四十五話 県大会一位
道路上に小さいエイリアンが大量に飛んで来た。
グシャッ
流石に小さいと車を受け止めるだけの力は無いみたいだな。タイヤで簡単に踏み潰せてしまう。
「屋根に乗っていたのは落ちていったみたいね」
「フロントガラスに飛び乗った奴はワイパーを動かしたら落ちたからな」
それにしても、これだけの小さいエイリアンがどこから沸いて出てきたんだ?まず、エイリアンの繁殖方法って何だ?分裂?それとも普通に交尾して卵でも産むのか?
「後ろからデカイ車が来るよ」
バックミラーを見ると小さいエイリアンを踏み潰しながら車がやってくる。美香の言う通りデカイな。
「どんな人が乗っているんでしょうね?」
「あんな車に乗るのはまともな奴じゃないですよ」
一体あのデカイ車に何の恨みがあるんだよ。っと、横に並んできた。ピックアップトラックだ。
「田中さーん」
「えっと……誰だっけ?」
デカイ車の助手席から猫耳を付けた女が手を振っている……マジで名前が思い出せない。
「金澤千歳ですよ!」
「あぁ、ごめん。今思い出したよ」
運転席の男は誰だ?なんか町を歩いていれば二人ぐらい見かけそうな顔だ。
「とりあえずエイリアンも見当たらないし路肩に寄って停車して」
金澤さんの言う通り路肩に車を停車させた。
「誰でしょうね?」
「知るか」
車から降りるとすでに金澤さんと男が車の目の前にいた。
「こちらの人は?」
「政府の犬の野原太郎さん」
「おい」
「ごめんなさい」
何か仲良さそうだな。政府の犬ってことは公安か?それとも警察か?
「野原さんって警察の人ですか?」
「まぁ、警察官ですね」
美香と橋本さんが遠くから見守っている。もしかして、野原さんが警察官ってこと知ってるのか?
「後ろの二人とは久しぶりに会うんですけどね。冷たいですね」
「知り合いなんですか?」
一体どういう感じで知り合ったんだろうか……?この感じからするに良い感じで出会ったわけではなさそうだな。
「この人に捕まりかけたのよ」
「その時に後頭部を、そこの橋本に殴られて気絶させられたけどな」
「その説は……すいません」
「その話は後だ。とりあえずお前達二人にも手伝ってもらおう」
魔法のかかった石を和歌山県に届けてもらおう。戦力的には心配だけども大丈夫だろう。
っとその前に事情を話さないと。
「なるほどね……一応引き受けるけれども武器を貸してくれない?」
予備は持ってきてあるし、ハンドガンでも渡せばいいだろ。
「ハンドガンだけで良いか?」
「それだけでも十分。野原は射撃の腕は良いみたいだし」
「一応、県で一番でした」
大会で一番でも実践では役に立つかは不明だ。
「予備も渡しますけれどもそんなに多くはないので気をつけてくださいね」
「たいがい車で跳ね飛ばすから大丈夫です」
あのデカイピックアップトラックなら普通のエイリアンなら跳ね飛ばしてもへっちゃらだろうな。ってか、普通のエイリアンってなんだ?まぁ
良いや。
「それじゃあ、途中まで私達が護衛しますけれども、その先は自分達でがんばってください」
「オッケー」
ガサッ
早速、一体の野良エイリアンが現れた。どうしようか?攻撃?逃げる?魔法?
「野原!県一位の実力見せて!」
「見て驚くなよ」
意外と、このエイリアンすばしっこいぞ!こんなの機関銃で掃射しないと当たらないだろ。
「どこ狙えばいいんですか?」
「え……?多分頭のデカイ部分」
パァン
エイリアンが倒れた。一発で仕留めやがった。大会で優秀でも実力はどうとか考えてごめんなさい。
「やるじゃん」
「練習はこれくらいにして急ぎますよ」
カンタレが後部座席に乗っている。お前も運転しろよ。
先頭は野原さんが運転するピックアップトラックが走ってあらかたのエイリアンを蹴散らしてくれれば、こっちの車の被害は少なくて済む。
「名古屋を過ぎた亀山ジャンクションで金澤さんは和歌山へ、私たちは山口へ向かいます」
「いまさら説明しなくても知ってる」
もうすぐで浜松だ。静岡はまだエイリアンの出現が少なかったけれども浜松はどうだろうか?もっとやばいのは名古屋に入ってからだけどな。
浜松市内に入った。高速道路上に事故車両が増えてきた。場所によっては車一台と折れるかどうかの幅というところもあった。
「生存者はいないね」
「隠れてるか……殺されてるんでしょうね」
「いつまで逆送すればいいんだよ」
「そうですね。もうすぐで浜松北ですので、そこで降りてもとの車線に戻りましょうか。トランシーバー連絡とっておきますね」
『全部聞こえてたよ。浜松北ね』
スイッチが入りっぱなしになっていたのか。
浜松北のインターで降りる。料金所では乗用車が一台料金所に突っ込んでいる。大破した車にはエイリアンの死体も一瞬だが見えた。エイリアンが車に飛び乗って制御不能になった車が料金所に突っ込んだんだろうな。
「さぁ、見てないで元の車線に戻りますよ」
ピックアップトラックとアウタランダーPHEVは元の走行車線へと戻った。




