表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ふたえ

作者: EAST

小さな頃から小さな目だった。少女マンガに出てくる女の子みたいになりたくてずっとずっと憧れていた二重。


いろいろやってみたけど、手っ取り早いのは整形。そんなお金もないし勇気もないからずっと家にこもって研究に励む。スティックのりを塗ってみたり、市販のテープを貼り付けてみたり・・・。挙句の果てには、まぶたを洗濯ばさみではさんで寝てみた。


翌朝、お岩さんのように真っ赤に腫れていた。

ショック。


「あんた、何してんの?」

心配そうに伺う母を押しのけ、さっさと学校に向う。

(もう、どうにでもなれ)


「あんたーどうしたの?」

「寝不足・・・。」


学校でごまかすのは難しい。だって、みんな経験してることだから、バレバレなのだ。


別に可愛くなって、モテたくて、二重にするんじゃないもん。

と思いつつ、つい憧れの隆君が気になってならない。

(どんな娘好きなのかな・・・)


バイトのイケメン先輩山田さんにも二重の情報を聞く始末。もう私を誰も止められない。

「えっ、君はそのままで十分かわいいよ。へたにイジったら、違和感あっておかしいよ」

「そうですかね。でも、みんな二重の人多いじゃないですか。一重は損ですよ。」

「そんなことないよ。君は誰かに気に入ってもらいたくて、そんなこと考えているの?」


すらっと背の高い山田さんは、しつこい私に嫌気が差しているようだ。

「そんな事ばっかり考えている暇があったら、少しは仕事に力いれてね。」

「はーい。」


翌日、学校で事件があった。

「お前、隆に好かれてんの知ってる〜?」

「えっ、何それ。何言ってんの?」

クラスでお調子者の亀ちゃんが、突然話しかけてきた。

クラスメイトの動きが止まる。


「へぇー、知らないや。そうなの。ふーん。あたしには興味ないけどねぇ。」

思いもしないことを口走る。まずい。かなり動揺してる。


ここで、アクション起こしたら、きっと冷やかされる。それだけは嫌だ。でも、でも!

もし亀ちゃんの言うことが本当なら、大変なことだ。


心の動揺を隠せないまま、バイト先に向かった。

「今日は、何か元気いいね。いいことあったの?」

「いえ、それが、いやいいんです。」

「何、ニヤニヤしてんの?」

「いやそれが、あの山田さんは両思いになったことあります?私はまだ確定ではないんですけど。」

「・・・ない。わかんない。俺も確認しないとわかんない。けど、君の浮かれようじゃ、残念ながら、無理かもね。」

「えっ?どういう意味ですか?」

「俺は一重でも大好きだよ。っていうか、一重じゃなきゃ嫌だな。」


ちょっとまって。これって告られてんの?

想定外だぁ〜。


その日は眠れなかった。隆君と両思いかもしれないということよりも、もっとドキドキすることが現れた。


嫌われるんじゃないかって、ずっと隆君の顔色をうかがってきたのに。隆君の好きな色に染まりたいと思っていたのに。

気持ちを素直に言うのは難しいことだ。なのに、山田さんには何でも話せる。

動揺しているのは告白されたからだきっと。

でも、隆君が私に好意を持っているとわかった時よりも、ずっと懐かしいあたたかな気持ちにさせてくれる山田さんの一言に惹かれずにはいられない。


翌日学校で、隆君から告白された。

「誰か好きな人いる?」

「・・いる。ごめんね。」


一昔前の私だったら心の底から彼を受け入れていたに違いない。でも今は隆君じゃだめなんだ。


バイト先で無口な山田さんに声をかけた。

「両思いになってくれませんか?」


いつの間にか自分の目が大好きになっていた。


私の二重日記おしまい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もっと丁寧に女の子の気持ちを書いてくれたらよかったのに…と思います。実際、本当に一重の人はかなり辛いんですよ?私も…一重なんです(泣)すっごく辛いです。
[一言] コンプレックスを持った女の子の気持ちが、とても丁寧に描かれていて、共感しました。最後の女の子の台詞が、胸キュウン!カワイイ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ