第2回公式イベント 鬼ごっこ 5
「よし、噴水広場戻るか」
三体の鬼が噴水広場から離れたのを確認したカガリが周りに注意しながら言う。
全員モニターを見たあと頷いて歩き出した。
うさぎ(熊)は、他のプレイヤーをちぎっては投げ。
犬は血塗れのタケノコをご機嫌で咀嚼中。
カメムシはその数をいかし散開中。
ターゲットを探しているのではないかと、リィンはブルっと震えた。
「………街移動するか」
噴水広場についたスイ達は、ゲームオーバーのプレイヤーがいる噴水を見た。
確実に人数が増えていてガタガタと震えている人もいる。
……………ゴキブリか。
アーサーがぎゅうぎゅうに押されながらも光のない目で遠くを見つめている。
隣にいるごつい女性がアーサーにしなだれかかっているからだろうか。
「………チラッ」
『なぁに?』
「……いや、クリスティーナはそのままでいて」
『?』
うん、クリスティーナの方が可愛い。
女子力的な面も。
スイ、色々感覚が壊れてきている。
「どこに行く? 第1か第3か」
「なんとなく第3」
「オッケ、そうすっか」
ナズナが第3の街を指さした事にカガリは頷く。
正直どこでも一緒だ。
フェアリーロードは第3の街と書かれた光の柱に入っていった。
「!!!」
「新人さん、かしら?」
ゲームオーバーした人が入る噴水には、 既に入りきれないくらいのプレイヤーがひしめき合っていて、初心者っぽい装備の人が目立つ。
どうやらまだ行けない第3の街を今自由に行き来出来るから見てみようと、安易に来た人の様だ。
かなり序盤でゲームオーバーになったのか、報酬で得たカードゲームをしている人すらいた。
「フェアリーロードだ……」
「トップランカーの……」
「あ! あれが奏者……」
「ばっ! ダメだって! 奏者見守り隊に殺されたいのか!!」
「リィンさん! デートしてくれー!」
「ナズナちゃんに蹴られたい!」
「「「「変態がいるーー!!!」」」」
「誰でもいいから付き合………」
「やめろ!! 地団駄踏むやつだろ! それ!!」
「…………相変わらずカオスだぁ」
騒がしいプレイヤーをイズナがジト目で見ながら呟くと、デオドールがそうねぇと言いながらキツネ耳をクニクニと触った。
「とりあえず、散策するか」
グレンがモニターを見ながら言った。
どうやら鬼は2体いるが、ここから離れているようだ。
全員が頷いて歩き出した。
「今のところ鬼三体か」
「ん?」
「今んとこさ、エリアボスとかばっかじゃん? もしかしてまだ出てない第3の街のエリアボスも出るのかなぁ? って思ってさ」
ファーレンが何気なく言った言葉に全員が考え出す。
それも可能性はあるけれど、先に出したことで対策も出来ちゃうよな。
でも、第3陣のプレイヤーにとってはまだ1番最初のエリアボスも倒してないかもしれない。
なら、今更なのか?
そんな事を考えていると、モニターに映る戦闘シーンに気づいた。
「……うわぁ」
クラーティアがエグゥイ……とモニターを見ながら言った。
そこには巨大な蟻地獄がギュルギュルとすごい勢いでプレイヤーを吸っている。
下にいる蟻地獄のモンスターがハサミのような物をジャキンジャキンと鳴らしていた。
青ざめるプレイヤーがもがくが上がれず、そのまま蟻地獄のモンスターにジャッキンされている。
「……確か第3の街の砂漠にいる奴だっけ? 私まだ行ってないけど」
「……うん、掲示板にあった」
イズナも顔を引き攣らせて見て言い、ナズナも頷く。
そんなモニターに夢中になりすぎたフェアリーロード達。
その後ろに巨大な影が出来ているのに気付かなかった。




