絞首台の主2
偉大なる神々の祖 オーディンは深い色合いのテーブルの前に座り、その家の主の顔を覗き込みました。
「ようこそ神々の王よ。」
と館の主、年老いた巨人ミーミルは語りかけました。
「竜の背骨の先に、巨人の腹の上にあるこの“王国”にお出でくださり感謝しますぞ。あなたは何を求めて来たのですか?」
オーディンは答えて言いました。
「私は私自身の秘密を求めています。」
ミーミルは言います。
「あなた自身の秘密を遠い場所に求める必要はない。あなた自身の心に求めなさい。」
「ミーミルよ。私は私自身の心に疑念を抱いている。」
「オーディンよ、私は自身の心に疑念を抱くものを救えない。」
「ミーミル、賢者よ。見えないものを見る術を教えてくれ。得難い財を得る手段を与えてくれ。魚のため息を、鳥の牙を、山の足を、猫の足音を。これら数々の見えない存在を見出す方法を教えておくれ。」
ミーミルは答えて言いました。
「神の中の神よ。あなた自身の中の神を、あなた自身に求めなさい。私の井戸の水を飲み、そして横になりなさい。階段を下り、夢の中へ降りていけ。そして最も邪悪な四苦の一角、窮奇にまみえるのだ。」




