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配属

携帯とパソコンのチャンポンで投稿しているせいか、段落初めの空白が空けられません。お許しください。

→治りました(3/12)

 ここはリバティア民主連邦北部、地中海に面した街の一つであるメンフィスベル。街の南側の広大な土地に陸軍航空隊のメンフィスベル基地が広がる。


 メンフィスベル基地の中の第90教育航空大隊と書かれた建物の中に50人程の年若い兵士達が集められていた。



「35番、マイク・ハミルトン曹長」

「はいっ!」

「貴官を少尉に任官し、航空徽章(ウィングマーク)を授与し、東部航空軍 第13戦闘航空大隊への着任を命じる!」

「了解しました!」


 俺は次々と任官されていく学生を見て冷や汗を流していた。既に新任パイロット定数は越えた人数が任官されている。しかし、まだ俺は呼ばれていない。授業は真面目に受けていたし、飛行実習もそれなりの成績を出した。どうか次に呼ばれてくれ。そう願った。


 先の学生が満面の笑みで退出する。部屋に重苦しい空気が漂うなか、主任教官の大佐は手元の名簿を見て次の名前を呼んだ。


「36番、アール・エヴァンス曹長」


 ギリギリだった、その思いがまず浮かんだ。


「はいっ!」


 椅子から立ち上がり、教官の元へ向かう。


「貴官を少尉に任官し、航空徽章を授与し、北方航空軍 第70攻撃大隊への着任を命じる!」


 主任教官の隣にいた教官が笑顔で俺の右胸に羽のマークの徽章を付け、ついでといった様子で少尉(いっぽんせん)の階級章を手渡した。


 廊下に出て、誘導に従って別室に入る。中には大勢の教官と、新任パイロット達がいて、拍手で祝福してくれた。


 仲の良かったエリック・バードマンが駆け寄ってくる。


「やったな、アール!お前は落ちたかとヒヤヒヤしてたぜ。」


 エリックはそう言って、バンバンと俺の背中を何度も叩いた。


「痛いから止めろって前から言ってるだろ、エリック!まあ、ありがとよ。ああ、俺は70攻(ななまるこう)だったよ。別々になるけど頑張ろうぜ。」

「70攻なら同じ北だな。まあ、俺が守ってやるよ。」


 エリックは器用な男で、7番目に呼ばれて、志望通りの北方航空軍の戦闘機(はながた)乗りになったのだ。

 そうこうしていると、俺の担当教官だったケンウッド大尉が近づいてきた。


「おめでとう、アール。70攻だが、お前の希望通りの戦闘機だぞ。」


 そう言って、教官はニヤリと笑った。


「あれ、攻撃隊に戦闘機なんて有りましたか?」


 そう口を挟んだのはエリックだ。彼が知らないとは珍しい。まあ、彼が知らないなら、俺も分からないんだが。


「誰も戦闘機(ファイター)とは言ってないぞ、エリック。しっかり人の話を聞く癖を付けろ。まあいい。アールが乗るのは戦闘攻撃機(ファイター・アタッカー)だよ。」

「えっと、我が軍で戦闘攻撃機というとP-10しか無かったはずですが、教官、まさか25年前の駄目駄目な機体がまだ飛んでるんですか?」

「流石だな、エリック。まあ、正しくは20年前に改良されたP-10Cだよ。俺はそろそろ更新されると踏んで推薦したんだ。」

「教官、すみません。全く話に付いていけないんですが。」


 俺がそう言うと、教官はエリックを顎で促した。


「はあ、またこういうお仕事かい。いいか、アール。戦闘機ってものはやっぱり速けりゃ強いだろ。速くするにはエンジンが強けりゃ良いだろ。そこで先の大戦、つまり20年くらい前にエンジンを二つ積んだ双発機が流行ったんだ。でも、作ってみれば上手く飛ばない、構造強化で重くてそんなに速くない、旋回性能が悪すぎるってことでどの軍もすぐに開発を止めたって訳だ」

「更に言うならうちの国のP-10はもったいないからと言って攻撃機に転用したやつだ。更にその後で搭載量を増やす為にエンジンと構造の見直しをしたのがP-10Cだな。」


 教官はそう付け加える。


「すると、俺って着任早々左遷ですか?」

「正規のパイロットになるんだったら左遷じゃないだろ。」

「いや、お前の希望を尊重してだな・・・。」

「えっと・・・。」


 ここから俺の飛行機乗りとしての人生が始まった

ありがとうございました

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