4.星を哲学するプトレマイオスさん
古代ギリシア天文学を「天動説」を基として纏めました。そしたら後の世でキリスト教とか占星術師達とかの信者が信仰してくれました。
紀元後83年から168年の85年を生きました。古代ローマの学者さんです。正式な名前はクラウディオ・プトレマイオスと言うそうです。ローマの学者さんなんですけど、多分当時のローマの占領下だったのか、エジプトで活躍しています。
「アルマゲスト」等の数冊の同人誌…否、天文学のまとめ本を書いています。
天動説を基として、古代ギリシアの天文学を纏めた本が「アルマゲスト」です。地球を中心として、円運動に見える天体の運動を説明しました。
アリストテレスさんの自然学と結びつけたためか、それとも「地球が世界の中心である」と言う考え方が受け入れられたのか、「アルマゲスト」は中世に突入するアラビア語圏や、13世紀(1200年代)以降の中世ラテン語圏で大いに受け入れられました。
「アルマゲスト」は、天体の見た目の軌道を幾何学で論じると言う内容です。その他に、天文学の側面として、方法論、観測、時間決定、理論のためのパラメーターの決定、必要な数学の説明、宇宙論の概要と言った者を秩序立てて説いているそうです。
実際に僕も「天動説」を調べてみましたが、地球(大地)が平面だと考えられていたり、何故太陽が消えたり星が消えたりするのかについては、それを輝かせている火が消えているのだと考えたり、天球は透明な回転する球体で、星はそこに貼りついていると考えたり。
世界の構造に最初に着眼した人達の発想ってこう言うものなんだなーと思いました。
大地が平面だからこそ、重い物は下に落ちて軽い物は上に浮くんだと考えていた人と、他の星の様に大地は球体なんじゃないかと考えていた人が混在していたんです。
だけど、まだ引力の認識が発見されていないので、「世界が球体だったら球の下側に居る人はさらに下に落っこちちゃうじゃないか」と言う考えもあったようですし。
今では「地動説」を基にした考えが一般化されて、「万有引力」とか「空気の作用」とかを知っているから、「天動説?」(ああ、あの頭のおかしい説ね)みたいに思う人も居るかもしれないけど、まだ人間が肉眼で見て観測するしかなかった時代の天体の考え方としては、「天動説」も、ちゃんと「見え方の説明」をしているんですよ。
矛盾が乗じる度に書き直されたり、新しい考え方が追加されたりする、ややこしい説ではあったようですが。
惑星が逆行しているように見える現象とか、見えている星と実際の星の大きさは正確にどうなのかとか、そう言う所が分かるのは、もっと時代が下ってからです。
それから、中世欧州で「天動説! ウェーイ」って、教会の人達が成ったのは、古代の天動説派の哲人が言った「地球は人間を住まわせるために神が作った重要な場所だから世界の中心にあるんだ」って言う考え方が、キリスト教徒の人達にとってはとても嬉しかったからなのでしょう。
だから、中世の世界で地動説を唱えることは、教会の公認した世界に見え方に反対する「異端」だと思われていたわけです。
プトレマイオスさんは、「アルマゲスト」の中に出てくる表を集めて表を足した「簡便表」と言う、天体の計算のためのハンドブックも作っています。計算に特化していると言う部分では「簡便表」は有能で、「アルマゲスト」だけでは天体の計算には不向きだったそうです。
ですが、古代の天文学について色んなことが載っている本として、「アルマゲスト」は注目を集めました。現代で言うなら「アルマゲスト」は、「親切なまとめサイト」なんですね。
しかし、プトレマイオスさんはアリストテレスさんの「天球は透明な回転する球体である」って言うのを略式で考えました。地面の底に行ってからの星の動きなんてものは考えなくて良いんだとして、それから円状の動きに必要ない「立体的な球状」の部分も不必要として、「アルマゲスト」の中で全部の星の動きを円で示す事を正当化しています。
あくまで「見えている天体」に意味があるんであって、「見えなくなった天体」がどうなっているかは考えなかったんです。何せ、星と言うのは「その星の燃える力が失われて消えていてている」と言われている時代の情報を集大成したわけですから、力を失って消えてしまった星のその後はどうなったかとかは考える必要が無いと思ったのかも知れません。
やはりこの「天動説」を設定のネタにしてファンタジーを書いたりすると面白いかも知れませんね。
ジョ○ー・デップの出ている「パイレーツオブカリビアン」でも、古代から信仰されていた世界の作りって言うのを物語の中に反映させてたし。
さらにコアな話では、プトレマイオスさんは占星術の古典も書いています。「テトラビブロス」(四つの書)と呼ばれる本で、常に変化する星の位置が地上(世界)にもたらす影響について説明しました。
この本では、地球、太陽、月、惑星、星辰(星座)の運動により、星の位置は常に変化するとし、哲学を用いて星々の位置の影響を論じているそうです。
哲学で、星を論じる? って、現代の普通の感覚の人は思うと思うんですけど、プトレマイオスさんは惑星の動力説を動物の比喩で論じたりする人なので、「星は、考え、行動するのだ!」って信仰してたんじゃないでしょうか。
占星術は学問とは言え、半分占いの世界の事なので、星を哲学すると言う事は占いだと思ったほうが良いみたいですね。