家具探し
スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。2巻が4月25日(木)に発売となります。
書影の方を活動報告に貼らせていただきました。
よろしければどうぞ。
「そ、それよりも他の家具を見ましょう」
顔が真っ赤になっていることを誤魔化すようにミリファリスが別の場所へ向かっていく。
と言ってもベッドが決まったらあとは何がいるんだ?
今までの生活で使ったことのあるもので考えてみる。
やっぱり机と椅子だな。それさえあれば生活には困らなさそうだ。
「それじゃあテーブルを見せてくれるか?」
「わかりました。ではこちらにきてください」
ミリファリスの案内の元、マグナスたちはテーブルを見に行った。といってもそこまで悩むようなものでもなかった。
書類を置く以外に使うことがないからな。それほど大きい物を選ぶ必要もないだろう。
そう思ってちょうど良いサイズのものを見ているとミリファリスが声をかけてくる。
「マグナスさんはどんなテーブルが良いのですか? やっぱりお客様が来た時用にそこそこ大きい物が必要ですよね?」
「えっ?」
どうして客が来たときのことを考えるんだ? と一瞬首を傾げてしまう。
ただリウが座っている物を見て考えを改める。
そうか……、食卓がいるんだな。外食がメインだったからすっかりその存在を忘れてしまっていた。全部買い換えるんだったらこれも必要だもんな。
「リウはそれが良いのか?」
「うん、これとっても座り心地が良いの」
リウが嬉しそうに座っているのでとりあえず食卓はそれを選ぶ。とっても大きめな木のテーブルとそれに合う椅子だった。
あとは部屋に置く机と椅子も選んでおく。これで最低限生活に必要なものはそろっただろう。
「さて、家具はこれで十分だよな?」
「いえ、あとは食器棚が必要ですよ」
ミリファリスに注意を受ける。やっぱりこの辺りは商会の娘だけあって必要な物は詳しかった。いや、自分が知らなすぎただけだろうか? 家を買う事自体が初めてだからこういったアドバイスしてくれる人はありがたい。
ミリファリスの顔を見ると彼女はにっこりと微笑んでさも当たり前のように一緒に食器棚を選んでくれた。
大きな買い物が終わりあとは小物関係と食料品さえ揃えたら終わりだな……。
そう思っているとリウが突然止まり、棚に置かれた商品を眺め出す。
そこにはとっても大きな青いスライム型の人形が置かれていた。
「……それ、欲しいのか?」
「うん……、そ、そんなことないの。ただ見ていただけなの」
はじめは頷いたものの、すぐに首を横に振って否定してくる。そして、人形が置かれた棚を通り過ぎていく。
その様子を見て俺はため息を吐きながらミリファリスに小声で言う。
「この人形も他の物と一緒にもらえるか?」
「はいっ、かしこまりました」
ニコニコと微笑むミリファリス。今日だけでかなりの量の買い物をしているから当然だろう。
そして、必要になりそうな小物を買いそろえたあと、リウに尋ねてみる。
「そういえば、食事の材料はどうする? リウが作ってくれるんだよな?」
「うん、任せてなの!」
腕まくりをして気合いを入れてくるリウ。それを見て頼もしく思えてくる。