第四話 ひぃ
『おいで おいで
私はあなたを誘うもの
あなたは私を導くもの
おいで おいで
私は魂を誘うもの
あなたは魂を導くもの
あなたしか知らない場所
天の果てへ
連れて行ってほしい』
歌の残響が当たりに響き渡った。
森は元の静けさに戻る。
(……まだ来ないのかなぁ)
少し落胆していると、背後から何やら物音が聞こえた。
(!…もしかして天使様?)
振り返ってみると、暗闇の中無数の赤い光が浮かんでいる。
「…ひっ…」
ゴクリと唾を呑む。
「……ガルルルル………」
赤い光はゆっくりとこちらに近づいてくる。
わずかな月明かりに照らされてそれはあらわれた。
(………オオカミ………?)
そこにいたのは銀色の毛をなびかせ、赤い瞳でこちらをじっと見ている3匹の白銀の狼だった。
「ま、まさかあなたが迎えってわけじゃないよね…?あはは…」
思わず乾いた笑いが口から出る。
(…あのー心なしか、こっちをにらんでますよね…?
顔もすごーい眉間にしわが寄ってますよね…
今にも吠えそうだし…暗いからよく見えないけど…)
「ガルルルルル……」「グルルルル……」
「ま、待ってください、話し合いを…しませんか?」
そして三匹の狼が私に向かって飛びかかってきた。
私は自分の体が後ろに倒れるのを感じた。
目の前が真っ暗になった。