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3、敗者の困惑

今回は少し短めかも



エフside


気が付くと知らないベッドの上にいた。はっとして飛び起きると、ツキリと首筋に痛みが走る。


「.....っ」


そこで、全てを思い出した。

と同時に、ふつふつとまた怒りが込み上げてくる。

あいつの言葉、躱された拳、そしてこの痛みの原因のことを考えると、腹が立って仕方がなかった。



怒りに任せ、両手を全力で握ると、

ぐしゃっと、紙が握りつぶされた。


....え、紙?


「何これ」


こんなもの持っていただろうか。見覚えのないぐしゃぐしゃになってしまった紙をなんとか引き伸ばすと、少し見にくくなってしまったが読める程度のメモが書かれていた。


そこには、



『やっほ〜!お目覚めかな?さっきは蹴っちゃってごめんね!お詫びも兼ねて、ちょーっと話したい事があるから放課後図書室で!!

by天才さん』







「あの野郎......!!!!!!」


ぐしゃりと手の中で再び紙が潰れる。なんだか今日はイライラしてばかりだと自分でも思う。何時もはおとなしい方で、こんなにも感情が高ぶることは無かったのに。


これも全部、名前も知らないあいつのせいだと思うと、イライラが最高潮だ。

もはや完全に文字が読めなくなったメモを二度と見られないように入念に潰していると、さっとカーテンがあいて心配そうな先生の顔が覗いた。


「だ、大丈夫?さっきからなんだかうめき声がするんだけど.....」

「だっ、大丈夫です!ごめんなさい!」


慌てて紙をポケットに突っ込み、周りを見渡す。そうか、状況把握を完全に忘れていたけど、ここ保健室だったのか。確かに、寝かされているベッドからはほのかに消毒液の匂いがする。誰かが...というかあまり考えたくはないが、恐らくあいつが運んできてくれたのだろう。


...それなら、やはり呼び出しに応じるべきだろうか。さっきは絶対に行ってやるものかと思ったし、二度と顔も見たくない様な相手だが、私に非がないわけではない上、不本意ではあるが運んでもらった借りもある。


どうせ毎日図書室には勉強のために行っているわけだし、いいか。


そう自分を納得させたその時、



キーンコーンカーンコーン



耳慣れたチャイムが響き渡った。



ーーー時計は、6限最後の時刻を指していた。



「えっ!?!?」


....乱闘騒ぎを起こしたのは、確か朝だった筈だが。


「う、嘘でしょ...」



ぽふっと毛布に顔をうずめ、挙動不審な私に怯える先生などお構いなしに私は今日の自習量に頭を抱えた。




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