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始まりの神話  作者: ロッドファーヴニル
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若いトナカイの話

お久しぶりです。

今回の話はシェアードワールドSCP財団、

サーキック・カルト絡みの話。

その若いトナカイはフィンの森を流れる川を、ひたすら流れに逆らう方へ歩んでいました。

季節は夏で気持ちの良い木漏れ日が、ブナの木の葉っぱの隙間から漏れていました。


若いトナカイは世の中になんの心配もありませんでしたが、ほんの少しだけ空腹を感じ始めたのが気がかりになってきました。


じっと彼は両方の耳を立たせて、音を聞くことにしました。

いつもこのようにして危険な敵や、飢えから逃れてきたのです。

やがて、水の弾ける音とともに何かが元気に跳ねる音が聞こえてきました。


彼が進んでいくと、河原の岸辺で元気の良い鮭が石の上で飛び跳ねていました。

「どうしたんだい?」

と若いトナカイは聞きました。


「俺はもうすぐ死ぬ」

と元気な鮭は叫びました。

「元気そうに見えても明日には尽き果てちまう。だから踊っているのさ」


「あなたの踊りをずっと見ていてあげますよ」

と若いトナカイは言いました。

「ここには大きな熊はいないようですが、恐ろしく鋭い牙の狼が来ないとも限りませんからね。私のよく聴く耳は役に立つでしょう」


元気な鮭は力の限り跳ねて飛びました。

そして夕暮れの前にはもう動かなくなっていました。

若いトナカイは素早く動いて鮭を丸呑みにしました。



彼はまだまだ歩いていきます。

頭の上でギィ、という音がしたかと思うと羽ばたく音が聞こえました。

一羽のカラスが枝から枝へと飛び移っていました。


「そこの君、知っていることがあれば答えてくれ」

と一羽のカラスは言いました。

「クルミがあり、クルミの木がある。先にあったのはどちらなのだろう? 答えてくれ」


若いトナカイは言いました。

「こちらへ来れば教えてあげますよ。そっと耳を近づけなさいな。あなたの耳がどこか分からないけど」


一羽のカラスが地面に降りると若いトナカイはカラスをくわえました。

「やめてくれ」

と一羽のカラスは叫びました。

若いトナカイはカラスを飲み込むとまた歩き出しました。



やがて空は薄暗くなり、ブナの木の森の中は一層暗くなりました。

若いトナカイは目を凝らしました。

小さな岩の上に白蛆が腰掛けていました。

白蛆は目も耳も鼻もない、尖った顔を若いトナカイに向けました。

その恐ろしさは若いトナカイをすくませました。


「あなたに悪い心がなければ、このまま通れる」

「引き返すと言うなら、私をおぶさって連れて行ってくれ」


若いトナカイはそのまま動かなくなりました。

白蛆は言いました。

「心に傷をつけよう」

「彼らのために生きよう」

と。


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