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罰ゲームで百人斬りのレズに告白してみた結果 〜なんか毎日貞操の危機を感じてるんですけど!?〜  作者: はるしゃ
第一章

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第10話 学校での一幕



ある朝登校すると、私の机の上にデパートの地下で買えるような高級チョコが置かれていた。なにこれ、今日バレンタインだっけ。

高校指定のものとは違う、かわいさ重視で選んだせいでやたらと重いスクールバッグを置いた私は、そのチョコを手に取った。


すると、背後からぬるりと影が忍び寄る。



「手に取ったねぇ……?」


「うぎゃっ!?」



酷使されまくってキューティクルが剥がれ気味な金髪が、私の頬を撫でた。その正体は、もちろん玲緒奈だ。



「な、なに!? びっくりすんじゃん!」


「あはっ、メンゴ♡ 乙葉おは〜」



そうやって背後から抱きつかれる。はいはいおはよ、と玲緒奈の頭を撫でながら、私は得体の知れない高級チョコの紙袋を再度持ち上げる。



「てか、これなによ。あんたの仕業?」


「うん、乙葉にあげる♡」


「えっこわ……」



どういう風の吹き回し……?基本金欠で、それなのに彼氏優先、友達にはとことんケチな玲緒奈が……。バ先のキモイおっさんからもらったから押し付けようとしてる、とか?うげ。それだったら絶対いらない。

絶対なにか企んでるに違いない。狙いはなんだ?という気持ちを込めてじろりと睨みつける私に、玲緒奈は両手をあげて降参のポーズをとる。



「じつは、大天使乙葉大明神に頼みたいことがあってぇ……そのぉ……」


「天使か女神かどっちなのよそれは」



媚び売りすぎね。とっとと言え、この。

なかなか白状しない玲緒奈に痺れを切らしかけていると、端の席でスマホを見ていた夏希が近寄ってきた。朝は基本的に低血圧かなんだかで話しかけてこないのに。しかもなんか機嫌が良さそうだ。珍しい。



玲緒奈こいつ、あたしらに雑用押し付けたいんだと」


「雑用〜?」


「えっとぉ……課題の出さなすぎで、あやちゃん先生に雑用任されちゃってぇ……」


「またぁ!?」



私と夏希は、授業態度こそあまりよくないものの、余計な火の粉をさけるために課題提出とか定期試験とか、そういうのはちゃんとやるようにしてる。


けど玲緒奈は全部をちゃんとしてない。試験に関しては、私や夏希が勉強に付き合って、なんとか赤点科目をふたつほどに留めさせてあげてるけど、課題に関してはもう手の施しようがなくて。特に玲緒奈の苦手教科である英語は、課題提出率奇跡の0%を誇る。こいつ、進級できるのかな……。


そんな玲緒奈は、先生の温情で出された追加課題すらも手をつけないおバカっぷりなわけだが、この状態ではうっかり留年させてしまう!と危惧した先生方が、定期的に玲緒奈に雑用を押し付けるのだ。これ手伝ってくれたら、あとから出した課題を減点しないでおくよ〜ってな具合に。


ちなみにあやちゃん先生ってのは、うちらのクラスの副担任で、英語の担当教師こと高槻たかつき綾乃あやの先生のことだ。しょっちゅう雑用という名の追加課題を任されて、なんかいつの間にかちょっと仲良くなった(のか?)みたい。



「そんで今日の放課後、ありえない量の資料のホッチキス留めを頼まれてるわけなんですがぁ……そのぉ……」


「昨日逆ナンしたイケメンとのデートがあるから、あたしらに任せようって魂胆」


「ん〜、はい、そゆこと!!」


「カスだ……」



なるほど、それでこの高級チョコか。

まあいつもなら断るところだけど……



「んー……まあ、いいよ」


「ま、まじ!? 神さま仏さま乙葉さま〜〜〜!! ここで玲緒奈ちゃんからの熱烈キッスを贈呈〜〜〜♡」


「いらんいらん、おばか!!」



抱きついてくる玲緒奈を引き剥がす私。


いつもならバイトあるからーとかてきとう言って断る私だけど、それは帰ってゲームをする時間が惜しかったから。

最近の放課後は専ら一織の家に行って、セクハラ受けて、一緒に映画みたりして、セクハラ受けて、一緒に勉強したりして、セクハラ受けて……みたいな生活を送ってる私には、たとえ教室に残っての雑用だったとしても、ちょっと休息が欲しかったわけだ。


お前マゾなの……?って顔で私を見つめる夏希の存在に気づいた私は、そういえば……と口を開く。



「ってか、夏希もやんの? 玲緒奈……夏希のことどう買収したわけ……!?」



高級チョコなんかで夏希は買収できない。まず甘いもの嫌いって言ってたし。それなら、お金……?いや、夏希が納得するような金額を、金欠の玲緒奈が出せる気がしない。


すると、夏希は誇らしげな顔で一枚の紙を私の眼前に突きつける。




━━━━━━━━━━━━━━━

パシリ誓約書


パシリ:妹尾玲緒奈(以下、パシリ)は、主:望月夏希(以下、主)に対していかなる場合も忠誠を誓うものとする。


1.パシリは主の命令に絶対従います。

2.パシリはいついかなるときでも主の呼び出しに応じます。

3.パシリは主からいかなる命令を受けても、意義を申し立ていたしません。

4.パシリは本契約に違反があった場合、どんな厳しい懲罰も甘受いたします。

5.この誓約書は8月31日まで有効のものとします。


20××年 6月 ×日

署名:妹尾玲緒奈


━━━━━━━━━━━━━━━




いや怖すぎる!!!!


ドヤ顔のまま丁寧に誓約書を折りたたむ夏希と、魂が抜けたみたいな顔の玲緒奈。

玲緒奈、あんたにとってイケメンとのデートは、この頭おかしい誓約書にサインしてまで行かなきゃいけないほど大事なことなの……!?


てかこんな誓約書をぽんとだせる夏希がいちばんの脅威だ。夏希に舎弟が多い理由がわかった気がする……きっと勝負に負けたかなんかで、この誓約書を書かされた人たちなんだろう。5つめの誓約だけ手書きなのも、きっと設けてる期限がその人によって違うんだ。夏休み終了時までっていうのは、幼なじみとしての温情なんだろうか。


いつか私も夏希になにかお願いしなきゃならないってなったら、この誓約書を書かされるのかな……友達割引では何ヶ月短縮してくれるんだろう。


夏希にだけはなにもお願いしないようにしようと、私は心に誓った。








✝︎









「てなわけで、今日は一織の家行けないから」


「そう。わかった」



お昼休み。お昼ご飯を食べ終わった後、トイレに行こうとしていた一織を呼び止めて、私はひとつ下の階にある、普段からあまり使われない空き教室に連れてきていた。

空き教室に入れた瞬間、一織は頬を赤らめて「学校で……大胆……」とか呟いてたけど、聞こえないふりをした。あんたが期待してるようなことを、私が進んでやるわけないでしょうが。変態いおりじゃあるまいし。


玲緒奈に雑用を押し付けられたから、夏希と一緒に放課後教室に残って作業しなければならないって旨を説明すると、一織は案外素直に承諾してくれた。


たぶん夏希がいなかったら「わたしも手伝うよ」とか言って、作業の合間に誰もいない教室でセクハラ三昧してきていたんだろうなーと思うと、夏希と、夏希に体を張って雑用を押し付けた玲緒奈にナイス!と叫びたい。……まあ、早速お昼ご飯に焼きそばパンをパシらせてるところを見ちゃったから、友達としてはあんまり喜んじゃいけないんだけど。



「一織のことだから、毎日放課後デートする約束破ったからーとか言って、なんか要求してくるのかと思ったわ」


「そうしてほしいなら、するけど」


「んなわけないですから!!」



咄嗟に距離を置く。セクハラにはちょっと慣れてきたけど、学校でってなると話が違うから!

普段使われてない空き教室とはいえ、ちょっと歩けば下の学年の教室だってあるし、お昼休みの今、人通りが完全にないってわけじゃない。こんなところでいつもされ(・・・・・)てるようなこ(・・・・・・)()されちゃったら、学校生活終わりだからね!?


勢いよくツッコんだ私に、一織はふわりと微笑んだ。



「……ちょっと、うれしかったから」


「はぁ? なにがよ」


「LINEで伝えてくれたら、いいのに。リスク犯してまで、わざわざわたしをこんなところまで、連れ出してきてくれて」



そう言うと、その端正に整った顔をぐっと私に近づける。香水は使ってないって言ってたけど、柔軟剤の香りなのかな。嗅ぎなれてしまったいい匂いが鼻腔をくすぐって、とことん躾られた脳がぴりぴりと反応する。



「そんなにわたしのこと、すきなんだなーって」



ちがう。

別に私はLINEでもよかったけど、直接言わないと、あとが怖かったから。いつも何かと理由をつけてセクハラしてくる、一織のせいだ。

今日放課後デートできないのかーとか思うと、なんか物足りなくなっちゃった、とかそんなことは断じてなくて。



「ばっ、そ、そんな…………いや。か、彼女なんだから、当たり前じゃん?」


「ふふ。そうかも。わたしも、すきだよ」



咄嗟に恋人らしく答えた私に、一織は嬉しそうに笑う。なぜかよくわからないけど、胸がずきりと痛んだ気がした。


一織はさらに私に顔を寄せると、頬にちゅっと唇を落として。私の反応をちらりと見ると、そのままご機嫌に教室をあとにした。

一緒に空き教室から出ていくところを見られて疑われちゃうとまずいから、ちょっとだけ時間を潰していくことにする。スマホを取りだした私は、何気なく天気と書かれたアプリのアイコンを押す。



「夜から雨……か」



梅雨入りして一週間。気温と湿気でメイクのりが悪かったり、髪がうまくまとまらなくて嫌な時期。


なんかもやもやするのは、きっと低気圧のせいだ。

今の私の心情を勝手に推測しちゃいましたーみたいな天気予報に、私はイライラしながらアプリを閉じた。


予鈴が鳴る。一年生たちが、教師から急かされて教室に入っていく足音が聞こえる。

そういえば次の授業の準備とかせずに来ちゃったっけ。私はため息をつきながら、一織の後を追うように教室を出た。





ご覧いただきありがとうございます。

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ちなみに明日国試です。私は本当に何をしているのでしょうか。

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