添い寝
リウが作ってきたスクランブルエッグは少し冷めていたもののしっかりとした料理になっていてマグナスは驚かされた。
「うん、とってもうまいな」
素直に感想を述べるとリウは嬉しそうにほほを染めていた。
そして、リウも一緒になってスクランブルエッグを食べていった。
そして、その晩。リウは相当頑張っていて疲れたのか熟睡していた……マグナスのベッドで。
(まぁ、俺の部屋のベッドは結局リウが欲しがった二人で寝れる用のダブルベッドだし、リウが一人寝ていたところで俺が寝る分には困らないからな)
ただ、マグナス自身はなぜか目が覚めてしまったのでベッドには行かずに机で頬杖をついていた。
(この俺が家を持つなんてな……)
改めて中の修繕も終わって見ると不思議な気持ちになっていた。
直している間はそこまで実感のない感じだった。いつもの依頼みたいに慌ただしく日々が過ぎていき、気がつくとここまで来ていた。
しかし、休めるとなると本当に不思議な気持ちになる。
「んっ……、マグナスさまぁ……」
ベッドの方からリウの寝言が聞こえる。
(夢の中でまで俺が出てくるなんて一体どんな夢を見ているのだろうか?)
マグナスは微笑ましくリウを見る。
「マグナスさまぁ、それはスライムですよぉ……、食べ物じゃないですぅ……」
思わず机からずり落ちそうになる。
(夢の中の俺はどれだけあほなやつなんだ! スライムを食べ物と間違えるなんてどう考えてもおかしいだろう!)
思わずツッコミを入れそうになるがリウが気持ちよさそうにすやすや寝ているので何も言わずに再びモヤモヤとした気持ちを残しながら元いた場所に戻る。
月明かり以外に明かりらしい明かりがない部屋の中で一人いると無性にさみしくなってくる。それは元いた世界の恋しさではなくてただ、この世界にきてから一人でいるということが少なかったから、一人でいることがこれだけさみしいものかと改めて実感したからだ。
よく今までの自分が一人黙々と依頼をこなしていたなと改めて感心してしまう。
おそらく今が寂しいのもこの世界に来てからしばらくはリウと一緒に過ごしてきたから何だろうな。
マグナスはずれたリウの布団を戻しながら微笑ましい表情を向ける。
「明日も早いからな。そろそろ俺も寝るか……」
リウの隣はいると俺もゆっくりと目を閉じていく。
そして、朝になり目を覚ますとすでに起きていたリウが笑みを見せてくる。
「おはようございます、マグナスさま」
「あぁ、おはよう」
マグナスは挨拶を返しながら、こんな朝も良いものだなと少し笑みを浮かべていた。
新作を始めました。よろしければ広告下のタイトルよりどうぞ。
『社畜さん、ヒモになる〜助けた少女は大富豪の令嬢だった〜』
あらすじ
ブラック企業で働く有場健斗は夜、コンビニに行く途中で車にぶつかりそうになっていた少女を助けて、代わりに怪我を負った。
気がつくと病院で寝かされていた俺は上司からの電話で病院を抜け出そうとする。
するとそこに助けた少女が現れて宣言してくる。
『命を助けてくれたお礼に私があなたを引き取って養っていくと決めました――』
この少女は大富豪の令嬢でその宣言通り、あっさりと俺はその大企業へと引き抜かれてしまう。
業務内容は少女と一緒に過ごすこと……。
こうして俺は社畜からヒモへとジョブチェンジを果たしてしまったのだった。