決着
本日、スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。2巻の発売日になります。
そして、帯にはなんと、コミカライズ企画進行中の文字が……。(੭ु˙꒳˙)੭ु⁾⁾
詳しくは活動報告にて書かせていただきます。
よろしくお願いします。
そして、食堂へ戻ってくるとすでにミリファリスがもどってきていて、テーブルの上には料理がたくさん置かれていた。そのどれもが宿で食べたことのあるような定番のメニューだった。
対するリウの方は未だに料理を作っている途中のようで相変わらず厨房内で騒いでいる様子だった。
「このまま置いていても冷めてしまいますから先に食べてください」
ミリファリスが提案してくる。確かにこの様子だとリウはもう少し時間がかかるだろうし、待っていてせっかくの料理が冷めてしまってはもったいない。それに……。
くぅぅぅぅ……。
マグナスの腹の虫がなる。朝から何も食べずに過ごしてきたのが間違いだったかもしれない。
今はもう夕方なのでこれ以上我慢することは正直今の俺には辛かった。
「あぁ、それじゃあ先に食べさせてもらう」
お皿とスプーン、フォークを受け取ると早速どれを取るか考える。
オムライス、野菜炒め、シチュー、サラダ……等たくさんありすぎて正直悩んでしまう。ただ、これだけのものを難なく作れると言うことはミリファリスは普段から料理を作っているのだろう。
さすがにここまでできるミリファリスが相手だとリウは勝てないかな。
そんなことを思いながらまずはシチューを一口飲む。
うん、うまい。
確かに料理屋で食べるようなそんな味ではないものの素朴で家庭的な味がしていた。
こういったものはほとんど食べたことがないおかげで純粋にどの料理も楽しむことができた。
「どう……でしたか?」
ここまでの料理ができるのだが、それでも心配なものは心配だったらしい。ミリファリスは恐る恐る聞いてくる。
「あぁ、とってもうまかった。あとはリウだが……」
ちょうどそのタイミングでリウの料理ができたようで慌ててお皿を運んできた。
その上にはやはり焦げてしまった大きな肉が乗っていた。
何か味付けがしてあるようにも見えない。となると本当にただ焼いただけなのだろう。
それもリウが不器用なのでいつまでも焼き加減に失敗して、ようやく形を保っていられたのがこれなのだろう。
さすがに心配そうな顔をするリウ。もう勝てないと思っているのだろう。すでに意気消沈してテンションが低い。
「あの……、リウのはうまくいかなかったので食べなくても……」
しかし、せっかくリウが頑張って作ってくれたものだ。食べないなんてことだけはしたくなかった。
でも、目の前にはまるで炭のように真っ黒となった肉。
本当に肉なのかも怪しいが、ここはリウを信じよう。
思わずグッと息を飲み込む。そして、目を閉じて大きく深呼吸したあとに覚悟を決めてその肉に齧り付いた。
外は焦げている部分がサクサクして、少し苦い。
その一方、中はしっかりと火が通ってないようで半分生の状態であった。
当然そんな状態の肉だ。おいしいはずもなく、でもリウが見てる手前なんとかそれを飲み込んだ。
「ど、どうだった……?」
「もうちょっと火加減の調整がいるかもしれないな。まぁこれから練習していけば良いさ」
その言葉を聞いてリウは花開くように笑顔を見せてくれた。もっと全然ダメと言われると思っていたのだろう。
「うん、頑張るね!」
リウがぐっと両手を握る。そこでミリファリスの存在を思い出すリウ。
「あっ……、勝負は……」
少ししょんぼりするリウの肩に手を触るミリファリス。
「勝負は引き分け……ですね。これからもっと料理が上手くなるように『二人で』練習しましょうか?」
するとリウは大きく目を見開いて、うんっと頷いた。
そしてミリファリスはマグナスの方を見て軽くウインクして見せる。
なるほど……、リウを悲しませずに、なおかつ料理を教えてくれようとしてくれたんだな。
マグナスはかるく頭を下げ、ミリファリスに感謝を示すと彼女は小さく微笑みを浮かべていた。
新作の方を始めさせていただきました。
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