いじめ その2
いじめは、どちらかというと靴を隠されたりといった精神的なものよりも、背後から殴られたり蹴られたりといった肉体的なものの方が多かった。これは、男だからかもしれない。
しかし、いじめが陰湿であることに変わりはない。泥で汚れたサッカーボールをぶつけられ、わざと服を汚されるようなことだってあった。
体育の授業や、休み時間にサッカーをすれば、最後に触ったものがボールを片付けるとリーダー格の山根が言い出し、俺にボールが回ってくる。正確にはボールをぶつけられてでも、俺が片付けることになるのだ。
そして、いじめは常に複数だ。何人かで俺を押さえつけ、殴る蹴るは日常茶飯事だった。
来る日も来る日も、ありとあらゆる嫌がらせを受けた。
一度、こんなことがあった。その日は、俺をいじめていた、そのリーダー格の山根が風邪で学校を休んだ。正直、心のどこかでほっとはしていたのかもしれない。
「こいつ、今日、山根が休みだから調子乗ってるんだぜ」
もちろん、そんなことは全くない。俺をいじめていた山口が、先生を自分たち側へ取り込もうとそんなことを言い出した。
先生は、特に相手にはしなかったが、この山口には驚いた。そんなことまでして、俺に嫌がらせをしたいのかと思ったものだ。
それでも、毎日学校へは行っていた。
親にはいじめられている話をしたことがなかったし、ズル休みを許してくれるような親でもなかった。
毎日学校へ行けていたのは、唯一、味方になってくれる友達がいたからだ。当時の親友だ。いじめを助けてくれることまではなかったが、それでも、一緒に帰ってくれていた。
放課後、いじめられていても、俺のことを待っていてくれて、一緒に帰ってくれる。それだけで、どれだけ救われたか分からない。
今、その彼がどうしているかは分からないが、今でも感謝していることに変わりはないのだ。




