エリアボス3
レッドゾーンからなる第2形態。
飛び交っていたカメムシが本体に集まり結合されたことによりほんの少しだけ体力を回復させたエリアボスのカメムシ。
そんな凶悪な匂いを発するやつが変えた姿は………………
縦横無尽に空を飛び!
住処を見つけては数を増やす、集団生活が大好き!
その姿は黒く光り楕円形をしている!!
そう! そいつの名前は!!!
ゴ キ ブ リ !!!
「「「「「「「ギャァァァァア!!」」」」」」」
「運営何考えてんだ!!!」
「これない! マジない! ありえない!!」
「っっ!! ゴキブリきらい!!!」
遠距離中距離からくる一斉攻撃にゴキブリは後ろに吹き飛ばされるが、ゴソゴソカサカサと動くゴキブリはまた戻ってくる。
「ゴキブリの生命力とかいらん」
グレンが、嫌そうに再度スーパーノヴァを発動するが、それでも倒しきれないゴキブリに全員がまた嫌そうにする。
「グレン、そんなに何発も打ってたら魔力枯渇するよ」
「………………………」
「まさか! もうしてるの?」
セラニーチェの言葉に返事を返さないグレンはそっとストレージから回復アイテムを取り出して飲み込んだ。
「……………で? どうすんだあいつ」
「……………飛んでますね」
「剣じゃ届かないわよ」
空を8の字に飛ぶ巨大ゴキブリに、スイは嫌そうに見ながら曲を奏でた。
「スイ?」
「……………デバフです。スピードと防御下げますね」
ゴキブリのスピードが一気に落ちて必死に羽ばたいているがその進行速度はなかなか早くならない。
「……………動きがしっかり見えるぶん余計に気持ち悪いのですよー」
「そうですね、気持ち悪い……」
「……あたしGは初めて見るのよねぇ、初めてが巨大Gなんて嫌だわぁ」
「初めてですか?」
「えぇ、あたしの住む場所には出ないのよG」
弓を射るアレイスターの言葉にリィンは驚きながらも羨ましいですと言った。
「……………で、どうやってたおすのかしら」
なかなか減らないダメージに、アレイスターが振り向き困ったように言った。
「普段はゴキブリってどうやって倒すの?」
「どうってそりゃ、ゴキブリ用のスプレーしたり、新聞紙で一気にスパーン………と………」
カガリがそう言った瞬間、全員がデオドールを見る。
引き攣るデオドールに、スイは無言でスピードアップと攻撃力アップを掛けた。
「ス! スイちゃん!?」
「安心して逝ってください!」
「字が違う気がするのですよー!!」
そう、デオドールの武器はハンマーである。
しかも今のが通常サイズではあるが魔力を通すことで巨大化することも出来る。
結果、そっと差し出される魔力回復アイテムマジックポーション。
やけくそで5本一気飲み、4本分の魔力をハンマーに注ぐ。
一気に飲んだ為に起きるポーション中毒に頭を振りながらデオドールは走り出した。
「終わったら、覚えているのですよー!!!」
デオドールは自分の3倍ほどに大きくなったハンマーを両手で掴みぐるりとハンマーを回した。
そして飛び回るゴキブリに一撃を浴びせる。
かろうじて避けたゴキブリは、飛び回りカガリに向かっていく。
ファーレンも横に並びお互いの盾を掲げる。
巨大なゴキブリにカガリの盾だけじゃ防ぎきれないのだ。
「っうぉぉぉぉぉおおお!!!」
「バリア!!」
ギュルルル!!
ゴキブリが回転しながら盾に当たると、摩擦で音を響かせる。
攻撃力を下げていてもそこそこある為カガリが、特にファーレンが後ろへと後退した。
「サンダーストーム!」
「フレイムファイア!」
「「ハートネス砲!」」
魔法と合わせて繰り出されたのは巨大な大砲からでるハート型の砲弾。
周りに散弾するのだが、それがハート型に光り爆発を誘発する。
それを、クリスティーナとナズナから発せられる。
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攻撃を受けて悲鳴をあげる巨大ゴキブリにスイのデバフがかかる。
重ねがけされて強化されたデオドールのハンマーが上から真っ直ぐに叩きつけられた。
ぐしゃっと鈍い音が響きハンマーの下から何やら液体が流れ出す。
「………………うぅ」
ハンマーを離すとネトォ……としている。
いくら時間が経つと武器の汚れだけは消えるとはいえ、デオドールは心底嫌な顔をした。
「……………倒した……か?」
「…………ゲージ、あと少し残ってる!」
「っスターメテオ!」
クラーティアが放った隕石落下魔法、星柄バージョン。
カガリとファーレンが盾を構えリィンとセラニーチェがバリアを張る。
それを見たスイが補助としてバリアの性能を上げ、盾の防御力を底上げした。
わかりやすくオーバーキルである。
ゴキブリに直撃した隕石は周囲の森に多大な被害を出しながらもエリアボスを無事に討伐。
最後には爆風により吹き飛ばされた人も居たが、防御力も上がっていた為致命傷はさけられたのだった。
ちなみに、前衛は武器を地面に刺し何とか耐えて、ナズナはアレイスターが支えている。
スカートがバサバサとめくれるのをアレイスターが抑えてあげていた。
さすがオネェさまである。
クリスティーナは貝殻に引きこもるが、何故か足のようなものが出現し地面に突き刺さって飛ばされることも無い。
完全に閉じられた貝殻は回復作用もあり、中では水に浮かぶクリスティーナのゲージがオレンジから黄色へと回復させていた。
リィンとクラーティア、セラニーチェは吹き飛ばされる所をスイとグレンが抑えた。
グレンは近くにいたクラーティアを掴み支え、リィンとセラニーチェはスイが両手でしっかりと支えた。
スイの背中にはハープが地面に刺さっており、それに寄りかかるように立っている。
QuestClear!!
空中に輝く文字が光り、それは巨大ゴキブリを倒した印だった。
これにより第3の街への道が開かれた。
「「「「「「「「もうここでは戦いたくない!!!」」」」」」」」
これで第2章の本編は終了となります(*Ü*)
次は閑話を挟んだ後第3章に入ります!




