保護①
「あーーっ!」
声のした方向。病室(?)の扉に目をやると驚いた顔の女性。
顔立ちは整っており、活発な印象を受ける。
「起きた!?どこも痛くない!?」
「え、あ、はい」
「美鈴さーーーーん!!!」
本当に最低限の確認だけを終え
誰かの名前を呼びどこかへ消えてしまう女性。
「なんなんだ、、」
息を吐き、彼はようやく動きだした脳みそで現状の把握を開始していた。
ただそれはすぐに終わることとなる。
「ちょっと待て、結は!?
いやその前に俺死んだよな!?」
慌てて服をめくりあの蔓が貫通した箇所を確認するが綺麗に穴がふさがっている。
彼はその事実に驚くことしか出来ず数秒固まり、再度思考の海へと潜る。。
「何があった?
確か結が囮になってあの化け物を攻撃してカウンター食らって、、、」
「まぁ生きてるならいい。結はどこに行った?」
幼馴染を探しに行こうかと体を起こした時。
「白刃くん!!!!」
走ってきたのだろう。
息も絶え絶えになった目的が入口に立っていた。
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「(どうしてこうなった、、)」
今白刃願はがっしり左腕を固定されながら、
2人を保護したという組織の人から話を病室で聞いている。
言うまでもないがその左腕を固定しているのは黒花結、彼の命の恩人である。
「ですので状況的にはあなた方が亡獣:恨葵の、えーと向日葵の形をした化け物を排除し、
その後私達が現場に到着。
あなた方を保護して4日が経過。
今に至ります。この時点でなにか疑問等はございますか?」
金陵美鈴と名乗った女性から説明を受け
ここがこの女性の所属する組織の持つ建物であること。
自分たちが保護されていること。
そして自分の怪我は保護の時点で完治していたこと。
にも関わらず自分は3日寝続けていたことを確認し、疑問を投げかける。
「あの~、他の人たちはどうなったんですか?」
「申し上げにくいのですが、現時点で幼界内での生存者はあなたたち二人のみですね。幼界から脱出できている方がいれば話は変わりますがおそらく...」
「なるほど、もう一つ聞きたいのですが、あの化け物..さっき亡獣って言ってましたよね。あれは何なんですか?」
「....そうですね
そちらについても今から説明しましょう。
先に現状の説明からになりますがよろしいでしょうか?」
「はい、結もそれでいいか?」
「うん、大丈夫。」
「あとそろそろ腕から離れろよ」
「絶対嫌。」
「そのままで行くのですね....。
それでは説明を始めさせていただきます。
途中で分からないことがあったら教えてくださいね。」
「「はーい」」
「....まず現状日本では『調整』が行われております。」
二人は気絶前のアナウンスを思い出しながら次の話に耳を傾ける。
「そもそも『調整』とは何かとなるのですが
人間の持つ『欲求』の質を高め人間を種族としてもう一段階上におしあげるための儀式
がそう呼ばれています。
その『欲求』を手っ取り早く引き出すために亡獣と呼ばれる調整用の生物が発生した環境。
それを『幼界』と私達は呼んでいます。」
「その亡獣とやらにあてられた結果
俺や結みたいに能力が使えるようになることが一段階上にってことですか。」
「部分的にはそうですね。進化と言ってもいいかもしれません。
幼界に入った時点で強制的に単純な人間ではなくなっております。
そのうえでお二人は能力...正確には影打の覚醒に至りました。」
「(影打...?新しい単語が出てきたな。)」
「あの...すみません。そもそも『欲求』って何ですか?」
白刃が隣を見ると結がおずおずと手を上げていた。
「『欲求』はそのままですね。
何をしたいのか。どうしたいのか。人間の抱える感情に紐づき発露される欲望そのものを指します。
私や黒花さん、白刃君のように能力に目覚めたもの...覚醒者はその欲望を原動力として能力の発動と視認ができるようになります。」
その後
金陵からの説明は続き今後の方針については明日以降。
といったところで本日の説明は終了となった。
「ややこしいことになったねぇ。」
「結局俺たちは今後どうなるのかについては露骨に避けられてたな。」
「確かにね。もう頭こんがらがっちゃってたから今説明されても困ってたけどね。」
「まぁ他に気になることもあるがいったん今はこれでギブだな。情報も整理しておきたいし。」
「そうだね。整理しておこうか」
その後
受けた説明の洗い直しを二人で行い
黒花は用意されたという自室に戻っていった。
黒花結により残されたメモ
『魁』:調整にて人間の進化に必要な欲の総称。戦闘時の能力使用と身体強化に用いられる。
『亡獣』:私たちが戦った化け物のこと。幼界でのみ生息可能
『幼界』:『魁』が一定以上満ちた空間。第三から一級までである。
『影打』:進化した人間が体内の『魁』を使用して使用する能力のこと。人によって異なる。




