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第二話 天使の迎えは
音楽は好き。
歌を歌うのも、楽器で音を奏でるのも。
だけどそれができたのは小学生まで。中学生から家庭がかなり危うかった。
(……)
(………ん…)
徐々に目がさめてきた。
横たわっていたらしい体を立たせる。
「…ここどこ?」
わずかな月明かりだけを頼りに、目を凝らしてみる。
目の前には月が映った湖と無数に生えている木々だけしかない。
――たしか私は……トラックに引かれて死んだはず……
学校が休みだったからラフなワンピース一枚とカーディガンを着て、図書館にいって、帰りに、トラックに………。
――あー私きっと今天国にいるんだ。
――天使の迎えは、ないのかな~…
「……ふぇっくちっ」
少し寒いなぁ。
立ち上がり、周りを見回してみる。
――天使様は道にでも迷ってるのかなぁ…たしかに森は深そうだし……
そのとき、ふと思いついた。
歌おうかな。
歌えばきっと私がここにいるとわかるし、それに…私も久しぶりに伸び伸び歌いたい……!
――歌おう。歌うなら魂を誘う歌にしよう!