続魔獣の壺 - 番外編 - 多次元世界への招待
皆さん、物理学者のモリー博士をご存知でしょうか?
彼の提唱した多次元空間理論は以下のようなものでした。
・空間には、4次元以上の軸が存在している。
・空間は物質の密度によって伸縮する。
・光は空間の振動である。
・空間の振動の一部は物質にエネルギーを与える。
・重力は空間の伸縮によって生成される。
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この様なものがあげられます。
さて、皆さんは、多次元世界と聞いてどのような世界を
想像しますか?
3次元に住む我々には、到底想像出来ないものでしょう。
我々の世界は、3次元で構成されています。
幅、奥行き、高さの3つで表現することができます。
これを3次元といいます。
ここに時間という概念を追加することにより、3.5次元と
表現することもあります。(時間は1方向なので、0.5を
加えている。)
しかし、今回は、時間という概念を除外して空間という
考え方のみで話をします。
わかりやすくするために、まずは2次元を考えます。
ここに、厚さ(高さ)が0の紙が1枚あります。
もし、仮にその中に生命が存在していたとすると、
彼等は、まるでRPG等の2Dゲームの中の住人ような行動しか
とることが出来ないでしょう。
草原は移動できるが、山脈などは移動できないなど、
様々なルールが想像できるでしょう。
ルールは、意味合いは違っても、
その考え方は自然の法則と同じであると言う事ができます。
いま3次元の住人がボールのような球体を持っています。
そのボールを目の前にある2次元空間を通過させたとすると、
2次元の住人は、どのような光景を目撃するでしょうか?
想像してみてください。
2次元空間の住人は、何もない空間に小さな点を確認したのち
その物体が次第に大きくなるのを目撃することになります。
2次元の生命体は、絶対に見る事はできませんが、
上から見ることができれば、それが円であることが判ります。
通過する球体の断面が2次元空間に現れているためです。
ここで言えることは、1次元上の物体が下の次元を移動する
場合、持っていない次元を除いた断面を見ることが出来る
ということです。
仮に4次元に存在する物体があったとします。
それの4次元目で輪切りにした時の断面が球体だと考えます。
これが3次元空間を通過した場合、3次元の住人には、
どのような見え方をするでしょうか?
突然、何もない空間に小さな点(球体)が現れ、
それが、次第に大きな球体となり、そして最大値を超えると
小さくなって行き、最後には消えてしまいます。
4次元の物体を想像することは出来ませんが、断面として考える
ことは可能です。
さて、話は変わりますが、3次元世界の住人であるあなたは、
巨大な球体の上にいます。
地面から約1mの高さに2次元空間が球体を包み込むように
広がっていると考えてください
この2次元空間が、高さ方向に均一に移動したら
どうなるでしょう?
(2次元空間は、ゴム風船のように膨らむとします。)
3次元空間からみると、それは風船を膨らましたように
大きくなっているように見えます。
しかし、2次元空間の住人は、自分の世界が広くなったと感じる
事はないでしょう。
何故ならば、空間自体が広がるため、自分自身も広がっている
からです。
ところで、宇宙の外側がどうなっているのか、気になったことは
ありませんか?
私が何を言いたいのか、察しの良い人は、
気が付いたかもしれません。
そうです。
宇宙は、膨張していると言われています。
つまり、4次元目の移動でこれらを表現する事ができるのです。
風船の円周上に線を引き、線の上に赤色の点を1点描きます。
同様に、線の上に、等間隔で黒色の点を描きます。
そして、それを膨らましていきます。
赤の点と一番近い黒い点の距離、
赤の点と一番遠い黒い点の距離、
この2つの距離を比較しながら風船を膨らまします。
近い点の距離と遠い点の距離を比較すると分かる通り、
遠くにある点の方がより遠くへと離れます。
これが、宇宙が膨張していると言われていることなのです。
近くの空間膨張はほとんど影響を与えませんが、
それが遠くであるほど大きな影響を与えます。
これから言える事は、宇宙の外側には、
『3次元的にはなにも存在しない』ということです。
さて、話を戻しましょう。
2つの2次元空間空間が、高さ1離れた位置に存在していると
考えましょう。
イメージは、風船の中に風船が入っている状態を
想像してください。
2つの風船を同時に膨らましてください。
2つの風船は決して融合することはありません。
これと同じように、厚さ0の2次元空間は、高さが異なる場合は
別の空間と考えることができるのです。
さて、6次元の世界を想像してみてください。
もし、6次元が存在し、我々の住む世界と同じ場所に
存在していたしたら。
それも、完全に分離されるように存在していたとした場合。
さらに、それが別の軸の3次元の世界であったなら。
我々は、それを見る事も、気付くこともできません。
しかし、その世界は、我々の住む3次元の世界と同じ場所に
ありながら、全く別の世界なのです。
今の話は、完全に分離されたとしましたが、
多次元に存在する物体が3次元の空間に影響を
及ぼす可能性は、あるのでしょうか?
1枚の紙を手に持ち揺らしてみてください。
紙は、波打つように動きます。
2次元の生命は、3次元方向への移動を認識できるでしょうか?
確証はありませんが、不可能だと考えられます。
自分自身も含め空間自体が揺れる為、影響を認識する事は
できないでしょう。
3次元の生命は、4次元目を認識できるように作られていない
のです。
雨を思い出してください。
空気が保有できる水分量には、限界があります。
限界値を超えた場合、非常に小さな水滴として現れ、
霧や雲となります。
それらがぶつかり合い、纏まることにより、大きな水滴となって
雨として降るわけです。
空間も同様に考えることが出来ます。
密度が増えるにしたがって空間が収縮を始めます。
密度がさらに増えると、空間の収縮はさらに大きくなります。
そして、その現象が現れます。
空間の引き寄せです。
空間密度の大きくなった空間は、周りの空間を引き寄せます。
当然のことですが、周りの空間は、ゴムが伸びるように
引き延ばされます。
そうです。
重力です。
そして密度が極端に大きくなったものがブラックホールです。
重力を説明する時によく映像として現れる、ピンと張った
ゴムシートの上に球体を置く説明を思い出してください。
ゴムシートが空間であり、球体が空間を歪めているのです。
このように、多次元空間を考えることによって、
様々な不可解な現象を解決することができるのです。
これは、あくまでも小説の設定資料の一つです。
続魔獣の壺の執筆にあたり、公開することとしました。