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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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緊急イベント


「カガリさーん!!」


「あ?」


フェアリーガーデンに帰ってきたスイは、宿屋のカウンターに立つカガリの元へとかなりのスピードで近づいた。


「おかえり、あの場所どうだった?」


スイがパッと出したマップを見ても、やはりカガリには真っ黒のままだった。

たまたまインしてきたクラーティアがタンタンタンと音を奏でながら階段を降りる。


「おっはよーですよー」


「あ、クラーティアさん」


「おぉ、相変わらずのモコモコですねー」


「クラーティアさんもですよ」


お互いに、羽根と耳を触っている。

クラーティアは狸の獣人だった。


「で、どうだった?」


「あ、はい。大きなお屋敷がありました」


「? なんの話ですかー」


お客さんも少なく、今ちょうどバイトが来たのでカガリは休憩とカウンターから出てきた。

ちなみに、カガリは狐の獣人で体つきが少し細くなっている。


「クリスティーナ、飲み物欲しいんだけどー」


「あらスイ、おかえりなさい! え? お茶会するの!? やだ! 私もまぜて!!」


清水ににこやかに笑いかけたクリスティーナは、大量にストックされた料理とクリスティーナスペシャル! と最高級のクイーン肉を使ったお茶漬けを賄いに渡した。

喜びに泣き崩れる清水。

それを見て一斉に立ち上がる客のプレイヤー。

クリスティーナのメニューにありませんウィンク炸裂。

そして2重の破壊力に失神者続出。


「……………なんだこれは」


ちょうどインしてきたグレンが眉間に皺を寄せて見ていた。


「私の魅力に失神しちゃったのよ。もぅ、モテる女って罪よねぇ」


筋肉女子が罪だ。

きっと、全員の心がひとつになっただろう。











「まずですね、これを見てください」


出されたマップをみんなが見つめる。


「これ、ここに新しい地図とアイコンが出現してるんです。行ってみたら大きなお屋敷がありました」


「ここに、か?」


グレンが、ふむ……とひとつ頷いた。


「どうやら堕天使の特別クエストらしいです」


「え!? 種族のクエストあるんですかー!?」


クラーティアが、すごい勢いでスイを見た。

ビクッと体を揺らしながら頷く。


「それでですね………………………」




スイが聞いた話を全て話しきると、全員が顔をみくらべた。


「……………第3の街、か」


「どうする?」


グレンがカガリに聞くと迷いを見せた。


「もちろん行くつもりだ。ただ今は考えてなかったからな、みんなINした時にでも話するか。スイ、それでもいいか?」


「はい」


ひとりではどちらにしても無理だろう、スイは頷いた。






[緊急イベントが発生しました。緊急イベントが発生しました]




「イベント!?」


運営からのアナウンスが全プレイヤーに発信された。

スイ達はもちろん、食事中のプレイヤーも箸を止めた。



[第2の街の森に現れた大量の巨大蜂が第2の街に襲撃を開始しました。今から1時間後に巨大蜂は街に到着します。それまでに巨大蜂の進行を止めましょう。止める方法は女王蜂に襲撃理由を聞いたら止まります。

1時間後に巨大蜂が街に到着したら、街の破壊が始まります。破壊状態で今後の街の解放状態が変化します。

繰り返します……………]






「……………まさかの緊急イベントとか」


「…………外に出てるメンバーとりあえず呼び出した」


ガタガタとみんながフェアリーガーデンを飛び出して行く中、クラメンたちもアイテムなどを確認し始めた。

スイは回復魔法禁止になったため、有り余るくらいのアイテムを持っているので問題は無い。


「…………てか、蜂が襲うって初めてですー」


「いや、最近巨大蜂がプレイヤーを襲撃してるって掲示板に出てたぞ?」


「え? 本当ですかー?」


あらぁ? とカガリを見るクラーティアに、カガリは頷き返す。


「とりあえずは、私達も森に行く準備した方がいいわよね?」


クリスティーナが自分のストレージ内の食料を見ながら言うと、フェアリーガーデンの入口が開いた。

ぞろぞろと入ってきたクラメン達。

セラニーチェは楽しそうに笑って言った。


「待たせた? ごめんなさいね」











集まったクラメンみんなで噴水広場から1番近い入口へと向かった。

まだ巨大蜂の姿は見えないが、遥か遠くで戦う声が聞こえる。

そして死に戻りするプレイヤーもだ。


「……あれ? デスペナがない」


「緊急イベントだからかな?」


死に戻りしたプレイヤーはデスペナルティが無いことを確認してまた突っ込んで行った。



「………なるほ、デスペナなしか。突っ込み放題だな」


タクがニヤリと笑って剣を肩に担いだ。


「よし、いくか! 目指すは巨大蜂!!」

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