ版4


「どうすれと……」


こうしてカガリは始まりの街に死に戻って来た。

呆然と地面を見つめてから顔を上げて真っ青な青空を見上げ、小さく笑った。


「初見殺しすぎじゃねーか。なんだあのうさぎ」


小さく可愛い見た目から想像出来ないくらいのえげつないキックが繰り出されていく。

クリックリの可愛い目は、次第にバカにしたようななだらかな目に変わっていった。

明らかに自分よりも下を見る目付きだった。

これも仕様なのか…?



「くっそ! なんだよ! あのうさぎ!」



さて、どうするか……と腕を組み考え始めた所で2人の死に戻りが帰ってきた。

1人は悪態をついて頭を掻きむしり、1人は膝に手を置いて息を整えていた。

荒れている男性は腰に剣を帯刀しているのを見るに前衛なのだろう。

そしてもう1人の青年は、初期装備の服装を見て補助系の職種である事はわかったのだが武器が目視できない為なんの職業かはわからなかった。

初期装備は前衛、盾職、中距離、後衛攻撃、後衛補助とそれぞれに衣装が違っていた。

なので目視するだけではなんの職業をしているのかわからなかった。

だからこそ


「「「あ………」」」


3人はピタリと目が合ってからチラッと武器を確認した。

盾、片手剣、そして笛を持っていた。勿論全員初期装備の武器だ。

暫く見つめあった後、カガリが2人に近づいて行った。


「悪い、俺はカガリって言うんだが初心者の森で死に戻りしたんだ。良かったら一緒に行ってもらえないか?」


「俺達もなんだよ!! こっちからも頼む!」


「お、お願いします」


片手剣を持つ青年はカガリの手をガシッと掴み、笛を持つ青年は90度に頭を下げた。


「よろしく」





片手剣を持つ前衛の青年は青い短髪で長身細マッチョ、明けの月影(厨二…)

ちょっと荒っぽいというか子供っぽくカッとなる雰囲気があるがゲームを楽しみたい様子は凄くわかりやすい人で

笛を持つ後衛補助の青年は紫の腰まで来る長髪を下の方で緩くひとつに結んでいてハラと名乗った。

縦長の帽子といい長いローブといい、後衛補助の服装は下級神官のような服装をしている。


3人は1度どこか落ち着いた場所で話をしようと、噴水広場から少し離れた場所にある酒場へと向かった。


「カガリはなんのクエストしてたんだ? それともクエストじゃなくて腕試しか?」


「いや、クエスト」


明けの月影が骨付き肉を頬張って聞くと、飲み物を片手にカガリが答えた。

まだ金策すら出来てない状態の為、気になってはいたがコーヒーで手を打ったカガリ。

しかし、その色は真っ青で食欲減退の色……と飲むのに数秒はあった。

飲んだら少し甘めのミルクコーヒー、視覚と味覚が一致しない。


「お! 俺もクエスト! 跳びうさぎの5匹討伐! ハラと一緒に受けてんだー。カガリは?」


「俺は跳びうさぎ3匹討伐」


「じゃあ違うクエストなんだなー」


「あぁ、だろうな。クエスト掲示板か?」


噴水広場の一角にたったクエスト受発注のギルド。

ここで受けたんだろうと当たりを付けて聞くと、明けの月影はそれ以外無いっしょ! と返事を返してきた。


「いや、俺突発クエスト」


「……え? 突発クエスト?」


「えぇ!? なんだよそれ! ずりぃ!」


ハラも同じく飲んでたコーヒーをテーブルに置いて目を丸くしてカガリを見ると、明けの月影はテーブルをドン! と叩いて声を荒らげた。


「別にずるくないだろ」


「いや! ずりぃだろ! カガリだけ!」


「……何言ってんだお前、同じ行動してる訳じゃねーしまるっきり同じクエスト受けるわけねーだろ」


「いや! そうだけどさ……」


「………なんか、すいません」


不貞腐れながら言う明けの月影、そんな彼を見てからハラはカガリに頭を下げた。


「……いや」


ガキか……? ちょっとめんどくせぇな、と明けの月影を見るカガリ。

大学生のカガリは既に大人に近い年齢の為、あまりに子供な発言をする明けの月影に着いていけるか? と少し後悔をしたが、ハラが頭を下げた事に緩く頭を横に振った。



前衛に、後衛補助、そして盾。

圧倒的火力不足である。

3人はもう少し人数を増やそうと話し合いギルドへと向かった。


「カガリはどうして最初にギルドに行かなかったの?」


「行く前にNPCのおばさんとの会話イベント発生してクエストしてたんだよ」


「へぇ、NPCからのクエストこんなに早く出来るんだ」


「たまたまだったんだけどな」


ギルドに行くことなくクエストを始めた為、このAnotherfantasiaでのギルドにカガリは初めて入る。

見た目は小さな一軒家に大きな看板があり、ギルドだと分かりやすく表示されている。


「……へぇ」


両開きの扉を開けて見えたのは、一軒家所ではない広さの室内だった。

入って真正面に長い階段があり、左側は食堂右側は武器や防具、道具などが購入売却出来るようになっていた。

2階にはクエスト受発注カウンターと、クエストボード、素材買取カウンターなどがあるとの事でカガリ達は2階へと上がって行った。

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― 新着の感想 ―
[一言] NPCからのクエストなんぞ基本中の基本です。それを忘れる位にははしゃいでたって事でしょうかね(笑)
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