第四十六話 石灰石の入手
本日、『スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。』が発売となります。
既に発売されているところもあるようですが、もしよろしければお手にとっていただけるとありがたいです。
魔物を倒し終えたマグナス達はそのまま更に奥へと進んでいった。
魔物が現れたらまたリウに攻撃魔法の練習をさせた方が良いだろうなと考えながら……。
しかし、先ほどのマグナスの攻撃に恐れおののいたのか、それ以上魔物が現れることなく石灰石がある場所までたどり着いた。
これならば別に困ることはなさそうなのにな。
どうして品不足になるほど取りに来れないのだろうか。
首を傾げつつ石灰石を採取しようと近付くとそこでようやく石灰石が取れなかった理由が判明する。
石灰石を守るように巨大な大蛇がとぐろを巻いて眠っていた。
「マグナスさま、さすがにあれだと取りに行けないね」
リウが少し顔を曇らせていた。ただ、別に相手が魔物なら倒してしまえば良いだけの話で……。
「少し下がっていろ」
マグナスは小さな声でリウに指示を出すと軽く指を鳴らす。
その音に大蛇は目を覚まし、周りをキョロキョロと見渡していた。
しかし、その瞬間にはすでに手遅れでその大蛇を覆うように高熱の炎が渦巻き始める。
「ま、マグナスさま、こんなところで強い炎を出すと周りの樹に燃え移って……
ってあれっ?」
リウが心配そうにマグナスの服をつかんで言ってくる。ただ、彼女の言うようなことは一切起きていない。
「大丈夫だ、あれは幻惑の炎だからな。実際に燃えることはない。でも隙は出来るだろう、その間にこうするんだ」
更にマグナスは指をパチリと鳴らすと炎が消え、風の刃がそのまま大蛇の首を落としてしまう。
「さすがにこの魔法だけだと直線にしか進まないし簡単によけられかねないけど、こうやって逃げられない状況を作ってやれば魔法も簡単に当てられるようになる」
「すごいです、マグナスさま」
リウが目を輝かせて上目遣いをしてくる。
しかし、それに気づくことなくマグナスは石灰石を拾いに行く。
「量はこのくらいでいいか。一応多めに拾って町の人にも売っていくか。金になるだろうし」
「そうだね。あっ、マグナスさま、あの魔物のところに素材が落ちてるよ」
リウが指さしたその先……。ちょうど大蛇がいたところには首が落ちた大蛇と赤く透明な大きな石――魔石が落ちていた。
大蛇なら強さはオーク以上だし、この魔石も素材として持って帰れば後は家の完成を待つだけだ。
一体どんな家になるか今から楽しみだな。
マグナスは少し頬を緩めながらその魔石も拾い上げると港町のほうへと戻っていった。
「まじか!? あの大蛇を倒したって……」
素材を売っている道具屋の店員は驚きの声をあげる。
「あぁ、確実に倒しておいたぞ。それより使わない分の石灰石を買い取ってもらいたいのだが……」
「あ、あぁ……、それはもちろんだが……」
店員が目を点にしているのは取ってきた石灰石の量だった。
この素材屋の中に大量に置かれていた。
「これだけの量となると買い取るほどの費用があるか……」
顔を真っ青にしながら言ってくる。
もしかすると石灰石って結構高価なのだろうか?
「まだ、この店の外にも置けない分は置いているんだが……」
それを聞いた瞬間に店員は泡を吹いて倒れてしまった。