刃
さて、これは人の視点なのかはたまた霊の視点なのか……刃は鎌だったり?
夜の到来、私の時間だ
私は靴を履いて、フードを被り外に出る、右手に温かく、しかし冷たく冷える刃を持ちながら
刃は自ら私を温めてはくれない、私は側溝に自分の血を流すために刃を左手に当てる
私の指に刃を走らせる
私の指に切れ込みが走る、ポタリ、ポタリと血が垂れる
それを刃で受け止める、刃は喜んでいる……私はフラフラ歩き始める
私のまわりには人がいない、私しかいない。私は気づかれない
私は刃を傷つけない、刃は私を傷つける
人は私を傷つける、刃は無差別に傷つける
私の胸に刃を突き立てる、刃が折れる、私は死ねない
刃を見ると折れていない、道には欠けた刃が怪しく光っているのに……
私の腕に刺そうとする、刺さらず欠ける、私は死ねない、刃では死なない
誰も私に気づかない、私は刃に導かれる、刃がベンチに座る男に刺さる、私は刃を抜く、そして男は次の日に死んだ。
刃が刺さった人は次の日に死ぬ
私には刺さらないのに、他人には刺さる
私はいつまでも死ねない、今日も夜が開ける、次の夜まで私は休む
次の夜にまた私は導かれる
私は死ねない、いつ死ねるのかわからない
やめよう、リストカット