神話3
知恵の女神ソフィアーに産み落とされた「心」と彼に掘り当てられた塩の巨人は、共に粘土の巨人を土の中から引き出しました。
粘土の巨人は言いました。
「私は自分にはない仕草、思い、感触、色、形、匂いを探しに行きたい。」
「心地の良い声、言葉を聞きたい。」
粘土の巨人は恋をするために出発しました。
そして一人の美しい肉の巨人の娘を見つけたのです。
二人は恋に落ち、三人の子供、「怒り」「憂い」「気狂い」が産まれました。
父と母は「肉」やその厄介な家族から子供達を守ろうと必死になりました。
しかし暖かい事、素晴らしい事がこの世で長続きしたことはありません。
逃げ続ける生活は一家の生命を徐々に奪いました。
恐怖とは、どのような槍や剣よりも恐ろしい武器だったのです。
父親と母親はそれぞれ飢えと寒さで死にました。
長男である「怒り」は弟達を集めました。
「兄弟達よ。私達は重大な決断をしなければならない。」
「怒り」は言いました。
「私達のせいではない事で何故私達がこうまで苦しまなくてはならんのかね? 今こそ『肉』とその眷属共を根絶やしにするべきだ。異論はないかね?」
「憂い」が口を開きました。
「残念だが私は戦争になって死んだり、不自由になりたくはないよ。もう少し待ってみようよ。いずれは私達に有利な状況になるかもしれないし。様子を見るべきだよ。」
「憂い」の答えは「怒り」を落胆させました。「怒り」が考え、計画していることのためには、「憂い」の協力が必要だったからです。
そこに「気狂い」が口を挟みました。
「私達は数が少なく、弱い。だからそれは懸命な判断だぜ。しかし君がいくら賢い意見を持っていたとしても上には上がいるものさ!」
「黙っていることが一番賢いことかね? 今まで何かを放っておいて良いことが起こった試しがあるかい? 鍋の水を見つめ続けたら勝手にグツグツ煮立つかね? たまに幸運もあるだろう。でもせいぜい鼻かんで丸めといたボロ布がポケットの隅から出てくるとかさ、つまらんことだけだろう!」
「我々が産まれたときには空の星々を掠め取れるほど高く、強かったのを覚えているかい? それが今では老いぼれさ。 彼らのせいで、凍える寒さの中で足踏みだ!」
「気狂い」の長話は「憂い」の思いを動かしました。
そして三兄弟はめいめい砥石を持ち、思い思いの武器を手にとって刃を付け始めたのです。




