一話 はじまり
今回から完全新作を書かせてもらいます。
よろしくお願いします!
「はぁ~」
溜息をついているのは休日に会社主催の植林活動に無理やり参加させられた田中一也25歳だ。
寝坊をしてしまい、愛車のプリウスを法廷速度+10キロほどで峠を攻めている。
『……次のニュースです。1年前に行方不明となった自衛隊員5名は現在も行方が分からないままとなっており警察や、自衛隊では捜索の打ち切りを決定した模様です。次のニュースです。アメリカで開催中の……』
カーラジオから聞こえてくるニュースはどれも殺人、強盗、汚職といった不吉なことばかりで一向に楽しくなりそうな気配は無い。これならロードノイズを聞いていたほうがましなくらいだ。
カーブを抜けると『植林会場まで3キロ』の看板が見える。同時に霧が出始める。
「霧のなか運転なんて初めてだな……」
霧は次第に濃くなっていき、突然舗装路が無くなり、砂利道になる。
おかしい。さっきまでの道路はどこに消えた?それと、カーナビの「GPSの受信に失敗しました」って表示なんて日本国内で見る表示なのか?
いや、まさかと思うが中学、高校とライトノベルやアニメを見てきたがこういう感じのパターンだと異世界に……考えたくも無い。
とにかく、この道を進む以外道はなさそうだな。
~30分後~
ありえねぇ、さっきからずっとこの道がカーブすることも無ければ、他の道との交差すらせずにひたすらまっすぐ進む。
すると、うっすらと前方に門らしきものが見える。
「何だよ……驚かせやがって」
門に着くころには霧は晴れており、目の前には南国風の民家が並んでいた。
民家の中からはゾロゾロとザ・ファンタジーな服装の人が次々と出てくる。
「くそっ!」
パーー
広い草原にクラクションの音が響き渡る。