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始まりの神話  作者: ロッドファーヴニル
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獣神トール5

お久しぶりです!

実は来月頭に事務所の内部オーディションというものがありまして…

向こう一月は週一投稿とかになりそうです。

その分内容を濃くしてお届けする所存ですのでよろしくお願いしやす!!!

神と二人は森の中へ入っていきました。

すると彼らの頭の上からバラバラと音が弾けました。

「酔っ払ったリスがドングリばらまいてるんじゃなかろうな?」

とトールは上を見上げて言いました。


「雨だよ。」

とシアルヴィ。

「残念だな。」

とトール。

「お前らをもう家まで届けてやらなくちゃならん。お前さんらは傘も帽子も被ってないんだからな。」

「森の中なら平気だわ。」

とロスクヴァ。

「それに私達は冒険をすると決めたのだもの。」

「そりゃ男の子なら冒険が母ちゃんの飯より好きだろうよ。」

とトールは答えました。

「だが女はそうじゃなかろう。家にいておもちゃ遊びでもやってるんだな。さっきみたいに。」


二人の兄妹は獣のような神の言うことなど気に求めず、木の実やキノコ等を見つけてははしゃぎました。

シアルヴィはトールから受け取った大振りの刀で木々に傷跡を付けていきました。

「あまりウロチョロしなさんなよ。」

と雷の神は兄妹に声をかけました。


そして彼のハンマー、ミョルニルに手をかけると血管が浮き出るほどにきつく握り締めました。

二人の行く先に黒い影が数人分見えたのです。

どう見ても3人に対して、友好的には見えませんでした。

彼らの内、一番大柄な男が進み出てロスクヴァを捕まえました。

シアルヴィは刀を振りましたが男は軽々と避けました。

そしてもう一人の男が彼を突き飛ばしました。


一団の中の、背中の曲がった男が口を開きました。

「どうですか? あの占い師に銀貨掴ませて正解だったでしょ? 彼らは本当に金を持った馬鹿畜生共の消息にはさといんだもの。」


「俺達金なんかねえよ!」

とシアルヴィは叫びました。

「うるさい!」

と叫んだのはトールでした。


彼は言います。

「俺が巨人ヨツン怪物サーズ共に言ったことを教えてやろうか。『女に手を出すな』『正々堂々と勝負しろ』この二つだけだ。」

大柄な男は答えます。

「お前さんは自分自身が男の中の男と言いたいわけだな。」

「そうだ。」

「それじゃあどうぞ。」

と男は兜を被った自らの頭を差し出しました。


トールは物も言わずにミョルニルで彼の頭に一撃を食らわせました。

…すると兜は大きく凹み…元通りになりました。

トールは一瞬の隙もなく、もう一撃しました。

兜は再び大きく凹み…そしてまた元通りになりました。


「『柔軟な考え』って名前の兜なのさ。」

と男は不揃いに伸びた髭のある顔を、不気味に歪ませながら言いました。

「貴様は巨人のずるい悪党か! 正々堂々と勝負しろ!」

とトールは唸り声を上げて叫びました。


「こいつは連れて行く。」

と男はロスクヴァを仲間に連れて行かせました。

トールは男に組み付こうとしました。

男は自分のマントの向こう側に隠れました。

するとトールは男を見失いました。

まるで有りもしないものをベールの向こう側に手探りで探すように…

やがてトールは四方をそのマントに囲まれて、出られないことに気付きました。


「このマントの名前を教えてやる。」

とどこからともなく男の声が聞こえました。

「これは『分別』と言う名のマントなのだ。誰も分別あるものに拳をふるえまい。」

「貴様はそれをどうやって手に入れたのだ?」

とトールは尋ねました。

「金で買ったのさ。良家のご令嬢を売り飛ばした金でな。」


トールは地響きのような唸り声を上げてマントと乱闘しました。

しかし蹴っても殴っても灰色のベールの様な覆いを突破することはできず、かえってその不快な障害は彼の手や足に絡みついて身動きを取れなくしたのです。


「娘は貰っていくよ。」

遠いところから声がしました。

「インチキ占いに仔ヤギ一頭だって。いつの世でも分別のない畜生共は売られたり買われたりするものなのさ。世の常だ。」


いつしか雨は小雨になってベトつく不快な霧のようになっていました。


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