第四十五話 リウ単独の魔物討伐
長々とお持たせしてしまい申し訳ありません。
11月24日(土)発売の『スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。1巻』ですが、公式ホームページで書影が公開されました。そちらの方は活動報告にも同じものを貼らせていただいております。よければそちらもご覧になってください。
石灰は近くにある少し小高い丘にあるらしい。数自体は結構あるらしいのだが……。
「魔物がその辺に徘徊しているな」
マグナスは周囲を調べてみる。すると多数の魔物を感知することが出来た。
「どうするの? 魔物を避けていくの?」
「いや、せっかくだ。魔法の練習をしていくか」
マグナスはニヤリと微笑む。それをみたリウは少しだけ嫌な予感がした。
そして、マグナスはリウに防御の魔法をかける。それによってリウが傷つくことは一切なくなる。そして、そこから先はリウに任せていく。
当のリウは狼型の魔物、ウルフに周りを囲まれていた。
それを飛行魔法で上空から眺めるマグナス。
「ま、マグナスさま……。た、たすけ……」
「いや、そこで魔法を使うんだ!」
少しスパルタかなとも思うが、それでもリウにはなるべく早く魔法を使えるようになって欲しい。実践的な魔法を覚えるにはやはりこういった魔物との実践が一番早かった。
傷を負わないと分かっていてもリウは目の前にいる魔物の恐怖から逃げ回り、魔法を放とうとはしない。
「魔法……そうだよね。うん、マグナスさまに教えて貰ったんだから……闇の玉」
ようやく魔法を放つリウ。彼女の手からは漆黒の大きな玉が放たれる。
ただし、その速度はとてもゆっくりで簡単にかわすことが出来る。しかし、ウルフたちはまさか反撃されるとは思っていてなかったのだろう。
そのまま勢いを殺さずに突っ込んできて、躱しきることが出来ずにその漆黒の玉にぶつかる。
その瞬間に漆黒の玉は爆発を引き起こす。
ドゴォォォォォン!!
「ぐぎゃぁぁぁ……」
悲鳴にも似た声を出してリウを襲っていたウルフたちは倒れていた。
そして、リウもその場に座り尽くす。
「り、リウ……使えた。攻撃の魔法を……」
自分の手をみて乾いた笑みを浮かべるリウ。
さすがにあの速度だと使えた……とまでは言えないだろうな。
今回はリウが逃げていたという前提があって初めて当たった魔法な訳だから……。
ただ、それでも喜ぶリウの側に近付くと軽く頭を撫でてあげる。
「あっ、マグナスさま……」
更に目を細めて嬉しそうにはにかむリウ。そんな彼女に向けてマグナスは更に言う。
「それじゃあ今度はもっと多くの魔物を……」
「さすがにもう魔法使えないの……」
すっかり疲れた様子を見せるリウ。彼女の様子を見ると先ほどの魔法に全ての魔力を込めたのか、ほとんど魔力が残っていなかった。
「まだまだ攻撃魔法の特訓は必要だな……」
「はい……」
シュンと少し落ち込むリウ。
「あまり、魔力を込めすぎずにそれでいて、極限まで圧縮して放つんだ。こんな風にな」
マグナスは右手に込めた魔力を小さな弾丸状にして、それをそのまま近付いてくる魔物へ向けて放つと一瞬でその魔物は跡形もなく消え去っていた。
それをみていたリウはあまりにも威力が違いすぎることをただ呆然と眺めていた。