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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
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閑話・ベータ版2

Anotherfantasia開始2日目

カガリはまたゲームの世界に戻ってきた。

まだ見なれない噴水が湧き出る広場でグッと伸びをして体の具合を確認。


「違和感ないのほんとすげぇな」


グッグッと腕を押し軽く準備体操の様に動いてから考え込む。

オープンワールドで、オンライン。

自由度が高く特別しなくてはいけないクエストなんかもない、むしろチュートリアルも見た感じ見当たらない。


「なにするかな」


その考えはどうやらカガリだけじゃないようで、困ったようにステータスを見つめる人やとりあえず歩く人など目的をもって動いている人は少ない。

カガリも一通りステータスを見て、戦って見るべきか? と迷いつつステータスを消したその時だった。


「あらあらあら! あなた昨日の人じゃない?」


「え? あ………」


声をかけてきた人は、昨日荷物運びのクエストをしたノーマだった。

また同じ袋を持ったノーマは朗らかに笑いながらカガリの肩を叩いた。


「ノーマさん」


「おはようカガリくん。なにしてるの?」


「え? いや、特には……」


「あらあら、じゃあちょいとこのノーマさんのお願い聞いてくれるかい? ラビットシチューが作りたいんだけど品切れだったんだよ。ちょいと狩ってきてくれないかい?」



クエスト・ノーマのお願い

初心者の森で跳びうさぎを3匹討伐、及び納品

クエスト成功時『ノーマのシチュー』

クエスト失敗時『体力微減少(1時間)』


「(失敗したとしてもそんなにデスペナないし…)わかりました」


「ありがとう! 初心者の森は街を出て北に行けば着くよ。気を付けて行ってきてね」


手を振り見送るノーマに手を振り返して歩くカガリ。


「行ってらっしゃい……か。久々に聞いたな」


大学が始まる前に一人暮らしを始めたカガリ。

その前からも家族は忙しい人達で、家族団欒なんて暫くしてなかった。

ゲーム内だとしても久々に言われた「行ってらっしゃい」にカガリはむず痒い気持ちを覚えたが、不思議と口端が上がったのだった。





「へぇ、こうやって表示されるのか」


ステータスにはクエスト進行中の文字があり、その下に内容が書かれていた。

跳びうさぎ3匹の討伐、納品

簡潔に書かれたその下にはヒントの文字が。

行先や、何をすればいいかわからない時用のヒントが書かれているのだが、それは丁寧にどこに行き何をしろと書かれてる物ではなく、再度ノーマに聞けと書かれているだけだった。


「いや、適当だな!」


おもわず声を上げ、ハッと周りを見るが誰もが自分の現状に必死でカガリに気付いてる人は居なかった。








「…………で、どうすれと」


ポツン…と立ち尽くすカガリは、ガックリと頭を下げた。

ここは噴水広場、そうログインした時に現れる場所。そして死に戻りした時に帰ってくる場所でもある。

そう、カガリは死に戻りしたのだ。

しかも開始早々のうさぎによって。




「結構薄暗いな」


初心者の森と書かれた立て札に、ぐるっと囲われてる柵。その横には門番らしき人が佇んでいた。

前肢グレーの甲冑に身を包み、槍を装備している。

カガリに気づいた門番は、気さくに笑いかけてきた。


「初心者の森に用事かい?」


「跳びうさぎを狩りたいんですけど」


「おー、気を付けて行ってこいよ、跳ねうさぎならすぐに出てくるぞ」


門番は少し横にずれて中へと促した。

頭を軽く下げてからカガリは中に入ると、広がる森の様子は圧巻で上を見ると優しい木漏れ日が。

ただの散策にはあまりに物騒な場所ではあるが、場所はものすごく綺麗だった。



「よし、跳ねうさぎ討伐するか」


攻撃には向かないジョブである盾職ではあるが、一応ダメージを与える事は可能である。

ステータスで調べた初期スキルの挑発と突進。

この突進は、基本的には敵に体当たりをしてノックバックさせる技だ。

その技にはダメージが与えられる為、初期盾職のダメージ源となる。


この時カガリは、いや、どのプレイヤーもこんな事は考えていなかっただろう。

最初に現れる見た目可愛らしいうさぎが、初心者のチュートリアル的な戦闘になるだろうこの真っ白なうさぎが



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



可愛く草をもぐもぐしていたうさぎが、スピードお化けの初心者殺しなのだと、誰が思うだろうか。







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― 新着の感想 ―
[一言] 兎詐欺ですね?わかります( ,,-`_´-)੭ੇ৸੭ੇ৸
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