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罰ゲームで百人斬りのレズに告白してみた結果 〜なんか毎日貞操の危機を感じてるんですけど!?〜  作者: はるしゃ
第一章

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第8話 恋人の家

おとは:解散したー


REONA:おとは、おちゅ〜♡


望月夏希:おつー



家に帰ってすぐ、私はリビングのソファにダイブした。ちょうど晩ご飯を作ってくれているママが、先に着替えなさいよーとかお風呂洗ってきてーとかなんだか言ってるけど、とりあえず休憩。ママが本気で怒る寸前のトーンは熟知してるから、動くのはそのモードに入ったのを感じてからでいいや。


あのあと、雑貨店とかをぶらぶら見て回った私と一織は、結局17時過ぎくらいにモールを出た。長良駅から電車に乗ろうとするとき、何回も「まだラブホテル行ってないよ?」って止められたけど。行くかばか!



REONA:どーだった?弱み握れた?


おとは:ないない、そんな隙ないってー!


REONA:おとはさん、ヘタレかにゃ^._.^ꐦ


REONA:次に期待してま〜す♡



なんなら私が握られましたけど……とか言えるはずもなく。

あのトイレでの一幕は、絶対に墓場まで持っていかないと。



望月夏希:映画観にいったんだろ?なに観たんだ?


おとは:えーとね


おとは:あれだよ、最近流行りの恋愛映画。ルルカちゃん主演の


望月夏希:あーあれか



当然ネビファン観ました!なんて言ったらきょとんとされちゃうので、これにしようかと寸前まで悩んだ、件の恋愛映画とでも答えておく。次会ったときに感想を聞かれてもいいように、ネタバレ考察サイトとか読んどかないと……。


その後もふたりからの質問責めにひとつひとつ答えていると、玄関からただいまーという声が響いた。我が姉、天沢葉月(はづき)のご帰還だ。


リビングの扉を開いたお姉ちゃんは、手に持っていた手作りっぽい包装のクッキーを、「あーん」と言いながら差し出してくる。逆らわずにそのまま口の中に入れてもらった。

噛むとほろほろと砕ける、柔らかめのクッキーだ。砂糖が多めに入っているのか、結構甘めで私好みの味。



「またお客さんからもらったの?」


「んーや、これはゼミの後輩から」



お姉ちゃんは私の三つ年上で、今大学二年生だ。

お姉ちゃんはパパに、私はママに似たから、あんまり似てない姉妹だねーなんてよく言われる。そんなお姉ちゃんは、身長が私より10cmほど高くて、体型もスレンダー。夏希ほどじゃないけど髪も短いから、大学とかバイト先でファンを作っちゃって、よく貰い物をしてる。



「はーあー、大変おモテのようで羨ましい限りでーす」


「何不貞腐れてんのよ、あんただって今日美少女と並んでたじゃん。あれ誰よ?」


「……は?」



晩ご飯をつくってるママが、玲緒奈ちゃんじゃないのー?と尋ねてきて、お姉ちゃんがいや、それよりももっと清楚な感じのーと答える。

え、え、なんで知ってんの!?


普段、玲緒奈や夏希と遊ぶときは、盛れた写真とか美味しそうな食べ物とかをインスタに載せたりするけど。今日、一織とのデートでは写真を一枚も撮っていないし(一織は一枚とってたけど)、当然のことながらインスタにはなにも載せてない。



「え、えっと、なんで……?」


「ついさっき、駅前で見たんだよね。なんか初めて見る子だし、邪魔しちゃ悪いかなーと思って声掛けなかったけど」



それを聞いて、私はとりあえず胸を撫で下ろした。駅前ってことは、変なところは見られてないはずだ。手を繋いでる(正しくは腕を引っ張ってる)とことか、映画館のトイレに押し込まれてるところとか……。



「ふつうに友達だよ、最近仲良くなった子!」


「へーやるじゃん。この辺の子?」


「いや、二駅くらい離れてるって言ってたけど……」


「は? なに、あんた最寄りまで送ってもらったの?」



私はしまった、と歯噛みした。

ちなみに、怖いから最寄り駅まで着いてきて♡とかおねだりしたわけではない。一織が心配だから送ると言って聞かなかったのだ。家まで着いてこようとしたのを、もみくちゃにされながら駅で引き剥がしたんだから、健闘した方!



「そ、そうですけど……」


「あんたさぁ、どう考えても逆でしょ逆。あんたが送ってあげなさいよ、あんな美少女」



やれやれと肩をすくめながら、ソファの全域を占領してる私のおしりを叩いて、自分が座るスペースを確保するお姉ちゃん。起き上がる気になれなくて、私はそのままお姉ちゃんの太ももの上に頭をのせる。するとまたクッキーを口の中に運ばれる。おいしい。


お姉ちゃんは自分の口にもクッキーを運びながら、リモコンの電源ボタンを押す。



「最近この辺も治安悪いらしいし。おとも気をつけなよ」


「そーなの?」


「なんか不良とか増えてるらしいよ、大学の子情報」



お姉ちゃんのそんな言葉を聞きつけたママは、あんたたち寄り道ばっかしないですぐ帰っといでよーと言ってくる。またてきとうに返事しようとすると、あとどっちかお風呂掃除!と叫ばれる。これはガチで怒る寸前の、もう一歩手前くらい。そろそろ動き出さないと……。



「ああ……おとの重たすぎる頭がのってるせいで、足が痺れた……動けない……! こんなにもお風呂掃除がしたくて手が震えているというのに……!!」


「お姉ちゃん、いつもそうやっててきとう言うよね!!」



あーもう!!と苛立ちをおねえちゃんの太ももにぶつける。私が家にいるときに、お姉ちゃんが家事を手伝う確率はほぼゼロに近い。しかも私のほうが仕事が丁寧なせいで、ママも特に何も言わない……なんでやねん。

本気で駄々を捏ねるとやってくれるだろうけど、お風呂掃除ごときに本気で駄々を捏ねるほうがばかみたいなので……仕方ない。


よっこらせ、とおじさんみたいな声を上げながら勢いをつけて立ち上がった私は、ついでにそこらへんに散らかしていた荷物を持って、自分の部屋に運んでおくことにした。こういうのは先にやっておかないと、あとでやろうと残していたらすーぐ怒られちゃうんだから。


すると、スマホからピコンと通知音が。

……茉梨ちゃんからだ。私はドキドキしながら通知を開いた。



matsuri:そういうことか!了解!絶対内緒だねそれは( ˊᵕˋ ;)



物分りのいい子……!!見つかったのが茉梨ちゃんでよかったかも。



おとは:ありがと!


おとは:驚かせてごめんねー!_(。。)_



うんうん、これでOK。


月曜日からの不安も解消されたところで、そろそろお風呂掃除にでも行きますかっと。

私は手に持っていたずっしりと重たい紙袋を、バレないようにクローゼットの中にでも隠すことにする。


すると、再度通知音。



matsuri:びっくりしちゃったよ〜!


matsuri:乙葉ちゃんが女の子同士で付き合うとか、しかも相手があの星宮さんとか、そんなのありえないのにね!笑



茉梨ちゃんとのトーク画面には、そんなことが書かれていて。


今までの私なら、「それな!まじありえないから笑」とか返していたところだろうけど、なぜか今の私はその言葉を打つことができなかった。

たぶん、それは右手に持っているネビファングッズの重みと……


『乙葉』


嬉しそうに顔を綻ばせて私の名前を呼ぶ、一織の顔がどうしてもちらつくせいだ。

良心の呵責、ってやつかな。


私は返信に悩んだ末、結局茉梨ちゃんからのメッセージを長押しして、リアクションを送っておいた。これで簡単にトークを終わらせることができるんだから、ほんと良い時代だ。


リビングから叫ばれる乙葉〜!?というママの声に、今やるからー!と返事をして、私は慌てて階段を駆け下りた。







✝︎







一織と初めてのデートをした日の二日後、すなわち月曜日。その放課後に、私は一織の家に招かれていた。


……なんで?って感じだけど、これにはちょっぴり私の責任も混ざってるっていうか……。



土曜日の夜、たのしかった、ありがとうという旨のLINEが一織からきて、こちらこそ〜と喋っているうちに次のデートはいつにする?という流れになったのだ。

当然乗り気でない私は、来週とか再来週とか提案してみたけど、一織は毎日遊びたいと譲らなくて。


でも毎日となると、平日は学校が終わった16時頃から出かけるってことになってしまう。お姉ちゃんやママから、治安が悪くなってるから早く帰ってくるように!とちょっとしたご注意をいただいたばかりだった私は、それを説明しつつ……

それから、ショッピングモールで茉梨ちゃんと遭遇しちゃったこと、最寄り駅でお姉ちゃんに見つかったことを例に挙げ、近場でのデートは知人に見つかる可能性があり大変危険!という旨を説明した。


その結果提案されたのが、一織の家というわけだ。


治安が悪いから、遅くに外を出歩くのが危ないと言われているのなら、屋内にいればいい。人に見つかる可能性があるのなら、家から出なければいい。そんなゴリ押し理論で、平日は可能な限り、一織の家で過ごすことを(半強制的に)約束させられた。なんてこった!



一織の家は綺麗なマンションの5階にあった。

うちがふつうの一軒家だから、小さい頃からマンションってちょっとした憧れみたいなものがあったんだよね。


扉の鍵を開けて中に入る一織に続いて、私は恐る恐る辺りを見渡しながら入室する。



「おじゃましまーす……」


「だいじょうぶ。親とかいないよ」



はたしてそれは私が大丈夫なのかどうか……。

いおりと書かれたネームプレートが掛けられた部屋に案内された私は、そこに座ってちょっとまっててと言う一織の言葉に従ってその場に座った。


一織の匂いがする。……ってやば、なんか変態じみてない!?なしなし、いまのなし。


昔から友達の家にお呼ばれすることは何度かあったけど、好きな人でなくとも恋人という関係性の人物の家におじゃまするのは初めてなわけで。私の心臓が誤作動を起こして、心拍数を早めてくる。違うからね、一織は恋人であって恋人じゃないから、落ち着いて。


私がそんなことを自身の心臓に言い聞かせていると、一織がグラスに氷と飲み物を注いで持ってきてくれた。

でもそれは……



「私、人んちで水出されたの初めてかも」


「紅茶、あったはずなんだけど……場所がわからなかった」



びっくりした、新手のぶぶ漬けかと思ったわ。まあその場合お望み通り帰らせていただいたけど。

でも人様の家に上がらせていただいている手前、いじりこそすれど文句なんて言う権利はない。私は粗茶ですがと言ってグラスを差し出してくれる一織に、めちゃくちゃ水だけどありがとうと笑って受け取った。



「一織って、お手伝いとかしないタイプ?」


「どうだろう。親代わりの人の帰りが遅いから、ご飯は自分で作ったりするけど」



親代わり。意味深な単語を出されるけど、あえてスルー。人の家の事情にわざわざ首突っ込まなくてもいいじゃんね、別に仲良いわけじゃないんだし。


でも、そっか。親と暮らしてるわけじゃないんだ。じゃあ親戚とか?というかそもそも、転校生の一織はどこから引っ越してきたんだろう。


つい最近まで全く喋ってこなかったし、一織が誰かと会話してるところを見たこともなかったから当たり前だけど、私って一織のこと全然知らないな……。


私はつい興味本位で、一織に尋ねた。



「そういえば、一織はどこ中なの? 家がこの辺なら……松芝中とか?」


「中学の頃はもうひとつの家に住んでたから、ちがうよ。第七中学だった」


「え、うそ、七中!?」



第七中学校と言えば、私のめちゃめちゃ地元だ。市自体が結構広いから、私の家のご近所さんってわけじゃないけど。


ちなみに私は第二中学校で、私の市には第一から第七までの中学がある。

ただの市立だからデマかもしれないけど、一応地元では一中がいちばん優等生が多くて、七中が落ちこぼれ不良集団、みたいなイメージがある。ただの噂だとは思っていたけど、こんなにも清楚(見た目だけね)な一織が七中出身なんだったら、ほんとにデマなのかも。


地元が同じっていうことで、一織に少し興味を持っちゃった私は、いただいた水で唇を潤しながら質問を続ける。



「じゃあ、高校は?」


「……なにが?」


「だから、前いた高校。秋月来る前はどこいたのかなーって」



私が興味津々に尋ねると、一織は表情を曇らせた。しかも一向に答えようとしてくれない。あれ、珍しい。

こういう態度を取られると、逆にもっと知りたくなるのが私の悪い癖だ。



「ねー、どこなの? 別に頭悪いとこでも、私バカにしたりしないから、ね!」



秋月だって別にめっちゃ賢いってわけじゃないし。自由な校風(単にめちゃくちゃ校則が緩いだけ)が売りにしては、まあ偏差値は高い方かもしれないけど。

しかし、一織はかなり強情で。



「べつに、どこでもいいでしょ」


「なんでそんな隠そうとするわけ? こんなのただのコミュニケーションじゃん。一織ってほんと空気読めないよねー」



表情を曇らせたままカーペットの上で三角座りをして、膝に口元を埋める一織。いつもなら実年齢よりも少し歳上に見えるのに、今だけは少し幼く見えた。


そんな一織が珍しくて……あと、土曜日はずーっといじられっぱなしだったせいで蓄積されたフラストレーションが小爆発を起こすみたいに、私は一織をいじりたおす。



「そんなんじゃいつまで経っても友達できないぞー? ねえ、ほらほら、一織さーん??」



一織の頬をつんつんと弾く。もちもちの弾力で指が少し跳ね返されるみたいで、ちょっと気持ちいい。化粧水と乳液何使ってるか教えてもらおうかな……。


そんなことを考えている間も、ずーっと頬をつんつんしていたら、一織はそんな私の指を急に掴んでくる。

しかもなんか、やけに据わった目をしてて。

……あれ、私これ、調子乗りすぎた?



「教えてあげても、いいよ。でも条件がある」


「え? あ、うん……」



一織はハイライトの消えた瞳をこちらに向けて、口角をすこーしだけ吊り上げる。

まずった、と後悔してももう遅かった。



「おっぱい揉ませてくれたら、教えてあげる」


「いやー、前いた高校なんてホントどうでもいいですよね!!」








ご覧いただきありがとうございます。

次回、たぶん微エロです。

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