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猫小説、猫の詩

ねこの目にだって何のための公園なんだか分からない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 今日も今日とて、公園という名の空き地にやってきた。


 吾輩はぬこである。


 人間が、吾輩の事をぬこと呼んでいるから、おそらく吾輩はぬこなのだろう。


 オタクとかギャルとかヤンキーとか呼ばれる連中が、面白がってそう呼んでるから、ぬこだと思う。


 たまにねこと呼ばれるが、まぎらわしいので、どっちか統一してほしい。


 ともかく、ぬこである吾輩は、心地の良いひなたぼっこの場所を探して公園までやってきた。


 けれど、この公園。


 とにかく何もない。


 人間の子供が怪我をしないようにと、色々あった遊具を全部とっぱらってしまったとか。なんとか。


 おかげで日陰もない。


 かろうじて生け垣があるから、ぬこがすずむにはちょうど良いけども。


 昔あったカブトムシがとまる木々は、なんか家の庭に木の葉が舞いこんでくるとかいう近隣住民の苦情で、全部伐採されてしまった。


 惜しいことを。


 人間はおろかだ。


 他の人間の鳴き声を過剰に気にして、へこへここびへつらう事ばかり。


 なんと弱そうな生き物なのだろう。


 種が生き延びるには、やや過剰するる低姿勢だ。


 きっとあと数代で滅亡してしまうに違いない。


 吾輩は、人間の手によって改造された公園を後にした。


 空き地よさらば。


 ここは安息の地ではない。


 そこに、すれちがうようにして、疲れた顔をしたスーツのおっさん登場。


 吾輩をぬこ呼ばわりする最近の若者ではない。周囲の風景にはまったく調和しない、とても目立つおっさんだ。


 おっさんはため息をつきながら、「時間つぶすところねぇかな」とか言って公園にやってきた。


 でも、ベンチの一つもない公園を見て絶望した顔になった。


 何もねぇ、みたいな顔する。


 吾輩も、こんな公園になった時そんな顔したな、と懐かしみを覚えた。


「仕方ねぇ。会社行きたくねぇけど行くか」



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