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【世界が壊れる
世界は消える
そして 一つの光が……
創造主 神は世界を作り 創造された
光は神の声を聞き 手助けする者
血筋から受け継いだ力
神は新たな光を知らず 前の光を知っていた
それは 小さなかけらの光
しかし それは 世界を救った】
夜だというのに、昼間と変わらぬような電気の明るさとヒトたちの賑った声が広がる街。
ネオン街と呼ばれるその一角と離れた場所、地下一階に静かなバーがあった。目立ちにくい場所とはいえ、賑う街から離れるようにあるここは、のんびりと夜を楽しむヒトたちの溜り場でもあった。
まず、中に入るとカウンターがありバーテンダーがいらっしゃい、と迎えてくれる。その奥にテーブルに四客ずつの椅子と二客ずつの椅子あるのがそれぞれ配置されていた。
その壁に数枚ポスターが張られていた。
『兵士募集!!今年もナルティノの兵士を募集しております。歴代の勇者の仲間入りも夢じゃない!?勝ち抜け戦にて、採用を決定致します。年齢不問。男女問わず。募集人数、若干名。どなたでもご参加できます。優勝者には、希望対戦者(一人)との試合を行う権利が与えられます。ご希望の方は募集要項を書いて、ご応募下さい』
そして、写真は水に少し浮いた、天使の羽を広げた肩過ぎほどの髪の長さで白いワンピースを着た横顔の下向き加減の女性の姿だった。
「で?これに出たいと言いたいわけ」
一番奥の角のテーブルに男二人組が座っていて、その一人がテーブルに肘を置き、顎をそれの上に置いたまま相手に言った。
黒髪で男性にしては背が低いが(本人も気にしている)、やんちゃな感じのまだ子供っぽさを残した青年だった。
相手は真剣にそのポスターを見ながら言った。黒色の髪で細身だが、筋肉は均等に付いていて、常にさわやかな笑顔の背の高い男だった。
「そうだよ。何を言われようと俺の気持ちは変わらないよ」
「分かってるのか?誰もがあのヒトの様に有名になって活躍できるわけでもないし、なかなか家にだって帰れない時もある。それでも、やるってのか?」
「あぁ。知ってるだろ、俺がこの仕事したかったって。そりゃ、まだ受かるかも分からないが気持ちは変わらねぇよ」
そう言って、もう一度ポスターを見上げた。深く長い溜め息をついて聞き手は言った。
「……分かったよ。どんなに言ったって、お前の考えを変えないぐらい分かってたさ。どれだけお前と一緒にいるっと思ってんだ。説教して考えを変えるならそれだけの気持ちだったんだとは思うからな。もう、何も言わねぇよ。お前が想う道を進めばいい。後は応援するだけだよ」
「おっ、やっぱ、分かってんじゃん。ジニー。お前に言ってよかったよ!」
「って、良い事言いながら、小さいからって、頭をおもいっきり撫でるな!」
ジニーは頭をガシガシと撫でられている手を退けながら、言った。
「マスター、バジルの旅立ちだ!!いい酒頼むよ!」
「はいよ!」