四十一話 繁殖
こういうときに『やったか!?』って言葉は禁句なんだろうなぁ。
「いってー!」
ダンプから男の人が出てきた。アレだけ派手に民家に突っ込んでおいて、よく生きてるね。
「大丈夫!?」
「大丈夫だ。昔から体は丈夫なんだ」
そんな事聞いてないし。それよりも大きいエイリアンは……緑色の液体が民家に飛び散っている。これは死んだでしょ。
「倒せたみたいだね」
「そうだな。これからどうすればいいんだろう……」
本当にどうすれば良いんだろうね?さっきの感じだと警察は機能して無いだろうし、一回町に戻った方がいいかな?あそこならカンタレさんとか佐藤さんもいるからここよりは安全かな?
「私達の仲間のところへ行かない?」
「俺も?」
「当たり前でしょ。警察もダメになった今、自衛隊か特別治安軍ぐらいしか頼れないでしょ」
「わかった」
そうと決まったからには移動手段の確保ね。公共交通機関はまともに機能してないから、そこらへんの車を借りるしかなさそう。
「まずは車を探しましょう」
「俺はこういう事態にはなれてないからお前の指示に従うよ」
車はそこらへんにいっぱい有るけども破損している物ばっかりで使えそうに無いなぁ。
「そこのスーパーで飲み物買って良いか?」
「こんなときに……」
「ちょっと飲み物を貰うだけだ。すぐ終わるって」
この周辺にはエイリアンは見当たらないし、飲み物だけなら大丈夫でしょ。
「私も付いていく」
「何だ?喉でも渇いたのか?」
「違う!あんた一人じゃ不安なだけ!」
早速スーパーに入ろうとしても店に電気が来ていないのか自動ドアが開かない。手で開けてみると、開いた。
「真っ暗だ。スマホのライト使うか」
「そう言えば自己紹介してなかったね」
「お前の名前は知ってるよ。金澤千歳だろ?捕まえる相手の名前ぐらい知ってるよ。あ、俺は野原 太郎だ」
「何か履歴書とかのサンプルに書いてありそうな名前ね」
「よく言われる」
スーパーの中は予想していたよりも荒れてるわね。それでも死体が見当たらない。
「今、向こうの生肉コーナーから声が聞こえなかったか?」
「生きてる人かも、一応注意しながら向かうよ」
生きてる人が居ればその人も一緒に連れて行けば良いでしょ。まぁ、あまり大所帯になってきたら考え直さないといけないけどね。
生肉コーナーに行ってみると、数人の男女が陳列棚にもたれかかって座っている。腹からはかなり血が出てる。早く治療しないと出血多量で死んじゃう。
「野原さん!消毒液とか治療できそうな物ありったけ持ってきて!」
「お、おう」
とりあえず近くにいた女の人の腹を押さえて止血してから……。
「お願い……おなかの卵を……」
腹に卵?
「ギャアオオ!」
女の人の腹からエイリアンの声が聞こえてくる。もしかして卵を植え付けられて……。
「おーい、消毒液とか持ってきたぞ……って、どうした!?」
「この人達から離れた方がいいかも」
「いや……お願い……助けて……ああああああああ!」
小さいエイリアンが腹を食い破って出てきた。しかも一匹じゃない。五、六匹くらいいるんじゃない?出てきた子エイリアンは女の人を食べ始めた。他の人達も同じ様なことになっている。
「うげえええ!」
「吐き終わったら逃げるよ!こんなに小さなエイリアンでも、武器を持たない私達じゃ勝てないよ!」
「……吐き終わった」
入ってきた出口に向かうと外にエイリアンが居る。このまま出ればエイリアンと鉢合わせになる。
「裏口から逃げようぜ」
「それがよさそうね」
店舗の事務所に入ると店の服を着た男の人が首から血を流して倒れている。よく見ると胸ポケットから車の鍵らしきものが見えている。
「車の鍵だ。これで移動手段を手に入れたな」
「どの車か分かんないよ」
「ボタンを連打していれば車のハザードランプが点滅するだろ」
裏口から外に出ると駐車場には車は一台しか止まってなかった。こういう形の車はピックアップトラックって言うんだっけ?大きすぎて日本だと取り回しに困りそう。
「これの鍵かな?」
「これだろ。ボタンを押したらハザードランプが点滅してるし」
早速乗り込んでみると見かけに反して室内は狭い……。これだけ大きいと私が運転すればすぐにベコベコにしちゃいそう。
「俺が運転する」
「うん。任せる」
野原さんがエンジンを掛けると大排気量のエンジンが唸りを上げてる。これだとエイリアン共がよって来るだろうな……ほら、やって来た。
「この車なら轢き殺せる!」
「え!?懲りてないの!?」
ドガッ
流石アメリカンサイズ。エイリアンを二、三匹轢いても大丈夫そう。このまま助手席で寝ててもいいかな。
「んで、どうやってお前の仲間が居るところまで行けばいいんだ?」
「……私がナビ代わりになるわ」




