今日の議題“新ヤンキー座りの開発”
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幻光高等学園の三階の左隅にある今は使われていない教室にて、
「今日の会議の議題は“新ヤンキー座りの開発”だ。」
毎回、部活の議題を発表するのはヤンキー研究会の部長、三年生の山野原 賢吾。彼は学校一の成績で教師からも一目置かれている。
「健吾の兄貴ぃ!なぜ、前のヤンキー座りから変えなくちゃいけないんすか!」
今、部長に抗議したのは一年生の天野 結城だ。彼は部長に憧れてこの部活にはいった。彼はヤンキー道まっしぐらだ。
「いいか天野、どんなものでも時間が経てば風化して腐っていくんだ。あのヤンキー座りはもう古い!誰があんなカッコ悪いうんこ座りなんか好き好んですると思う?否!!誰もしたがらない!だからこそ今ここで新ヤンキー座りを開発するのだ!!!」
「な、なるほど!そういうもんなんすね!!」
「じゃあさっそく何か意見のあるものはいるか?」
「では部長、私から。まず、前のヤンキー座りは行儀が悪いので衰退したと思うのです。ですから新ヤンキー座りではやはり美しさを求めるべきだと思います。」
部長に提案したのは学校一の美人、二年生宮原 麗子。見た目は100点だが、ヤンキーの悪いイメージを良いものにしようとしてるのが玉に傷だ。
「確かに、な。うんこ座りのヤンキー座りはテレビとかのせいで悪いイメージしかないからなぁ。」
「そんなのダメっすよ!!ヤンキーじゃなくなっちゃうじゃないですか。ヤンキーっていうのは悪かっこいいものなんですからね!兄貴も流されちゃダメっすよ!」
「そうだぞ、健吾。ヤンキーってはまっすぐに生きて、悪を許さないものなんだからな。うんうん、やっぱりヤンキーは憧れるぜ。」
ヤンキーをヒーローかなにかと勘違いしてる男、三年生菅野 輝彦。こいつは脳筋な上にバカだ。だが困っている人はほっとけない良い性格の持ち主でもある。
「そうだな、それも一理あるな。じゃあ結城と輝彦、何かあるのか?」
「そうっすね。うーん、僕はやっぱり見たら驚くようなヤンキー座りがいいっすかね。注目されるよう感じの。」
「子供達が憧れるような方が良いと思うぜ、健吾。」
確かに結城と輝彦の言うこともわからなくはないからなぁ。
「じゃあ、新ヤンキー座りは美しく、インパクトのあるやつがいいな。」
「そうですね、では、具体的にポーズを決めていきましょか。」
「だな、じゃあ麗子、なにかあるか?」
「はい、やはり急にヤンキー座りに大きな変化をもたらすと混乱が生じると思いますので、みんなが知っている行儀いいポーズの代表、体育座りにすればいいと思います。まず始めのうちはお尻を地面につけて徐々に膝を閉じていき最終的に体育座りにすれば良いかと思います。」
「何言ってんですか、宮原の姉御!そんなのとてもじゃないけど恥ずかしくてできないっすよ。」
「そうかしら、結城君の言っていたとおり注目されると思うわよ。」
「たしかに、俺らの条件満たしてるな。」
「なに流されてるんすか、輝彦の兄貴!口車に乗せられちゃダメっすよ!しっかりしてください!!」
「はぁ、お前らなまぁいい。次、結城何かあるか。」
「はいっす!僕は健吾兄貴について行きます。」
「なるほど、何もないと。じゃあ最後に輝彦はあるか?:
「おう!やっぱり色違いのかっこいい仮面とか付けるのはどうだ?」
「却下だ、健吾。」
「反対です.菅野先輩。」
「ダメっすよそんなの、健吾の兄貴!」
「そうか?俺は子供達から人気が出ると思ったんだがな。」
(((どこの戦隊モノヒーローだよ。)))
健吾以外の全員の心の声がはもった。
「よし!決めた。今回の会議で話し合って出し合った全員の意見を取り入れたヤンキー座りを発表する。」
………ゴクリッ×3
「前のヤンキー座りは和式タイプのうんこ座りだったが、新ヤンキー座りでは洋式タイプのうんこ座りを推奨したいと思う!!!」
「「「おおぉ。」」」
「反対のものはあるか?」
「私はないです。」
「さすが、健吾の兄貴っす!」
「うむ、それなら良いぞ。」
「では、これにて今日のヤンキー研究会を解散する!」
「「「イエッサー、マイ ロード イズ ヤンキー!」」」
ちなみにこの挨拶は健吾が一週間悩んで決めたものである。
そしてこの日幻光高等学園で新たなヤンキー座りが生み出されることになるのだった。
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