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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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ハチミツの入手 2

《まっておれ》


女王はふわりふわりと巣に戻って行った。

そして小さな瓶を持ち帰ってくる。


《娘達を殺さなかったお主には、ハチミツをやろうぞ》


細い手がスイに瓶を差し出してくる。



女王蜂がハチミツとローヤルゼリーを差し出しています。

受け取りますか?



まさかのローヤルゼリー


「……いいの?」


《……うむ》


そっと受け取ったハチミツはストレージへと収納された。

その数、ハチミツ×99 ローヤルゼリー×99


「!?」


《全てはやれぬ、半分程やろうぞ》



これで半分!?

出してみると、女王が持っていた小ささはどういう事だ!? と思うくらいに大きな瓶が出てきて、中にはたっぷりのハチミツがある。


《……ほかの女王にも話してやろう。場所によりハチミツの味は違う。娘達を殺さないのであればハチミツを分け与えよう》


「!? ほかの!?」


聞いた場所はここだけだった。

他にもあるのか


《うむ、ここ以外は行きづらい場所ではあるが、そなたなら行けるであろう? 翼があるのだから》


ふわりと腕を動かした女王、その瞬間ワールドマップに印がついた。

確かに山の深いところや絶壁

なぜか、海の中にもある。


《それが女王の居る場所だ》


「海もありますよ?」


《海蜂だからな》



ゲーム、不思議だ。


《わたしの娘達は、1年しか生きられぬ。ただでさえ短い命、無闇矢鱈に散らせたくはない。それを覚えておいておくれ》


ハチミツを採取した後、増殖を恐れて刈り取られる蜂たちは1年しか生きられない。

刈り取らずとも増えはしないと言うことだ。

女王の憂いは毎年くりかえされている。



「……………この話、必ず伝えます」


《うむ、頼んだぞ、わたしの愛し子》





ピコン

称号 女王蜂の愛し子を手に入れました。


初めて女王蜂の好意を受け取ったプレイヤーに送られる。

採取したハチミツ、ローヤルゼリーの品質が向上する。



称号!?

スイは目を見開きながら女王を見つめると、初めて女王蜂の瞳が柔らかい光を灯した。


《また、くるがいいぞ》


ふわりと浮かび巣へと戻って行った女王蜂を見送った後、スイは再度ハチミツを見た。


«上質なハチミツ»



「…………感謝しかないね」


瓶を開けてちょっと指の先に付け口に含む。

まったりとした甘さが口の中に広がった。


「おいしい」


スイはストレージにしまい、最高速度で街まで帰ることにした。



「………………それにしても、称号に好意って書いてたなぁ。好感度とかあるのかなぁ?」











今回の情報は、ギルドに瓶3個納品の際に地図に示された他の女王蜂がいる場所以外全て伝えた。

何故か、他の女王蜂の居場所は言わない方が良いと思ったのだ。


それにより、ギルド員と聞いていた街の住人やプレイヤーが新たな情報に驚いている。

そして、ハチミツの品質にも。


「すごい情報だわ、直ぐに全ギルドに情報を出さないと!」


ギルド受付のお姉さんが慌ただしく動き出した中、プレイヤー間の掲示板にも直ぐに情報は回った。


情報料として、別途10万受け取ったスイはそのままクランハウスであるフェアリーガーデンに向かう。

このかなりの量貰ったハチミツをクリスティーナに渡すためだ。












「ただいまー、ねぇ、クリスティーナハチミ…………ツ…………………」


「おかえりなさぁーい!」


ガタガタガタガタ!!!

スイはクリスティーナを確認した!!

10000のダメージ!!

クリティカルヒット!!



「あら? スイったら床は冷たいでしょ?」



倒れ込んだスイに近づき口元に手を当てて言うクリスティーナ。

何故か巨大な貝殻の上にいた。

貝殻には色とりどりの真珠が浮かんだ水があり、その中にクリスティーナが入っているのだ。


「………………それは いったい なんなのさ」


「人魚クリスティーナよ♡」


尻尾が貝殻からぴちゃんと水しぶきを上げながら出てきた。



ムキムキ女子の人魚って誰得だよ!!!



貝殻から出てきたクリスティーナは普通の足が出来ていた。

ちゃんと普通に歩いている。


《貝殻からでたら足が出来るのよ》


「あれ? 声が……」


直接頭に響く音声にスイは首をかしげた。


《あぁ、モデルが人魚姫みたいでね水から出ると足ができるけど代わりに話せないのよー》


話せなくなったが念話が出来るようになったらしい。

その為意思疎通は問題ないようだ。

しかし、破壊力がヤバい。


「なかなかよね、人魚姫なんて。私にとっても似合ってると思わない?」


貝殻に戻って微笑むクリスティーナ

もう全てが反則級である。

今日のお客さんの数が少ないのも、クリスティーナの衝撃に崩れ落ちそのままフェアリーガーデンから出ていく客が続出した為だった。



「……………お、おぅ……………」



チラッとフェアリーロードの皆様を見ると一斉に顔をそむけられた。

それぞれに姿が変わった様子があるが、尻尾付きの人は一様に足の間に尻尾が挟まりプルプルと震えていた。


「…………とりあえず、お土産………」


「!!! ハチミツ!? しかも、品質が!!!」


瓶を受け取ったクリスティーナが貝殻を高速回転しながら宙に浮いた。

回る度に虹色に光る水が綺麗に降り注ぎ虹を作る。

もちろん、自身や料理に水がかかることは無い。


「もぅ! ほんとにスイ大好き!!」


「……………大好き頂きましたー」


貝殻からキュッと抱きしめてきたクリスティーナが今更ながらに口を開いた。


「あら、スイは天使様なのね! かわい♡」



堕天使だがな。




相変わらず、クリスティーナはクリスティーナだった件。

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