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スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。  作者: 空野進
第1章大賢者、転移する
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三十五話 ラティオたちの働き口

 マルティンの町までなんの問題もなく戻ってきたマグナスたちはまず馬車を返すと宿の方へと向かっていった。



「俺たちも宿に行っていいのか?」



 ラティオが少し心配していたが、この町なら問題はないだろうと思い、よく使っていた宿の中に入っていく。



「いらっしゃいませー!」



 今日は女将さんがいないのか、娘のルーチェが元気な声で出迎えてくれる。

 ただマグナスの顔を見ると嬉しそうにする。



「お兄さん、また来てくださったのですね。ってあれっ? その子たちは?」



 ルーチェはすでにリウとあっているのでおそらくラティオとアルティのことだろう。



「あぁ、この町で住み込みの仕事を探してあげようと思ってるんだが、見つかるまではここに一緒に泊まることになると思う」

「わかりました。では部屋に案内しますねー!」



 お金をルーチェに渡すと彼女は部屋へと案内してくれる。



「マグナス様。さっきのアルティちゃんとかの仕事を探すって言うのは?」



 リウが驚いたように聞いてくる。

 そういえばラティオに言ったときに彼女は寝ていたから聞いていなかったんだな。



「あぁ、ラティオには話してたんだ。これから生活していく上で仕事がいるからそれが見つかるまで俺も手を貸してやると」



 するとリウが嬉しそうな顔を見せる。



「そんなことまでされるのですね。かなり大変なことだと思うのに……」



 大変? そういえばなんで自分はこんなに働いてるんだ?

 極力休むためにしか動いていないはずなのになぜかやたら働いている気がする。どうしてだ?


 少し不思議に思いつつ、ラティオたちのことは仕方ないかと皆に隠れるようにため息を吐いた。




 ◇




 翌朝、皆が起きてからマグナスたちは食堂へと向かう。するとそこにはすでに食事をとり終わってゆっくりとしているリズドガンドの姿があった。


 彼はマグナスを見つけると大きく手を振ってくる。

 その嬉しそうな顔を見るとまた面倒ごとを持って来たのではと少し不安にもなるが、今はラティオたちのことを聴くチャンスかもしれない。


 せっかくだから話してみようと彼の下へと近づいていく。



「やぁやぁマグナス。会いたかったよ、この数日姿が見えなくて寂しかったんだよー」



 近づくやいなや抱きついてくるリズドガンド。

 当然男に抱きつかれる趣味なんてないマグナスはそれをさっとかわす。



「あれっ、連れないじゃないか……」



 リズドガンドは大げさに寂しがるそぶりを見せる。

 当然それはわざとということもわかっているのでマグナスは全く気にせずに本題に入る。



「リズドガンドに少し聞きたいんだが……」

「珍しいね、マグナスから質問があるなんて。一体何が聞きたいんだい?」

「あぁ、実は……」



 マグナスはラティオたちのために住み込みで働ける場所がないか聞いてみた。



「働くのはその子達だね。うーん、さすがにうちで働くには小さすぎるね。危険も多いし……。そうだね……、そのくらいの子達なら給仕の仕事とかなら出来るかな? 預かるくらいなら全然するが……」



 リズドガンドが一緒に悩んでくれる。



「いや、俺たちも自分でしっかり働いていきたいんだ」



 ラティオが自分の考えを告げる。すると少し考えたリウが言ってくる。



「ぱへ……」

「まだシュガー草が届いてないと思うよ?」

「ううん、違うの。あのお店で働かないか聞いてみたらどうかな?」



 確かにあのお店ならラティオたちでも働けるだろう。



「そうだな、一度聞きに行ってみるか」




 ◇




 マグナスたちは料理屋までやってきた。

 ちょうどお店が開いているようなのでそのまま中に入る。



「いらっしゃいませ。あっ、マグナスさん、いらっしゃいませ」



 フィリアが小走りに出迎えてくれる。

 せっかくなのでそのまま聞いてみることにする。



「少し聞きたいんだが、ここでこの子たちを働かせることは出来ないか?」



 マグナスはラティオたちを前に出しながら聞いてみる。

 少し緊張した様子で自分の名前を言っていく二人。

 それを見てフィリアは少し考えるそぶりを見せていた。ただ、それも少しですぐに頷いてくれる、ら



「えぇ、ちょうど人が足りていなかったから助かるわ。この子たちは獣人……なら、住み込みのほうがいいですか?」

「あ、あぁ、よろしくお願いする」

「よろしくお願いしまーす」



 嬉しそうな表情をするフィリアにまだぎこちない表情しか浮かべられないラティオたちは、固い顔のままとりあえず頭を下げていた。



「それじゃあ早速今日からお願いできるかな?」

「う、うん……」



 頷いたもののチラチラとマグナスの方を見てくるラティオ。流石にいきなり働くのは不安があるんだろうな。

 マグナスは苦笑しつつ言う。



「わかった。今日は俺も様子を見ていく」

「あっ、それならリウも今日は働いてみたいのー」



 手を上げて言ってくるリウ。確かに一人だけ眺めていると言うのもかわいそうだな。



「大丈夫か?」



 一応フィリアに確認をする。すると彼女はすぐに頷いてくれる。



「えぇ、もちろん大歓迎ですよ。じゃあとりあえず服を着替えてもらおうかな?」



 フィリアがリウたち三人を奥の部屋へと連れて行った。

次回19日更新予定です

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『転生領主の優良開拓〜前世の記憶を生かしてホワイトに努めたら、有能な人材が集まりすぎました〜』

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