表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
異世界編
6/61

六話 酒場

 村の門では多くの村人が出迎えてくれていた。車を長老の家の前に止めると、すでにトラックが止まっていた。トラックの中を覗い


ても佐藤の姿は見えなかった。すでに長老の家の中に入っているのだろう。


「おお!帰ってきたか!結果は残念じゃったが、二人が生きて帰ってきただけでも十分じゃ」


 まぁ、佐藤の友達は救うことは出来なかったが、ガソリンと小型トラックを手に入れることが出来たから一応プラスにはなったのかな



「今日はもう遅いからワシの家の部屋を使うがいい」

「あれ?宿は?」

「スマンが、宿は他の村から来た者に貸してしまって空き部屋は無いんじゃ」


 それならしょうがないか。そういわれて長老に付いていくが紹介された部屋は一つだけ。しかも、その部屋は確実に二人用の部屋だ。


「え?ここに佐藤さんと二人?」

「そうじゃが何か問題か?」


 おい。佐藤も顔を赤くしないで長老を罵倒してやれ。


「とんでもない間違えが起こったらどうするんだよ!」

「ムフフ、ワシは別に構わないがな」


 このクソジジイ、ちょっとでもいい人だと思った俺が馬鹿だった。部屋に入ると、佐藤はすぐにベットの中へ入り布団を頭から被っている。


「大丈夫だって、襲ったりはしないよ」

「本当?」

「本当だって。向こうの世界には彼女が居るからな」


 佐藤はもぞもぞと布団から出てくると椅子に座る。本当に襲われると思っていたのかよ。


「なんであんなことに……」

「まぁ、あんなにゴブリンが車を使いこなしていたのが凄いよな」

「そうじゃなくて!あんなに人が殺されていたのよ!」


 あぁ、そっちのことか。大体ああいうのは、男は問答無用で殺されて、女は犯されるのがセオリーみたいな物だからな。でも、そういうのはあまり伝えないほうが良いかな?


「知らなぇよ。そんなのはゴブリンに聞いてくれ」


 窓を開けて外を見てみると、佐藤が運転してきた小型トラックに人が集まっている。一方で愛車のプリウスには誰も集まっていない。もう飽きたのかよ。


「これからどうするつもりなの?」

「本当、どうしたらいいのか分からないな」

「とにかく魔王に会ってみませんか?そうすれば何か分かると思うんです」


 長老の言っていた魔王を倒した後に勇者が消えるのは多分もとの世界に帰るという意味だと捉えたい。


「どうやって魔王に会うんだよ」

「それは……明日に長老に聞いて見ましょう!」


 何か投げやりだな。魔王がいい人だと良いな。というか、魔王って人なのか?モンスター?まぁいいや。今日は寝よう。


「今日はもう寝よう」

「そうですね。おやすみなさい」


 佐藤はすぐにベットに入ると、すぐにスースー寝息を立て始める。そりゃ、今日は色んな事があったからな。すぐ寝るのも無理は無いか。

 それにしても、ゴブリン達は車の使い方をどうやって学んだんだろ?説明書なんて読めるわけではないし、殺された人たちが冷静に教えられるとは考えにくい。


「ふぁ~」


 やべ、眠くなってきたな。いろいろ考えるのは明日にして今日はもう寝るかな。


~次の日の昼~


 朝だと思って起きると太陽はすでに真上にあった。多分昼だな。横のベットを見るとすでに佐藤は居なくなっていた。とにかく下に下りるか。


「あ、起きたんですね。今、昼食を用意しますね」


 メイドが奥のキッチンから食事を運んでくる。パンと、サラダのいたってシンプルな昼食で日本にいたときよりも健康的な昼食だな。


「長老。」

「どうした勇者よ?」

「佐藤さん見かけませんでしたか?」

「多分、情報を集めに酒場に居ると思うぞ」

「ありがとうございます。昼食を食べたら行ってみます」


 味の薄い昼食を食べ終わると外に出ると、小型トラックにはまだ人だかりが出来ていた。酒場の場所でもそのうちの一人に聞くか。


「酒場なら宿の横にあるぞ」

「ありがとうございます」


 早速、宿の横に行くと、確かに酒場があったが正面には札がかかっていた。札の文字は見たことの無い文字で読むことが出来なく閉まっているのか開いているのか分からなかったがとりあえず入ってみる。


カランカラン


「あ、お客さん。今は営業時間外です」

「田中さん。こっちこっち」


 とりあえず佐藤の横の席に座る。


「失礼しました。勇者さまでしたか。ご活躍は聞いております」

「お世辞は良いよ。で、何を話していたんだ?」

「魔王の城に関することよ。この人は魔王城に一番近い町に二年前まで住んでいたんだって」

「へぇ~それで場所は分かったのか?」

「ここから、二つ目の町「オルガ」って町に貴族の城が会ったらしいんだけど五年前にモンスターが貴族の一族を虐殺してそこに住み始めたんだって。それからオルガの町はモンスターの統治下に置かれて住民はほとんどが逃げたらしいだけど、一部の住民は残っていたらしいよ。それで、このマスターは二年前に耐えかねて家族でこの町に移住したんだって」

「そのとおりです」


 マスターがカクテルをカウンターテーブルにおいてくれた。それを飲み干してからいろいろ考えよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ