12話
週一でゆったりしながら更新していきます・・・たぶん
蟷螂と戦うイベントがあったものの旅は滞りなく進み、森を抜け草原地帯に入っていた
そこは見渡す限り草原でそのど真ん中に堅牢な城壁に囲まれた大きな街、いや、都市があった
三人はそこに向かって伸びる一本の道を歩いていた
「アレが街、ジョードですよ。ヒロさん」
「まるで要塞だな」
その言葉どうり街というにはあまりにも堅牢な壁に覆われているし、大きさから街というより都市だな
街から煙突らしきものもところどころにあり煙も凄いことになっている
その奥にはさらに堅牢そうな城みたいなものすら見えている
「大昔は本当に要塞として機能してたんだよ」
「領主はへランガール候爵という方で、建国当時からの名家です」
「へ~」
街の大きさや堅牢さも侯爵が治めているのなら納得だな
「何が有名なんだ?」
「武具類だよ。鍛冶の聖地なんて呼ばれているくらい有名だよ」
「この近くに良質な鉱山が多くあるのも、そう呼ばれる要因の一つですよ」
「なるほどな。煙突が多いのも頷けるな」
そうやって話をしていると門が見えてきた
門の両脇に門兵らしき人が二人ほどいた。あくびができるぐらい暇らしい
「とりあえず街に入ったらギルドに行くよ」
「コイツか?」
そういって担いでいるもの少し揺らしてみせる
「そうだよ。そういった素材はギルドが買い取ってくれるんだよ」
「なるほど」
「それで、そのままギルドに登録するんですね」
「ああ。説明はギルドの受付にしてもらいな」
「了解」
そんなことを話しながら門をくぐる。その時に門兵が巨大な蟷螂の鎌を見てかなり驚いていたのは言うまでもないだろう
門の内側は外とは別世界のように人が行き交うとても活気あふれた所だった
「かなり恥ずいんだが・・・」
「仕方ないですよ」
「道をあけてくれるんだからいいじゃないか」
エリシャの言うとおり人ごみが俺らの前だけ避けるようにあけられていた
その原因は言わずもがな、蟷螂の鎌だ
ところどころで「おお、すげえ」「ギガントマティスだよな、あれ」「あの若いのがやったのか?」とうわさする声が聞こえるのが
そんな羞恥プレイに耐え、ようやく目的のギルドに到着したようだ。
ギルドと呼ばれるその建物は剣の描かれた盾の前でジョッキとジョッキを乾杯している看板が飾られており
重厚な扉のある大きな入り口でその扉は完全に開ききっている
そしてその中は手前のほうが酒場や居酒屋のようなところでその右脇に厨房と料理の受付のような所になっていて左脇の方にはバーらしきものがあった
奥のほうに端から端までになり真ん中手区切られてる受付があり、その左脇に掲示板のようなものがある
大きな街なだけあってギルドも賑っているようでそとまで騒がしいのが聞こえてくる程だ
俺たちが入るとその中でも蟷螂の鎌は珍しいのかそれを持っているのが俺だからなのかはわからんが騒がしいのが一瞬にして止まる
「何してんだい、行くよ」
「お、おう」「は、はい」
エリシャは意に介さない様子でさっさとしな、とでも言いたげに促す
ギルド内が静まり返ってる間に三人は奥の右側の受付にに行く
「査定を頼みたいんだが」
「ギ、ギルド証を確認させていただきます」
受付嬢の顔まで引きつっている
エリシャは「はい」と指輪を差し出す
受付嬢はそれを受け取りカウンターの下にやり、すぐにエリシャに返す
「はい、確認できました。少々お待ちください」
そういって受付嬢は奥の部屋に行き屈強な男を二人引き連れ戻ってきた
「お預かりします」
「どうぞ」
そういってやってきた二人の男に鎌を手渡す
二人は慎重そうに鎌を持ち奥に運び込んでいく
その時に「先輩、こんなんはじめて見ました」「そうだな。コイツは大物だ!」
とか言ってのはご愛嬌だろうか
「査定終了まで少々お持ちください」
そう言って受付は終わったとばかり愛想笑いを止め、無表情でエリシャの腕を掴んだ
「どういうこと?エリシャ」
「あ~、あんたはコレもってそっちの受付行ってな」
「わかった」
「あんたはこっちだよ」
「え!?何でですか?」
エリシャは手紙らしきものを渡すと、受付嬢にバーらしきところに引っ張られていった。フィリアを道ずれに・・・何故に?
あと受付嬢、職務放棄か?
とりあえず俺は言われたとおりに左の方の受付に行く
「ギルドに登録したいんだけど、あとコレ」
「はい、承りました」
とりあえず言われたとおりに手紙らしきものを渡す
受付嬢はその手紙を読み少し驚いた顔をするもすぐに登録に取り掛かる
「ではこちらの誓約書にお名前のご記入を」
「ぁ~、この国の文字は読み書きできないんだが・・・」
「あなたの書ける文字で構いません。それとも、私がお教えしましょうか?」
「なら、自分で書きます」
どんな字でも構わないようなので、日本語で月見里弘幸と書く
受付嬢は見たこともない文字で少し頭に?を生やすもすぐに次の事項に
「次はこちらに血の登録を」
そういって取り出したのはさっきエリシャが出した指輪と同じ物と占いで使いそうな水晶だった
「この二つに血を垂らして下さい」
「なにか切るものは」
「では、こちらを」
受付嬢から小ぶりのナイフを受け取り親指を少しきり血を垂らす
血をたらすと二つは俺の血を吸い少し光を出す。それはすぐにおさまり、血は完全に消え去っていた
「こちらをお受け取りください」
「どうも」
「他に質問はございませんか?」
「じゃあ依頼の受け方とかを」
「はい、かしこまりました」
そうやっていくつか質問を繰り返す
聞いたことをとりあえず上げると
・依頼は掲示板に張り出されているものをそのまま受付に持って行けばいい
・普通はこんなに簡単にギルド証は渡さず、審査・試験などを行う。ギルドから信頼のおける人物の二人以上からの推薦がある場合は免除(ヒロもコレで免除)
・ランクわけはモンスターのみで依頼の難易度は各個人で判断、万が一死んでも責任は取らない。
・モンスターのランクは上からS、A、B、C、D、Eでベテランの傭兵数人で倒せるレベルがBとCぐらいでギガントマンティスはBランクらしい
・ギルドは傭兵の巨大なコミュニティであり依頼者と傭兵の間を取り持つサポーターである
聞いたことを簡潔にまとめるとこんなところだろう
まぁ、コレぐらいでいいだろう
「このくらいでいいです」
「ではこちらをどうぞ」
指輪を渡される。ヒロはそれをとりあえず指にはめる
「これであなたもギルドの一員になりました。ギルドは信頼の上で成り立っておりますので、くれぐれもお忘れなきようお願いいたします」
「肝に銘じます」
最後に絶対に犯罪は犯すなという忠告を受け晴れてヒロはギルドの一員になった
ヒロはやり取りを終えて「フィリアたちはどうなったかなぁ」とつぶやきながら酒場とかの方に行こうとした瞬間に腕を掴まれる
「仕事は終わったんだ。少し話をしない?」
「は?」
さっきまでの営業用の敬語から急にくだけたものに変わる
ヒロは豹変した受付嬢に困惑した声が出る
「で、エリシャとはどういった関係なのよ?」
「はぁ?」
ヒロはその言葉によりいっそう困惑するのだった