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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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緊急イベント6




「……………あれ?」


「…………え? 蜂が一気に引いてく」



森の中を爆走していたプレイヤー達は、突如向きを変えて飛び立った蜂達を呆然と見送る。

羽音を立てながら猛スピードで飛び立って行った蜂達を追いかけることすらできなかった。



[プレイヤーによる女王蜂との接触が成功しました。プレイヤーの皆さんは直ちに街へと帰還いたします。繰り返します……]



運営からのメッセージにより、プレイヤーの体は光り輝き噴水広場へと転送された。

死に戻りした仲間と合流したプレイヤー達は、口々に残念だー! 見つけたかったー!! と言っているが、後に恐怖が訪れる事を知らない。


まだ女王蜂が見つかっただけの為、まだ何かあるだろうとその場に留まるプレイヤー達。

後に、帰ればよかった!!!

そう咽び泣くプレイヤーが続出したのだった。


そんな噴水広場の一角、23人ほど集まるクランは顔を突合せて話をしていた。


「………くそっ! 俺達が見つけるんだったのに!」


「なんでいつもの場所にいないんだ!」


「誰だよ見つけたヤツ! ガチでないわ!!」


悪鬼のような形相で話す数名、その様子を見て呆れるクランメンバー。


「……………無理そうよね」


「………………むしろ、私あれが上手くいったらクラン抜けるわ」


「おなじーく」


温度差がかなりあるそのクランはほろよいと言った。

3パーセントのほろよいしか飲めない酒弱いメンバーである。






運営からのアナウンスを聴きながらも、スイ達フェアリーロードと一緒にいた3パーティは転送されること無くその場に留まっていた。

そして現在、怒り狂うスイはリィンにより地上に下ろしてもらった。

ぺこりと頭を下げて感謝したスイにリィンはふりふりと頭を横に振って微笑んだ。


「どうだった? てか、女王蜂一緒か」


「カガリさん。大至急街に帰りましょう! 直ぐに」


「おい、何怒ってんだ…………あっぶね! おい! ナズナ!!」


「スイの為、大人しくお縄につけ」


ナズナがカガリのカガリをピンポイントに狙って足を振り上げた。

それを咄嗟に避けたカガリは、いつも以上に目の据わってるナズナに冷や汗を流す。


「ナズナちゃん、なんだかわからないけど街に帰らないとじゃないかしら?」


アレイスターがナズナを抱き上げて止めると、ナズナは大人しく止まった。

アレイスターを見てからコクリと頷く。


「じゃあ、後にする」


チラッと見るカガリ、グレン、タク。


タクは震えだしイズナに助けを求め、グレンは眉を寄せる。

カガリはだから何で俺よ! と声を荒らげタクに押し付けるように指さし、


「まってよ! なんで毎回俺なの!?」


タクの悲痛な叫びは流されていった。



街へと向かうクラメンや他のプレイヤー達。

チラッと激怒中のスイを見るが、何やら滑稽に見える。


頭に蜘蛛を乗せて、両腕で女王蜂を抱えて飛んでいる。女王蜂はスイよりも大きいため可愛くデフォルメされた蜂のぬいぐるみを抱えているようだ。

しかし、その手足はリアルにワサワサと動き蜂特有の瞳がキョロキョロと周りを見る。

さすがに慣れたのか、全員がスイを普通に見ていた。


「…………で? どうしたんだ?」


「話をしただけでも怒りがこみ上げます」


「「「「「「えー………」」」」」」


ちなみに急いで帰る為、翼無しのプレイヤーはまさかの蜂に抱えられて帰ることになった。

最初は阿鼻叫喚であったが、スイの珍しい睨みに全員大人しく蜂に抱えられた。





「街が見えてきた」


イズナが指さして言うと、全員は前を見据える。

そして不安そうな顔をするのだ。

怒り狂うスイは、一体何をするつもりなんだ。

あきらかに普通じゃない。



蜂の大軍をみて、街にいるプレイヤー達はざわめきたった。



「嘘! 蜂もう攻めてこないんじゃないの!?」


「まじか! もしかしてレイド戦!?」


全員が武器を持ち戦闘態勢に入る中、フェアリーロード率いる女王蜂軍団が噴水広場に到着した。


「女王蜂だ!」


「あれが女王蜂……」


見られる女王蜂は少し身をよじる。

そんな女王蜂をスイはしっかり抱えたままプレイヤーを見ていた。


「あら、女王蜂結構可愛い」


「本当だ」


ざわめく声の中響きわたった声に、スイは目を細めた。







「女王蜂!!! やっと会えた!! 女王蜂会いたかった!!!」




異色な言葉に、全員が視線を向けた。

そこには数人のプレイヤーが女王蜂をじっと見ていて微かに頬を染めている。

その内の一人男性プレイヤーが声を上げて女王蜂を見つめていた。


《………あやつは……》


女王蜂は手で口元を覆いスイを見上げた事で、スイの雰囲気は一気に冷たく凍りついた。

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