神話2
知恵の女神ソフィアーは影の世界に「心」を落としていきました。
取り残された「心」は悪と闘う決意をしました。
淀んだ水に沈んだ世界には「肉」が産み落とされていました。
「肉」は盲目で白痴でした。
「肉」は自分の手足を絡ませ合い、その交雑で数多くの奇怪な子供達をもうけたのです。
目玉を長く伸ばし時間の果てまでを見通したもの、
夜より黒く捻じくれた子供を産み出し続けるもの、
900の頭に900の顔を持つ化け物もいました。
「心」はシャベルを持ち、塩だらけの平原に穴を掘り始めました。
「肉」とその気味の悪い子供達は「心」を攻撃し、彼の身体に穴を穿ちました。
そして流れる血潮をすすりました。
「心」の血を飲んだ「肉」には情動が宿りました。
それによって彼は傲慢になり、自分は賢くなったと自惚れたのです。
「私以外に神はない!私は万軍の主である!私以外の神を信じてはならない!」
盲目白痴のものはそう叫びました。
「心」はひたすら塩の平原に穴を掘り続けます。
流れる血の川は白い大地に痛々しい傷跡を現しました。
徐々に彼の意思を弱めていったのです。
「お前は角なしの雄牛さ! 去勢されて血を流してる、まるで女のようだ!」
900の顔を持つ怪物は「心」を嘲笑しました。
その日のことを居合わせた者たちは忘れないでしょう。
見たことのないものを見つけたときには、ときに雷に打たれるよりも衝撃を受けるものです。
塩の中に神が埋まっていました。
「心」は塩の巨人を掘り当てたのです。
「心」はもう力尽きかけていました。
「私が手伝いましょう。」
塩の巨人は言いました。
二人が協力して穴を掘り続けると塩の大地は粘土の大地へと変わりました。
二人が掘り続けた先には粘土の巨人が埋もれてありました。