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異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
異世界編
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十話 旧日本軍

「これって何か罪になりますかね…」


 教頭は俺の腕を掴み、校舎の中へ連れて行く。ヤバイ、これ消されるんじゃね?

人気の無い教室に入るとカーテンをすべて閉める。


「今、疲れてない?」


 教頭のメハの言うとおり鳥を蘇生させたときにかなりの疲労感が襲ってきていた。


「はい。結構疲れました」

「良い?蘇生が禁止になっている理由は生命力を死んだ物に分け与えるからよ」

「分け与える?」

「そう。今は小さな鳥だったからいいけども、これが人間となるとあなたは今頃意識不明か、死んでいるでしょうね」


 そうか、授業で行っていたことはフェイクで実際はこっちの理由で禁止されているんだな。だったら、最初からこのことを教えておけよ。


「この蘇生を使える人はね限られているの。私が知っている限りではこの学校の校長と、さっき授業をしていた教師、町長のカンタレ、そして貴方よ」


 そんな貴重な人材だったのか。それでも、小さな鳥を助けるだけでもこの疲労感、人間なんて生き返らせた暁にはこりゃ死ぬな。


「今後一切蘇生なんて使わないで」

「そんな事言われましても、発動条件とか分からないですし」

「死んでしまった人、動物に触れながら生き返れとか生き返ってくれなどを願わない限り蘇生されることは無いと思うわ。あと、死後一日以上なら蘇生は出来ないわ」


 そんな事まで分かっているのか。一体誰がそんな危険な賭けをしながら調査したんだ?


「これはね、町長のカンタレが命を懸けてまで調べたの」


 あの町長、見かけは頼りないおっさんだけどもそんな危険なことをしてまで調べたんだ。尊敬するよ。


「良いですか?このことは誰にも話さない様にしてください」

「……分かりました」


 校庭に戻る間教頭とは一言も喋らなかった。というか、そんな雰囲気ではない。


「あ!どこ行ってたの?もう授業終わるよ」

「トイレだよ。トイレ」


キーンコーンカーンコーン


「はーい授業はここまでです。見つけられなかった人はがんばって見つけてくださいね~」

「「はーい」」


 どうやら一年生の授業はこれで終わったらしい


「これからどうされますか?他の授業を見てみますか?」

「いや結構です。ここまでしてもらってありがとうございます」

「いえいえ。構いませんよ」


 放課後に秘密基地に行くって佐藤が勝手に約束しちゃったからな。流石に、破るわけには行かないだろ。


「それでは失礼します」


 佐藤は子供たちと一緒に楽しそうに話していた。


「おーい、行くよ!」


 佐藤はこういうときは行動が早いな。というか、何で佐藤が俺の車の鍵を持ってるんだよ。


「何で俺の車を使うんだよ」

「子供たちを乗せるのに私のバイクじゃ無理があるし…」


 学校の正面で子供たちを待っていると三人の子供たちが走ってくるのが見えた。


「早く行こうよ!」


 子供たちが目をキラキラさせて車の鍵を見ている。さては、秘密基地よりもプリウスに乗りたいんだな。

車に乗り込むと、明らかに子供たち三人の目が輝いている。


ウィーン


「窓が勝手に開いたよ!」

「あれ?扉が開かなくなったよ」


 念のためにチャイルドロックを掛けといて正解かもな。この調子だと走行中の車から飛び降りそうだしな。


「どこに行けばいいんだ?」

「北門を出て真っ直ぐ行って丘を越えた森の中だよ」

「ゴブリンとか出ないの?」

「出ないよ。大人たちが全部倒しちゃったからね」


 北門へ向かうと門はすでに開けられていた。その横には門番らしき人が立っているが立ったまま寝てる。こんなのが門番でいいのかよ。

門から出ると、草原が広がっていた。

草原を走る中、簡単だが後ろの子供たちが自己紹介をしてくれていた。助手席側のちょっと小太りの男の子はマイ、真ん中のロングヘアーの女の子はミケ、運転席側の丸坊主の男の子はヤマイらしい。全員ガナス生まれガナス育ちらしく、他の村へは行ったことが無いらしい。


「この乗り物早いね」

「そりゃ、1800ccとモーターを使ってるからな」

「せんはっぴゃくしーしー?」


 そういえば、そんな事を説明しても分かる分けないか。もっと分かりやすく言い換えないとな。


「前の箱の中ですごい力の魔法が使われてるんだよ」

「えー!?すごいね!」


 子供は純粋でいいな。俺もこれだけ純粋だったらこんな捻くれた性格にはならなかったかも知れない。


「この先に大きな木があるの。そこから奥に進むと秘密基地があるんだよ」

「結構遠くにあるんだね」

「町から半日かけて歩くんだぜ!」


 子供たちの言う通り、周りの木とは違う大きさの木が生えている場所があった。何だこの木は?太い竹か?


「もう見えてきたよ」


 ミケが指を差す先には小さな木造の小屋がツタに覆われていた。その横には同じくツタに覆われた鉄の塊があった。


「小屋の中にはいっぱい不思議な物があるんだよ」

「この前、マイが持っていた筒から大きな音と、振動がしたんだよ!」


 扉を開けて中に入ると、そこには幾つもの小銃が壁に並んでいた。どのライフル銃も見た目は古く、第二次世界大戦で旧日本軍が使っていた三八式歩兵銃と似ていた。というか、本物だ。

子供たちは楽しそうに、小銃を振り回して遊んでいる。


「これって…」

「あぁ。俺の記憶が正しければ、旧日本軍が使っていた小銃だ」

「お姉ちゃんたちにもあげる」


 小銃をそれぞれ貰うが、こんなの怖くて持っていられねぇ。この子達はこれがどんな道具か知らないからこんなに振り回せんるんだ。止めさせないと怪我どころじゃなくなる。


「ねぇ、田中、教えてあげた方が…」

「分かってる!今教える!」


 声にビックリしたのかこっちを子供たちがこっちを見る。驚かしてごめんよ。でも、これは流石に危険すぎる。そもそも、長いこと放置されていたのに使えるのか?暴発はしないのか?いいや、そんな事を考えてる場合じゃない。いかに銃が危険かを子供のに教えるんだ。


「良いか?今からこれの本当の使い方を教えるから外について来い」

「「「うん」」」


 外に出ると、小屋の中に会った空の缶詰を30メートルほど離れた場所に置く。この距離なら初めてでも当たるだろ。たしか、レバーを引いて、戻して引き金を引く。


パァン


キィン


空の缶詰が吹っ飛ぶ。横の子供たちを見ると、恐怖からか表情が固まっていた。佐藤に至っては目に涙を溜めていた。


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