表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

十日目 2025.8.7

『源氏物語』と友達になる。十日目 2025.8.7


 夏の夜の空の高さを見るのが、昔はとても好きだった。


 人が汗をかいて、匂いを空に吐き出すように、建物や草木や電灯までもが、雰囲気だけでなく、夏の香りを振り散らす。


 鼻で一息吸うだけで、夏の星空と一体になれる。星空が自分の内側に吸い込まれて投影される。内外が薄い自分という膜を隔てて、ぴたりとくっつく。


 夜外を歩くのは好きだったけど、最近はもうしない。昂る代わりに失うものが多いから。失うなんて、昔は考えもしなかったけど、手元にあるもの(健康とか)を守らないといけない。


 循環させることも大切なことだけど、腐ってしまっても抱えなきゃいけないものがある。


 夏空と一体になるのは、心地よい体の巡りをもたらす。それが簡単だった時期もある。でも一部でも、わずかでも手元にないとやっていけなくなった。宇宙と一体になった自分を離れ、純粋な僕を仮想しないといけない。


 それは不健康なのかもしれない。淀みなのかもしれない。泥に滲む足跡のように、不確かでも、僕は今は、それでよしとする。


【新出単語とか】


・もよほし顔……(涙を)誘うような

・いとどしく……ますます

・かこと……うらみごと

・さうざうしく……物足りない、心寂しい

・そそのかす……勧める

・すがすがと……こどわりなく


【今回読んだ範囲】


 歌の贈答、形見の品


 始め「月は入り方に、空きよう澄みわたれるに、……」


 終わり「……すがすがともえまゐらせたてまつり給はぬなりけり」


【考えたこと】


 節冒頭の「月は入り方に、空きよう澄みわたれるに」の「月は」の「は」にはいつもハッとさせられる。もし「月入り方に」と「は」がなかったら、それでもハキハキしてていいけれど、「月は」は対象を遠ざけて、実にのびのびと詠じる語感を受け取らずにはいられない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ