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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
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浄化と称号

水浴びを終わらせたリィン達は震えながらスイ達が待つ場所へと戻って行った。


「………寒いですぅ」


「ゲームじゃなかったら風邪引いちゃうところよねぇ」


2人は肩を寄せ合いカタカタと震えながら戻ると、最初に気づいたデオドールが、


「あらあら、二人とも寒そうね」


「今温かいの入れるわね! ココアでいいかしら」


「クリスティーナちゃぁん! アタシに生クリーム入れてくれないかしらぁ」


「ウィンナーココアね! おっけい!」


目の横でピースしてウィンクするクリスティーナに、タクが高速で目を逸らした。


「私にも生クリーム入れて欲しいです」


「おっけい!!」


2回目のバチコーン☆

スイ吹き出しファーレンにかかる。


「うわぁ!?!?」


「ご! ごめん!!」


顔にかかったココアをスイが拭いている間に出来たウィンナーココアをリィンとアレイスター、そしてスイとファーレンにも作って差し出した。


「ほら、新しいの」


「「…………ありがと」」


小さくお礼を言った後、2人で同時に飲んで2人で同時にはぁぁぁぁん……と甘さを堪能する。

ちなみに、2人の唇には生クリームが付いていた。


「スイちゃぁぁぁぁああん!! 生クリーム付いてるよぉ! 俺が舐めとってぇぇえええ!?!?」


「……サイレントーフリーフォールゥー」


何も言わずに蹴り上げ、タクは涙を乱舞させながら舞い上がっていった。

その様子を、みんな無心で見上げていた。




「…………そろそろ行くか」


まだタクがピクピクしている中カガリが立ち上がり言うと全員が片付けを始める。

そんな中、ファーレンは温泉にあった立て札をじっと見ていた。


「どうしたんですか?」


「敬語気持ち悪い。……ここ見て」


「もぅ!……ん?」


スイが同じく顔を寄せて見る。

そんな2人をクラメン達が本当に仲良くなったなーとホッコリしながら見ているが、2人が立て札を見て顔を見合わせ頭を抱えてはまた話をして……

そんな様子にグレンは近付き2人の後ろから立て札を見る。


「どうした?」


「「あ! グレンさん!! ここ! 見て!!」」


「……仲良しか」


「ここ、浄化作用って書いてあるんですけど温泉が湧いていたらこの臭いとバッドステータス消えるって事ですかね?」


「「「「「「「「「「あっ!?」」」」」」」」」」


その声が聞こえて、全員目を見開き片付けていた物を持ったままスイ達の元へと向かう。

まさかのお風呂や温泉に入るだけでは臭い消えない!? 効能が無いと無理なの!? と全員が立て札へと向かう。


「…………可能性高いわよね」


「…………そうですね」


セラニーチェとリィンが険しい表情で言う。

温泉は複数あるとは言っていたが、全てが同じ効能ではないだろう。

そんな立て札を見ていたスイがポツリと言葉を零した。


「スキルや魔法に浄化とかあればいいのに……」


「「「「「「それだ!!!」」」」」」


「え!?」


スイはスキルでバッドステータスを消せる物があるとは思っていなかった為、呟いた言葉をこんなにも拾われるとは思っていなかった。

又、今までの敵の中でバッドステータスをつける敵は実は3体のみで、そのどれもが体力の減少だったため回復のみで事たりていた。

初歩中の初歩である魔法での回復が浮かばなかったのは完全なるミスである。


「私としたことが!! もぅ!!…………なんで状態異常にこんなにポイント使うのよ!! 取るけども!!」


レベルが上がる毎に貰えるスキルポイントをためていた為セラニーチェは状態異常回復を20ポイントで習得する。

同じくリィンもそれを習得するが、リィンは中級回復魔法を取る為にためていたポイントの為泣く泣く習得する事となった。


「………私の回復魔法……」


「またポイントためれますよ! ね?」


ファーレンがパタパタと手を振りながら慰め、リィンはそんなファーレンに小さく微笑んで頷いた。


「…………よしっと。リカバリー!」


薄緑の光があたりを充満して、バッドステータスが付く臭いをかき消した。

それにより鼻は正常に戻り、逆に大ダメージを与える。


「っっ!! セラ………!」


「っこんなやばい匂いでしたっけ」


「セラさん、消えてません」


「まさか、魔法発動者には効かないの!?」


セラニーチェによりカメムシ臭は消えさったが、カメムシの臭いが麻痺してわからなかったこの現象も浄化にて消えたようだ。

魔法発動者にはリカバリーが効かないというまさかな状況に、スイ達はセラニーチェの臭いに大ダメージを受け地面に座り込む。

そして、自分だけ臭いが消えてないことへのショックにセラニーチェもしゃがみこむ。


「っ! リカバリー!」


リィンがすぐに魔法を発動してセラニーチェの臭いを消すと、セラニーチェはリィンにギューッと抱きついた。


「ありがとう! 本当に!!」


「わ! っ大丈夫ですよ! ちゃんと消えてます!」


「ファーレンもお手柄」


「っ! はい!!」


リィンがセラニーチェの背中を撫でている中、グレンがファーレンを誉めて喜ばせていた。


「それにしても、相変わらず運営は鬼畜なのですよー」


「まさかの魔法発動者には効かないとか、僧侶1人の所は喧嘩とか最悪解散なんて有るかもしれないじゃない」


「いろんなゲームしてきたけどさ、ここまでぶっ飛んだ運営は初めてだわ」


デオドール、イズナ、タクがそれぞれ感想を言っている時、運営はたまたまそれを見ていてニンマリと笑い「お褒めに預かり光栄」と呟いていた。







無事臭いとバッドステータスを消したスイ達は、やっと目的のスズメバチの巣へと向かうことにした。

案内を頼まれた蜘蛛はガタガタと震え、涙目だが必死に指さし案内をしてくれる。

その道中ゴブリンが現れ棍棒を振り回してきたが、3体から多くて5体のゴブリンに遅れをとることは無かった。

なぜか、女性を集中して狙ってくる為前衛に居るイズナとデオドールは特に狙われていたが。


「っ! もう! また!!」


2体同時にイズナの元へと向かい、素早いスピードで回避しながらも首を目掛けて一閃する。

それにより、ゴブリンは不気味な声を上げ後ろにさがりながらもイズナを見ている。


「なんなんですかねー、まったく! ライトニング!!」


魔法特性が低いのか、ゴブリンは雷に焼かれてゲージが一気にグレーになった。


「……………先進むか」


カガリも溜息を吐きながら先に進んだ。

あの琥珀温泉から更に20分程進んだあたりから、蜂がふえ出してきた。

その蜂は、スイ達を見て近付き肩や頭付近をぐるりと回ってから離れていく。

そして、まるで案内するかのように先へ先へと蜂の群れが進んでいく。


「………相変わらず凄いです、称号って」


リィンがスズメバチを見ながらしみじみ言った。

そしてすぐに見つかる巨大スズメバチの巣。

しかも、現在作っている最中なのか蜂たちが巣にまとわりついている。


《……む、お前達は……》


スイ達に気付き近付くスズメバチに、スイは頭を下げた。


「お久しぶりです、あの時の蜂さんですよね」


《あぁ。よくわかったな》


「なんとなくですが」


《そうか、ん、愛娘今回はどうした?》


「実はですね……………」


スイは簡単にだが街移動に蜂たちの協力を仰ぎたい、だが、私だけだと一気に10人以上は頼めない事を伝え、


《なるほどな、わかった。加護をやろう》


「え!? いいんですか!?」


あまりのあっさりな返答に驚き目を見開く。

スズメバチは頷き、


《お前達は全員ミツバチの加護を持っているだろう? それに、あの時近くでお前達を見ていた。俺は構わんと思う》


一気にスイ以外のフェアリーロード達の体が光り、称号の修得が表示される。


「……………あっさりだな」


カガリが拍子抜けした様に言うと、スズメバチはふわりと浮かび上がった


《悪いが今は忙しい。用事がほかにある場合はまた来てくれ》


「あ! ありがとう、ございます!」


パタパタとはねを動かして巣へと戻って行ったスズメバチを見てから、とりあえず目的果たした! とホッとする。


「どうする? 1回第2の街に帰る?」


セラニーチェが全員を見て言うと、スイ、リィン、クラーティアにファーレン、イズナがスズメバチを見る。


「…………忙しそうよ」


イズナがポツリと言うとセラニーチェも釣られるように見つめた。


「……………そうね」





[第3の街へ、10パーティが到着いたしました。これにより温泉イベントが開始されます。繰り返します……………]



突如響いた運営からの連絡にスイ達は動きを止めた。

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