四十四話 初めての撃破
「道を完全に塞がれてますね」
「あぁ、トラックを退かそうにも運転席が完全に潰れて動かせそうに無い」
よく見ると、多重事故を起こしているトラックの隙間に潰された乗用車が何台も見える。相当なスピードで衝突したんだろう。これじゃあ中にいた人たちはエグいことになっているだろうな……。
「この事故の奥がどうなっているか見た方がいいですよね?」
「そうだね。橋本と一也で見てきてよ」
「そうですね。お願いします」
持って行く武装はM16と拳銃だけでいいか。橋本さんは拳銃だけだ。
「それだけで良いんですか?一応人数分はアサルトライフルを持ってきてますよ」
「そんなデカイ銃なんて使ったことありませんからね。こっちの方が使いやすいですよ」
「それならそれで良いんですけどね」
周りを警戒しながらトラックのキャブに備え付けられていた梯子を使ってトラックに上って先を見ると車が高速道路の先までびっしりと並んでいた。
「渋滞の最後尾にたラックが突っ込んだみたいですね」
「これじゃあ、トラックを退かしても通れそうに無いな」
「一旦戻って対向車線を逆走するしかなさそうですね」
逆走か……万が一対向車が来たら避けられるかな?そのときはカンタレが何とかしてくれるだろ。……こんな考え方ダメかな?
「さぁ。戻りましょう」
この渋滞を眺めていてもどうしようもない。車に戻って一個前のジャンクションから対向車線に移るとするか。
車に戻るとカンタレと美香が車の周囲を警戒してくれていた。
「どうだった?」
「ダメだ。車がびっしりと並んでいて通れそうに無い」
「なので、一つ前のジャンクションから戻って対向車線を走ることにしたんです」
「そっちの方がよさそうですね。町のほうはエイリアンの巣窟となってるみたいですからね」
「カンタレが何とかしてくれるんじゃないのか?」
「流石に二十体限界ですよ」
二十体ならいけるのか……カンタレすごいよ。
車に乗り込んで来た道を戻る。こうやって高速道路を逆送するのは何だか緊張するな。警察も機能して無いだろうし大丈夫なんだろうけどな……。
「前のジャンクションって新清水だったよな」
「そうだよー」
しばらく走ると新清水のジャンクションが見えてきた。ここから降りて対向車線に入ればいいのか。
ジャンクションのに入っていくと目の前からセダン車が迫ってきた。
パァー
クラクションを鳴らされた。逆送してくる車が居れば誰でも驚くよな。一応セダンに乗っている人にも教えておくか。
「この先事故で通れませんよ!」
中に乗っているのは老夫婦か。
「ありがとう」
運転手の老人はそのまま高速道路へと入っていった。絶対に意味が分かってないだろ。
「あの人達大丈夫ですかね?」
「多分ダメでしょうね」
ジャンクションの入り口から出ると早速エイリアンが乗用車を漁っていた。ヤバイ、ばれたかも。
「あ、こっちを見た」
「そんなの良いから!早く高速へ!」
「カンタレが倒せばいいだろ!」
「え?疲れるんで嫌です」
ふざけんじゃねぇ!そんな猶予なことを言っている場合か!って、言いたいところだけどもカンタレの力も温存しといて損は無いよな。
「追いかけてきたら練習として美香、倒してみろ」
「分かった」
一方通行の道を逆走して高速道路に向かう。後ろには……やっぱりエイリアンは追いかけてくるか。
「撃て!」
「ジャンクションのカーブで撃てる訳ないでしょ!」
美香は俺とカンタレとは違って訓練を受けてないからな。射撃の腕は素人に毛が生えた程度だろ。橋本さんは……ド素人だろう。
しかし、もうすぐで本線に合流する。そうすれば、言い訳も出来ないはずだ。
「ほら!合流したぞ!」
「マガジン一つ使わせてもらうよ!」
美香が窓を開けて身を乗り出してM16を連射し始めた。
「倒した!」
バックミラーとサイドミラーで確認するとエイリアンは追ってきていない。ちゃんと倒したんだな。
「弾はちゃんと残っているよ!」
「初めてにしては上手ですね」
「えー、そうかな?」
照れるな。これからこの技術が必要不可欠になるんだからな。
「次は橋本さんがやってみたらどうです?」
「練習しといた方が良いですよね」
「もちろんじゃない!」
「美香!いい加減にトリガーから指を離せ!」
「あ、ごめんごめん」
射撃だけじゃなくて、こういう基本のことも教えていかないと。そのうち背中から撃たれそうだ。
もうすぐでトラックの多重事故現場が対向車線に見えるはずだ。見えた。事故を起こしているトラックの前に、さっきすれ違ったセダン車が小さい物体に襲われている。
「アレって何?」
「さぁ?通り過ぎたのが一瞬だから良く見えなかったよ」
「私も見えませんでした」
ドン
「何かが上に乗りました!」
「知ってる!」
上に何かが乗ったけれどもそこまで大きい物じゃないな。今までに見たエイリアンの大きさだと屋根が凹みそうだけど……。
「何か飛んでくるよ!」
今度はフロントガラスに黒い物体が乗ってきた。小さいエイリアン!?それが対向車線の渋滞の中から大量に飛んできていた。




