絞首台の主1
沼地の女神アルティンパサは緑色をした浅瀬からオーディンに話しかけました。
「神々の王よ、玉座に在りてまつろう神よ。どこへ行く?」
「私はわたしだけの秘密を探しに行きます。」
と神々の王は答えました。
「貴方はあなただけの秘密をどこへ求める?」
「私へ、私だけが知る場所へ。」
と全能の神は答えました。
「そこにはどうやって行きますか?」
「私の、私の足だけをつかって。」
とアースガルドの主は答えました。
「ならば、その足で運命の泉を越え、ミーミルの泉を目指しなさい。」
と生命の女神は言いました。
オーディンは何年もの月日をかけミーミルの泉を探し求めました。
火と氷をかき分け、偉大なる生命の樹を見つけ出しました。
根をたどり、土と枝をかき分け、たどり着いたのは古ぼけた井戸のある小屋でした。
「ごきげんよう!」
と旅人の守護者は大声で言いました。
古ぼけた扉をキィキィ鳴らせて出てきたのは、その小屋以上に古ぼけたように見える一人の老人でした。
「よく来た、客人よ。わしは長い意味のない話は好まぬ。それはお前の兄弟の得意なことだな。一人っきりでここへやってきたのは気に入ったぞ。」
オーディンは老人がただ者ではないことに気づきました。
「貴方の領土へ足を踏み入れても構わないでしょうか?」
とオーディンは控えめに訪ねました。
「良かろう。貴方にふさわしい分別あらば。」




