第2回公式イベント 鬼ごっこ 4
「……………あ」
巨大な噴水に現れたプレイヤー。
ぷかんと浮かんでいて、直ぐに起き上がった。
ハアハアと呼吸をしているその人は髪をかきあげて目線を上げる。
「「「あ………」」」
まさかのアーサー。
気まずそうに視線をウロウロさせるアーサーにセラニーチェが近付いた。
「ねぇ、何回目? 死に戻り」
「………はぁ、3回目」
「ああ、やっぱり」
「どういう事です?」
リィンがセラニーチェの隣にしゃがみ聞くと、セラニーチェはリィンの目を見て話し出した。
「憶測だったんだけどね、これでわかった。死に戻りしたらこの噴水、ゲームオーバーはこっちって感じじゃない?」
「………なるほど。しかし……」
ゲームが始まってそろそろ1時間が経過する。
全員がアーサーを見た。
「…………早すぎ、アーサーダサい」
ナズナの言葉にアーサーはうっ! と言葉に詰まり、そのまま噴水の中に倒れた。
水しぶきを上げて倒れたアーサーは、
「やっぱりー、早いよねぇー……」とシクシク泣いている。
「あ、スイ」
「はい?」
「さっき言いかけてたのなんだったんだ?」
「あ、それは……エリアボスが出てきたから……あのゴキブリも……出るんじゃないですかね……」
スイの言葉に全員があからさまに嫌な顔をした。
だが、その可能性は十分にある。
ちなみにあの犬は、タケノコを振り回していたらしい。
…………クイーンの肉を取りに行った時のペキニーズか。
「………とりあえず、ゴキブリホイホイとか報酬にあるか早急に探さないとダメだな」
「確か私達もだけど鬼も移動出来るんだよね? 噴水広………場…………」
ほかの街とを繋ぐゲートが光り出した。
何だか煙が出てきているのに嫌な予感しかしないスイ達は、すぐに回れ右をした。
「逃げろ!!」
「鬼3匹目!?」
空にはモニターがひとつ増えた。
必死に逃げるスイ達の後ろからゲームオーバーしたアーサーの叫びが聞こえてきて、更に恐怖を煽る。
「ヤバイヤバイ! 鬼畜運営! くっそ!!」
「文句言ってないで走れ!」
熊を抱き抱えたまま青い顔で走るファーレンにカガリが叫ぶ。
これで、第2の街に三体の鬼が現れた。
「落ち着いたらほかの街にっ……行った方がいいん、じゃない?」
息切れしながら話すアレイスターに、ナズナも賛成! と右手を上げる。
スイがチラッと外に浮かぶモニターを見る。
緑の物体が飛び交っていた。
「ひっ! カメムシ!」
「さいっあくだわ! 本当に!!」
カメムシを見て服の中に入って来た事を思い出したリィンの意識が飛びそうになった。
すぐにスイが気付き、リィンを支えて抱き抱えて走る。
右手1本で、腕の上に座らせるようにして抱えるスイにクリスティーナはニヤニヤとした。
『やん! 男前!』
「うらやましーか!」
『次は私にやってね!』
「腕死ぬわ、むりむりむり」
「…………あれ?……スイさん!?」
「そのまま走りますから捕まってて下さい!」
「はっ! はいぃぃ!」
スイの首に腕を回し肩に頭を乗せるリィン。
その揺れと温かさにリィンはおやすみスイッチが入りそうで、スイの肩に思わず爪を立てる。
「……リィンさん、ちょっといたい」
「ご! ごめんなさい!!………いただきます」
「え!?」
爪をたてた事で首筋をじっと見てしまったリィン。
そう言えば、今日吸血してないと思った瞬間、理性が吹き飛んだ。
服を少し引っ張り首にチューと吸い付く。
今!? この状態で!?
スイ、ビックリするが止める余裕も無く好きにさせておく。
「………スイさん、気持ちいい」
「何がですか!?」
「スイさん、全部」
「!? 酔ってるんですか!? 走り酔い!?」
「お! 俺もスイちゃん気持ちいいを味わいた………きゃぁぁあああ!!」
「タク、気持ち悪い」
タクがチラチラと二人を見ながら言うと、
ナズナの容赦ない足技が炸裂。
タクのタクは「………もうだめだ、あとは頼んだぜ兄弟……」といい、パタリと倒れる。
※タクの妄想です。
走る間に見つける報酬は、取れる限り集める。
調味料や、ガチャチケット、食材や何故か犬のぬいぐるみや雨具等様々ある。
「っブラックキャップ!!」
パッ! とみんなに見せたのは、有名なゴキブリホイホイ。
みんなの歓声が沸くが、残念ながらキャップ6つのみ。
もっと探すぞ!! と血眼になり街中を走り回った。




