表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/48

いじめっ子を警察に突き出したら

学校へ行く前にヴァーチャルオンラインゲームをプレイする。


 それが俺の日課だった。


 オンラインゲームには、無料のものが少なくない。


 いわゆる課金制で、お金を払えば強い武器が簡単に手に入るけど、お金を払わなくてもプレイすることはできるというわけだ。


 金の無い俺にとって、無料のオンラインゲームはまさに天の祝福だった。


 オンラインゲームにのめり込み、今では業界で『最強の無課金ユーザー』として名の知れた凄腕ゲーマーだ。


 とは言っても……

 学校の教室のドアを開けて、俺は黙って自分の席についた。

 話しかけて来る生徒は一人もいない。


 俺はいつも遅刻ギリギリに来るから、すぐに先生が来て朝のホームルームが始まる。


 だから朝の時間に暇することもない。


 それから普通に授業を受けて、昼休みは購買でパンを買って食べて、また授業を受けて、まぁ、それだけだ。


 別にいじめられているわけじゃない。


 人間が嫌いなわけじゃない。


 俺がみんなから嫌われているわけじゃない。


 ただ去年、高校に入学したばかりの頃だ。


 ネットじゃ有名な凄腕ゲーマーである俺に、不良連中がレアアイテムを渡すよう脅してきたから、てきとうにあしらって、そしたら殴られて、先生に言ってもろくな対応をしてくれなかったので、次に殴られた時、警察に電話した。


 学校側の話を聞かずに、法律にのっとった適切な処置を黙々とした結果、相手の不良グループは全員書類送検されて暴力罪と傷害罪で警察のお世話になった。


 しかも相手の保護者から慰謝料までもらった。


 親のいない俺にとってそれは素晴らしい臨時収入になった。


 ただし代償は大きかった。


 以来、俺は学校内のトラブルにマジで警察を呼ぶ奴として知られるようになる。


 嫌われているわけではなく、用事があれば話しかけられることは珍しくない。


 ただ、誰も深い付き合いをしようとはしないというだけだ。


 けど俺はそれでも構わない。


 俺が好きなのはあくまでオンラインRPGゲームのソロプレイ、そして妹とするタッグプレイだ。


 昔、ゲーマーとしての腕を見込まれれとあるパーティーに入ったが、みんなのフォローばかりであまり楽しく無かった。


 逆に、同じ凄腕ゲーマーだけが集まったパーティーは、ゲームを楽しむというよりもレベルを上げたりレアアイテム獲得にギラついていて、ソリが合わずすぐに脱会した。


 もちろんそんな人ばかりじゃないんだろうが、第一印象が悪いと、パーティープレイそのものになんとなく抵抗感を感じてしまう。


 そんなこんなで、放課後の友達付き合いをする暇があったらゲームがしたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ