四十話 プロパンガス
今、前のパトカーに群がっているのって映画とかでよく見たエイリアンって奴じゃない!?
「おい!目の前の生物は何なんだ!?」
「あんなの見たこと無いわよ!」
「嘘をつくな!向こうの世界にいたんだろ!?」
「そんな事言ってないで車を出して!次はこっちが狙われるよ!」
前のパトカーに群がっていたエイリアン共がこっちを見てる。確実に次の標的にされた!
「早く!」
ドガッ
屋根が凹んだ!まさか屋根に!?
「早く走り出して!」
車が急発進をした。屋根に乗っていたエイリアンもその時に振り落とされたみたい。
「本部!応答してくれ!」
運転席の男の人が備え付けの無線で連絡を取ろうとしているけれども無線機からは悲鳴交じりのノイズしか聴こえてこない。これは警察もヤバイ感じかな。
「一度本庁に戻る。お前は大人しくしていろ」
「はいはい」
なんか任せるの不安だな……。
「うわああああ!」
「くるなああ!」
外からは断末魔が聞こえてくる。半年前もこんな感じだったのかな?私は洗脳されて人を襲っていたらしいけどもまったく覚えていない。気が付いたら留置所の檻の中で拘束されていたからね。
「おい!猫女!お前銃の使い方分かるか?」
運転席から拳銃が投げられてきた。投げないでよ。暴発したらどうするつもりなのよ。渡された銃はニューナンブM60かな?でも、生産終了して他の銃に変わっていたはずなんだけどなぁ……。
「使えるけど……銃を渡していいの?」
「仕方ないだろ。俺は運転してて銃を使う暇なんて無いんだから」
そんな会話をしている間にエイリアンが屋根に乗ったみたい。この銃で車の屋根を抜けるかな?
パンパン
「ギャガア!」
エイリアンが車の後ろに落ちていった。何とか倒せたみたい。
「撃つなら撃つって言えよ!耳がキーンとするだろ!」
もう川崎市に入っていた。川崎市も酷い状況ね。パトカーも襲われて近くに警察官が首を切られて死んでる。
「本当に本庁は大丈夫なの?」
「多分……ダメかもしれない」
まぁ、そうでしょうね。
突然目の前に今まで見てきたよりも一回り大きいエイリアンが目の前に現れた。でかくなると気持ち悪!
「化け物が!ひき殺してやる!」
「ちょっ!流石に無理でしょ!」
ダメだ。聞いてない。車がどんどん加速していく。シートベルトしとこ。
ドゴッ
運転席と助手席のエアバックが作動した。私はシートベルトをしていたから無事だったけれども、運転席の男の人はしていなかったからハンドルに頭でもぶつけたんじゃ……。
「いてぇ……」
よかった生きてた。それよりも、大きいエイリアンはどうなったのかな?車も使えそうに無いし外に出て状況確認をしないと。
外に出て車の前を見ると大きいエイリアンが車のひしゃげたボンネットを押さえていた。これって車の突進を受け止めたってこと!?
「ギャオッ!」
こっちを見てる。私を狩る気満々じゃない。周りを見ても死体が転がっていて助けてくれそうな人はいないし、私が頑張るしかないみたい。
残弾は残り四発だし、大切に使わないと。他に周りに使えそうなものはプロパンガスを積んだガス会社のトラック位か……。プロパンガスってこの小さな銃で撃ちぬけるかな?
「ギャア!」
エイリアンは待ってくれないみたい。とりあえず一発撃ち込んでダメージを与えられるか試してみないと。
パン
当たったよね?絶対に当たった。それなのに大きいエイリアンはびくともしないって……勘弁してよ。
ブシャッ
エイリアンの尻尾の先端から黄色の液体が出てきた。アレに触れたら確実に怪我するだろうから避けとこ。
地面に落ちた液体を見ると、地面が少しだけ溶け始めている。触らなくて良かった。アレに触っていたら今頃骨まで溶かされていたんだろうな。
とりあえず今のところの作戦は大きいエイリアンをプロパンガスを積んだトラックにおびき寄せてその後でプロパンガスを爆発させる。
流石に粉々にすれば再生とかもしないよね。
「うあ……」
エイリアンが運転席の男の人を見てる!
「あんたの相手はあたしでしょ!」
銃弾が当たると流石にこっちを見た。ってことは、当たっているという自覚はあるのかな?こっちに歩いてきた。そのまま来なさい。そうすればプロパンガスを大量に積んだトラックはもうすぐよ。
「ギャアッ」
飛び掛ってきた!
「くっ!」
何とか避けることが出来た。飛び掛ってきたおかげで大きいエイリアンはプロパンガスを積んだトラックに激突した。後は残りの銃弾をプロパンガスに叩き込むだけ。
パンパン
甲高い音がした後にプロパンガスから火が吹き出でいるけれども爆発する気配は一切無い。もしかして映画とかで爆発しているのは演出で、実際には爆発しないの!?でも、吹き出た火が大きいエイリアンに直撃している。
運転席にいた男の人は……いない。逃げたのね。
ガゴン
え?大きいエイリアンがプロパンガスを投げてきた?あれって結構重量なかったけ?
ガゴン
「うぎっ!」
投げられてきたプロパンガスを避けきれずに左腕に当たった。ヤバイ、肩が外れた。直そうにもそんな余裕無いし……。
プァン
一台のダンプが少し先の交差点から猛スピードで迫ってくる。運転席にはさっき逃げた男の人が乗っている!もしかして体当たりする気!?
大きいエイリアンは避けるのを諦めたのか受け止める気満々だし、私はこの隙に物陰に……。
ドゴッ
ダンプは大きいエイリアンに突っ込んだ。大きいエイリアンでも流石にダンプは受け止め切れなかったみたい。フロント部分にしがみついたまま放そうとしない。そのままダンプは突き当たりの住宅に突っ込んだ。




