4.
神が村に戻ってきた。連れ戻したと言うべきかな。
1人の女の子が村に来ただけなのに、こんなに騒げるってのは大人のよく分からない所のひとつだ。
大して金があるわけでもないのに、大量の酒を飲む。祝い事でも何でもないのに。
「神がお帰りになられたぞ!村をあげての祝の支度を!」
長までもがこの有様だ。
連れてきた僕には何もない。これもいつものこと。
代役者は神との関わりを理由に色々なことを押し付けられる。断れば無礼ものだと罰を受けることになるから、断ることもできない。
「代役者はどう思う」
「はい?」
知らないうちに何か真面目な話になっていたらしい。
「話を聞いていないのか。ったく」
聞いていてほしいのなら先に言ってほしいものだ。
「今、我々は坂を上っている。神が戻ってきたしのう。この機に常識人を滅ぼそうと思ってだな。流石に一気には無理だろう。手始めとしてスワナを乗っ取る。領地のでかいこの国が異常人に占領され、常識人が皆殺しになったらとなれば、周りの国の我々への見方も変わるだろう。お前はどう思う」
この国を乗っ取る?
こいつらは何を言っているんだ?
異常人は100年前の悪魔狩りでほとんどが死んだ。今生きているのは100人程度だ。
この人数で1万人いるスワナ兵に勝てる訳がない。
「いいと思いますよ。相手は1万人いますけど、所詮常識人。人を殺せる能力を持つ僕らの前では無力ですよ」
「よし!すぐに取りかかるぞ!今日の夜に村を出る!!」
面白そう。
それだけで決めたけど、まぁいいよね。
楽しませてもらおうじゃないか。