4.
リオンの部屋の前を通った時、上の階から大きな音がした。
「何だ?」
王子の部屋で何かあったようだ。誰かが大きな声で何かを言っている。
巻き込まれたくないから、こっそり覗くことにした。
階段を上っている間も、ドタバタと揉めるような音が続く。
雑音だった声がはっきり聞き取れるようになってきた。
「そんなものあるならこんな事していませんよ!」
あれは、アルルワの使者か…?
音を立てないようにドアをそっと開ける。
ドアの隙間から見えたのは、後ろ向きのアルルワの使者と、王子を庇うリオンの姿だった。
(王子を殺しに来たのをリオンに見つかったっていう感じだね)
状況を把握してもドアの向こうには行かない。巻き込まれるのはゴメンだ。
「な、何しやがる!!」
「大人しくしていてください!!」
リオンが王子の目を隠して目を閉じた。何が始まるんだろう。
無の時間が少しだけ続いた。
「ゔ…あが……ぐぉ………」
(死んだ…!?何もしていないのに!?あんな事ができるのは神くらいのものだぞ!?……まさか!!)
「…リオン?リオン!おい!リオン!!」
やっと見つけた。長年探し続けてきた僕達の宝。
早く長に知らせなきゃ。