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2.執筆大好きな体育会系理想詩人のプラトンさん

 旅に行ったら色んな出会いがあったので魂のネバーエンディングストーリーを思い、詩的な理想を追い求め続けた元・レスリング選手です。

 アテナイで最後の王家の血を引く一族に生まれ、若かりし頃はレスリングの選手として体を鍛えていました。プラトンと言うのはレスリングの師匠につけられた愛称だそうです。

 色んなレスリングの大会にも出場してたため、その経歴が「伝説化」されて、極端を行くと、オリンピックに出場して優勝した…と言う真偽が確かでない噂も、彼の逸話に織り込まれています。

 プラトンさんの進路希望としては、政治家に成りたかったんですけど、その当時のアテナイの「ちっさい政治」である、三十人政権って言うのに失望して、政治家を諦めました。


 紀元前427年から紀元前347年の80年間のロングランな生涯の間、たくさんの書籍を残しています。本と言うものを作るには、ほとんど本人による手書きだった時代なので、生涯をかけて書いていました。

 時代の位置では、プラトンさんはソクラテスさんの弟子で、アリストテレスさんの師匠です。

 ソクラテスさんから、問答法を学んで、「知識に騙されんで他人の話を聞くって言うのはこう言う風に聞くんやでー」と教えられておりました。例の、弁証法と名付けられている、「相手の話にそれとなくツッコミを入れ続けて矛盾を解明する」って言う、なんとも関西風うどんな感じの話術です。

 そしてプラトンさんはアカデメイアと言う名前の土地に、小園を持っていました。40歳くらいで旅に出た頃には、その小園に同士を集めて哲学を追求しようって言う計画を立てていて、実際に学園を作りました。

 其処に、アリストテレスさんと言う稀代の犯罪…いや、稀代の哲人が入学してきて、プラトンさんが亡くなるまでの約20年間、勉学にふけっていたそうです。


 体育会系だった割には、プラトンさんは中二の詩人です。

 (プシュケー)こそ汚れの無い姿であり、物事の真の原型を認識できると考えており、哲学者(フィロソフィア)=愛智者)と言うのは知を探求する事で死の練習をしていて、哲学を続けて肉体と言う牢獄から魂を遠ざけておくことを努力する人々の事だとしました。

 その思想は、やはり40歳くらいの時に旅に行った先で、ピュタゴラス学派の人と出会って、「(インド哲学から来る)輪廻転生と不滅の(プシュケー)」と言う観念を知った事に由来します。

「元々、我々(人間)は天上に居て、真の姿であるイデアを見ていた。しかし穢れによって地上に落とされ、肉体と言う牢獄に押し込められてしまい、忘却の河を渡ったせいで、天上での事を忘れてしまった。地上の物体を見る事で、天上のイデアを思い出す。その事で物事の原型を真に認識する(想起する)」

と言う、だいぶストーリーを組んだ「想起論」と言うのを思いついて、ソクラテスさんの辿り着いた「不知」を他の者は知ることはできないとされた定義を退けていたそうです。

 先人の「不可能」の先を追求するには、想像力が必要なんですね。

 この想起論を読んで、旧約聖書の母体はこれか…と、僕は思いました。天上を清らかなものと考えて、地上に落とされるのは穢れのせいだと考える所がです。


 プラトンさんは若い頃の進路希望が政治家だった事から、実際の政治には関わらないけど、政治に対しての哲学書を大長編で書き残しています。

 哲学を治めた者が国を治める事が理想として、哲学王思想と、哲学王に必要な「善のイデア」と言う考え方を展開していました。が、哲学王に成れるのでは…と、見込んでいた人が暗殺されてしまったので、この理想も潰えてしまいました。

 少しフォローすると、プラトンさんは理想主義者とは少し違います。単純に、とっても理想が高いんです。そして体育会系気質で、財産もそこそこ持っているので、割と色んな理想が叶えられたんですね。

 だからこそ、叶えられなかった方の理想に夢を見ていたんだと思います。


 ある時、プラトンさんは「善」とは何かと聞かれたそうです。本人は「わからん」と答えようとしたんですけど、なんとか返答をくれと言われたので、「善って言う物の例え話しかできないけど」と言って、「善の子供」について説明したそうです。

 そこから、太陽の比喩、線分の比喩、洞窟の比喩が論じられました。乱暴に言うと、太陽の比喩(光の作用)と、線分の比喩(算術的作用)と、洞窟の比喩(闇の作用)みたいな話です。

 太陽の比喩と洞窟の比喩は割と分かりやすいので、中学校か高校の資料集にも出てきます。ただし、意味は中高生にも分かりやすくショッキングじゃないように敢えて曲解されて居た覚えがあります。

 どの例えも、最終的には「イデア」を想起する事に至るのですが、どうにも「世の中の物体」に対して四次元的(時間の概念込みで三次元を見る事)に考えていたために、「時間の経過によって滅ばない完全なる実体(イデア)」を天上と言う世界に求めていたんじゃないかなーって言う推測をしてしまうんですね。

 さっきから出てくる「イデア」の定義としましては、「魂の目によって洞察される純粋な形」の事だそうです。これが、プラトン以後の哲学者達によって、「姿」とか「形」と言う意味で使う哲学用語に成ります。


 プラトンさんを語るにあたって、多分期待されるのは「プラトニックラブ」についてだと思うので、付け加えます。

 直訳で、「プラトンみたいな愛」。もっと訳すと「精神的恋愛」です。別の言い方をすると「理想的恋愛」かな。

 肉体的な欲求を抑えて、純潔を保った精神的な恋愛が尊いとする恋愛観ですね。その昔、結婚を前提にしてお付き合いする人達も、婚儀を結ぶまでは純潔を保つべきであるとされていたんです。

 ですが、プラトンさんが「プラトニック」と言う言葉を作ったわけでも、使ったわけでもありません。

 プラトンさんがあまりにも「印象的な理想論者」だったため、「理想的な」と言う意味として、プラトニックの名が冠せられたのだと察されます。

 因みに、プラトンさんは、当時のギリシア男性の嗜好として、女性ではなく、少年を愛していました。この辺については深く語りますまい。

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